ホーム家族の方へいびきで別室・寝室を分けるのは負けじゃない|分けるという選択の整理

いびきで別室・寝室を分けるのは負けじゃない|分けるという選択の整理

いびきで別室・寝室を分けるのは負けじゃない|分けるという選択の整理

「もう、部屋を分けたほうがいいのかな」。そう思ったとき、頭のどこかで、それは夫婦としての負けだと感じる人は多いと思います。私も、言われた側としてそこにいました。

先に結論を書きます。寝室を分けるのは、関係の敗北ではなく、眠りを守るための配置替えです。この記事では、分けるという選択の是非だけを、負けかどうかという物差しから一度外して整理します。

この記事の目次
  1. 「分けたら負け」という物差しを、先に外す
  2. 別室は敗北ではなく、睡眠のための配置替え
  3. 分ける前に、順番として先に置くこと
  4. 「分ける・分けない」を決める、紙一枚の仕分け
  5. 別室は負けなのか、と考え込んだ翌朝の話
  6. 分けたあとを、先送りにしないために

「分けたら負け」という物差しを、先に外す

いびきで寝室を分けるかどうかで止まっている人の多くは、眠れないことそのものより、分けるという行為の意味のほうで迷っています。部屋を分けたら、夫婦として一段落ちてしまう気がする。仲が悪い家がやることだと思っている。だから、限界まで我慢してから、ようやく検索する。私が見てきたのは、そういう順番でした。

夜の和室の廊下と、両側に障子の部屋、板張りの床
ドア一枚、廊下一本の向こうで眠るだけのことに、負けという意味が乗ってしまいます。

この記事が引き受けるのは、その一点だけです。分ける・分けないの是非を、負けかどうかという物差しから外して並べ直すこと。今夜の音そのものをしのぐ道具の話でも、相手にどう切り出すかの言い方でもありません。それぞれ持ち場が違うので、必要な人はそちらへ渡します。ここでは、決めかねている人の頭の中を整理します。

先に一つだけ言っておきます。分けるかどうかに、正解の型はありません。同じ部屋で眠れているならそのままでいいし、眠れていないなら分けていい。それだけの話が、負けという言葉が乗った瞬間に、重い決断に化けます。だからまず、その物差しを外すところから始めます。

妻
部屋を分けようかと考えるたびに、なんだか申し訳ない気持ちになってしまって。
静山静山
その申し訳なさは、優しさから来ているので消しにくいのですが、眠れない状態を続ける理由にはなりません。まず、分けることと関係の良し悪しを、頭の中でいったん切り離してみてください。

別室は敗北ではなく、睡眠のための配置替え

なぜ、寝室を分けることが負けに見えるのか。理由を並べてみると、どれも中身のない思い込みだと分かります。順番に外していきます。

負けに見える3つの理由

  • 夫婦は同じ部屋で寝るもの、という刷り込み。これは習慣であって、決まりではありません。同じ布団、同じ部屋という形は、時代や家の作りで何度も変わってきたものです。形のほうを守って睡眠を削るのは、順番が逆です。
  • 一度分けたら、もう戻れない気がする。分けるのは引っ越しではありません。あとで書きますが、戻る条件を先に決めておけば、分けることは往復できる手になります。片道だと思うから、決断が重くなります。
  • 追い出す、追い出される、という構図に見える。ここがいちばん厄介です。どちらが部屋を出るかで、勝ち負けの顔がついてしまう。でも、出ていくのは相手を嫌ったからではなく、眠るためです。この一点を二人で共有できているかどうかで、同じ配置替えの意味がまるで変わります。
枕2つのダブルベッド(俯瞰)
同じ部屋で眠れないのは、気持ちの問題ではなく睡眠の問題です。

私が調べた範囲では、海外には睡眠のために夫婦が寝室を分けることへの抵抗が少ない地域もあって、それを前向きな取り決めとして呼ぶ言い方まであるとされています。名前がついているということは、後ろめたい例外ではなく、選択肢の一つとして棚に並んでいるということです。日本ではまだ言い出しにくい空気がありますが、中身は同じです。眠れない人が、眠れる場所に移る。それだけのことです。

分けて失うものと、取り戻すもの

正直に、分けることで薄くなるものも書いておきます。寝る前や朝の、何ということもない短いやり取り。同じ部屋にいたからこそ生まれていた会話が、少し減るのは本当です。ここを惜しむ気持ちは、負けの感覚とは別ものなので、無視しなくていいと思います。

その一方で、取り戻すものがあります。削られ続けた睡眠が戻ると、日中のいらだちが減り、相手にきつく当たる回数が減ります。眠れているほうが、話し合いに使える余裕は増える。つまり分けることは、会話を打ち切る手ではなく、まともに話せる体力を先に回復させる手だ、という見方もできます。減る会話と、戻る余裕。この二つを天秤にかけて、いまの自分にどちらが重いかで決めれば十分です。

妻
分けたいけど、分けたら夫婦として終わっていく気がして、踏み切れないんです。
静山静山
終わらせるのは別室ではなく、眠れないまま積み上がる小さな摩擦のほうだと思います。眠りを先に立て直したほうが、関係にはむしろ優しいことが多いです。

分ける前に、順番として先に置くこと

分ける・分けないを考える前に、順番として先に確かめてほしいことが一つあります。ここだけは、是非の話より上に置かせてください。

私は医者ではありません。いびきをかく側の当事者です。診断や治療の中身には立ち入りません。それでも、ここで書くサインだけは、分ける分けない以前の話なので並べておきます。次のようなことが同じ部屋で観測できているなら、部屋を分けて音から離れる前に、耳鼻咽喉科や睡眠外来へ相談する段です。

  • いびきの途中で、呼吸が止まって見える瞬間がある
  • 止まったあと、大きく吸い直すような音で呼吸が戻る
  • 寝ているはずなのに、日中の眠気が強い(会議中や運転中に落ちそうになる)
  • 朝起きたときに頭が痛い、口がからからに乾いている

特に上の2つ、呼吸の止まりと日中の強い眠気がそろっているときは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が隠れていることがあるとされています。これは本人には気づけず、隣で眠れずにいる人にしか観測できません。分けてしまうと、その観測ができなくなります。何科へ行き、どんな検査になるのかはいびきは何科かに整理したので、当てはまるならそちらを先に進めてください。検査と聞くと泊まりを思い浮かべて身構えますが、多くはまず自宅で機器を借りて測る簡易検査から始まる流れをいびきの検査はどう進むかの記事に並べたので、本人に渡す前に読んでおくと話が早いです。分けるかどうかは、そのあとで間に合います。

夜の廊下と閉じたドア
ドア一枚で音は遠くなりますが、本人の気道の狭さはそのまま残ります。

もう一つ、分ける前に持っておいてほしい前提があります。部屋を分けても、本人の体の中で起きていることは何も変わりません。あなたに音が届かなくなるだけで、当人は同じ夜を過ごし続けます。だから、分けることは音から逃げる手にはなっても、いびきそのものを減らす手ではない。ここを混ぜると、分けたのに解決していないという不満が残ります。今夜その音をしのぐ側の具体的な道具は眠れない側の記事が持っているので、今夜を越えたい人はそちらへ、この記事は分けるかどうかの判断だけを続けます。

妻
呼吸が止まって見えることはあるんですが、本人に言うと大げさだと言われそうで。
静山静山
うるさいという話ではなく、止まって見えて怖かった、という事実として渡すと受け取られ方が変わります。分ける相談より先に、そこだけは一度伝えてみてください。

「分ける・分けない」を決める、紙一枚の仕分け

ここが、この記事の担当するところです。分けるかどうかを、気分ではなく手順で決めます。私が教材で最初に作ったのも、この手の紙一枚でした。原因を並べる仕分けと同じやり方を、別室の判断に当てはめただけです。頭の中で回していると、負けという言葉に引っぱられて決められません。書き出すと、意外なほどあっさり決まります。

手順:分ける・分けないの仕分け(紙一枚・5分)

  1. 紙を一枚用意して、いちばん上に「いま睡眠がいちばん削られているのは誰か」を一行で書きます。分けるかどうかは、まずここが起点です。削られている本人が、動く側になります。
  2. 次に、前の章のサイン(呼吸の止まり・日中の強い眠気)が一つでもあるかを、○か×で書きます。○が付いたら、そこで仕分けは中断です。分ける分けない以前に、受診が先に来ます。
  3. ×だったら続けます。「分けたあと、本人側の手当てを続ける仕組みが一つでもあるか」を書きます。測る、自宅ケア、受診予約のどれか一つで構いません。ここが空欄のまま分けると、次の章で書く先送りに直行します。
  4. 「戻る条件を一文で書けるか」を試します。「私の朝がましになったら戻す」でも、「本人の記録が落ち着いたら」でもいい。書けたら、分けることは片道ではなく往復になります。書けないなら、まだ分ける段ではなく、話す段です。
  5. 最後に、「分けることを、二人のあいだで言葉にできる状態か」を○×で書きます。無言で毛布を持って出る前提しか浮かばないなら、そこは切り出し方の問題なので、この記事ではなく別の持ち場の話になります。

回数の目安:最初に一回、迷いが戻ってきたらもう一回。一回5分まで。

注意が二つあります。ひとつ、○×を相手に採点させないこと。この紙は、あなたが自分で書くものです。毎朝どうだったと相手に聞いて埋めると、相手が採点係になって、うまくいかない夜がそのまま関係の摩擦に変わります。ふたつ、この紙を責める道具にしないこと。並べるのは相手の落ち度ではなく、いまの睡眠の状態です。書き終えて、2番で○が付いていたら受診へ、5番が×なら切り出し方の記事へ、それ以外なら分けていい、という順に読めば、負けかどうかを一度も考えずに決められます。

\ 分けるかどうかは、眠れている頭で /

分ける前でも分けたあとでも、本人の側でできることは残ります。自宅でできる範囲は気道力メソッドにまとめました。分けることと、音を減らすことは、別々に進めて構いません。

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別室は負けなのか、と考え込んだ翌朝の話

静山 静山の実体験

私のケース:「今日は下で寝るね」の翌朝、別室は負けなのかと考え込んだ

私は45歳で、いびきをかく側の人間です。何年か前、妻に別の部屋で寝ると告げられた夜がありました。そのときの妻の側の事情や、私がその場でどう受け止めたかは言われる側だった私の記事のほうに書いたので、ここでは翌朝の話だけをします。

朝、誰もいない寝室で天井を見ながら、私が考えていたのは一つでした。別室というのは、夫婦としての負けなのだろうか、ということです。追い出された、という被害者の顔を、そのとき私は確かにしていました。自分は何も変えていないのに、被害者の側に座っていたわけです。

その顔が崩れたのは、数日たってからでした。分けたことで、妻の朝の機嫌が少し軽くなっているのに気づいたんです。私が眠れなくなったわけでも、家の中がぎすぎすしたわけでもない。ただ、削られていた妻の睡眠が戻っただけでした。負けたのはどちらか、という問いの立て方そのものが、間違っていたと気づきました。誰も負けていなかった。眠れない人が眠れる場所に移って、それで一人の睡眠が戻った。勝ち負けの話ではなかったんです。

それでも、一つだけ引っかかりが残りました。分けたことで、私の側の問題が家の中から見えなくなってしまった、という引っかかりです。音が聞こえなくなると、私自身も、自分のいびきをなかったことにしそうになる。分けたのは正しかったけれど、分けたことに安心して止まってはいけない。この二つを同時に持っておくのが、翌朝の私が出した答えでした。

この体験から言えるのは、別室を負けにするかどうかは、分けるという行為ではなく、分けたあとの過ごし方で決まるということです。追い出された被害者のまま止まれば、それは負けの形になります。分けて睡眠を戻し、そのあいだに自分の側の手も動かすなら、それはただの配置替えで終わります。同じ別室が、どちらにも転びます。

妻
分けようと言われたほうが、負けた気になって落ち込んでいます。
静山静山
私もその朝は同じ気持ちでした。ただ、落ち込んだまま止まるのと、分けた時間を使って自分の側を動かすのとでは、半年後の景色が違います。負けにするかどうかは、まだこちらの手の中にあります。

分けたあとを、先送りにしないために

別室のいちばんの落とし穴は、うまくいくことです。分けると睡眠が戻るので、困りごとが目の前から消えます。消えると、人はそこで手を止めます。そうして、狭くなった気道はそのまま、何年も家の中で見えなくなっていきます。

朝日のカーテンと整ったベッド
分けて眠れるようになった朝は、止まる合図ではなく、動き出す余裕ができた合図です。

だから、分けると決めたなら、同時にもう一つだけ決めておいてください。分けているあいだに、本人側の手を一つだけ動かし続ける。測るのでも、自宅ケアでも、受診予約でもいい。仕分けの3番で書いた、あの一つです。これがあると、別室は避難のまま放置される場所ではなく、立て直しのための一時的な部屋になります。私が翌朝に出した答えは、要するにこれでした。分けたことに安心して止まらない、という一行です。

別室の先に、離婚の二文字が浮かんでいる人へ

分けても本人が何も動かず、気持ちのほうが先に離れていく。そこまで来ている人もいると思います。別室と離婚のあいだには、実はいくつもの段があって、そこをどう考えるかは言われる側だった私の記事に別で書きました。ここでは一つだけ。眠れない頭で結論を出さないでください。判断は、睡眠を先に確保してからのほうが、後で揺れません。分ける手は、そのための最短の一手でもあります。

妻
分けたら、そのままお互い無関心になっていきそうで怖いです。
静山静山
無関心にするのは別室ではなく、分けたあとに何もしないことです。分けた時間を、責め合いではなく立て直しに使うと決めておけば、部屋の距離は関係の距離になりません。

最後に、翌朝の天井を見ていた私から、いま同じことで迷っている人へ。分けるかどうかで悩んでいる時点で、あなたは相手のことも自分のことも、投げ出していません。負けかどうかを数えるより、眠れる場所を先に確保して、そのあいだに本人の側を動かす。この順番でいけば、別室は敗北ではなく、二人が眠れる夜に戻るための通り道になります。

\ 順番は、受診が先。そのうえで /

呼吸の止まりや強い日中の眠気があるなら、分けるより受診が先です。そのサインがなく、分けたあとに本人側でできることを探すなら、自宅でできる範囲を気道力メソッドにまとめました。分けて眠りを戻し、そのあいだに一つずつ、で十分です。

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この記事を書いた人

静山

静山 |いびきスコア142点からの30日再現実験・進行中

静山(しずやま)/40代。長年の爆音いびきで家族に別室を言い渡されかけた当事者。いびきラボのスコア(開始時142点)を毎晩記録し、舌・喉・顎・呼吸の自宅トレ『気道力メソッド』で下げていく過程をすべて公開している。医者ではないので治療の話はしない。自宅でできることだけを、実測の記録つきで書く。

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