寝落ち通話でいびきを聞かれた|通話中に眠ってしまう人へ

電話をつないだまま眠ってしまい、翌朝になって、いびきを聞かれていたと知る。あの一瞬に血の気が引く感じは、音の大きさとは別のところから来ています。
この記事は、その恥のほうを主役にします。通話の寝落ちがなぜ特別こたえるのか、聞かれたあとどう立て直すのか。伝え方と今夜の手は別の記事に預けます。
この記事の目次
寝落ち通話でいびきを聞かれる、という恥

寝落ち通話というのは、電話やビデオ通話をつないだまま、どちらかが、あるいは両方が眠ってしまうことです。恋人どうしや、気を許した友人どうしで、声だけつないで安心して眠りにつく。声が近くにあるだけで眠れる、という人にとっては、ちょっとした支えになっている習慣だと思います。
ところが、その安心のすぐ隣に、この記事の主題があります。眠ってしまったあと、自分のいびきが相手に丸ごと聞かれている、ということです。しかも本人はそれを、その場では一切知りません。翌朝になって、昨日すごい音だったよ、と軽く言われて、はじめて全部を知る。あの、時間差でやってくる恥ずかしさは、面と向かって指摘されるのとは違う質のものです。
先に立場を書いておきます。私は45歳、いびきを指摘される側だった人間です。診断や治療の話には立ち入りません。書けるのは、聞かれる側にいた者の内側と、家でできる範囲のことだけです。
この記事が引き受けるところと、預けるところ
いびきの話は、いつも三つがひとかたまりになって押し寄せます。今夜の音をどうしのぐか。相手にどう伝える、あるいは伝えられるか。そして、そもそもの音をどう軽くするか。全部を一度に抱えると、どれも中途半端になります。だからこの記事は、通話の寝落ちという場面に固有の恥と、聞かれたあとの立て直しだけを引き受けます。
ほかの二つは、それぞれ担当の記事に預けます。相手が彼氏なら伝え方は彼氏のいびきをどう伝えるかに、相手が彼女なら彼女のいびきがすごい時の伝え方に置いてあります。そして、今夜その場で音を軽くするほうへ寄せる手はいびきを止める方法にまとめました。この記事の途中で必要になったら、そのつど開いてください。ここでは中身を書き写しません。
もうひとつ、最初に外しておきたい思い込みがあります。寝落ち通話でいびきを聞かれるのは、だらしないからでも、無防備すぎるからでもありません。眠りに入れば、誰の気道もゆるみます。声をつないだまま眠れるくらいリラックスできているなら、むしろ深く眠れているということでもある。深く眠るほど筋肉の張りは抜けるので、安心して眠れた夜ほど音が出やすい、という逆の関係すらあります。あなたの気の緩みの問題ではなく、体の作りの問題です。
なぜ通話の寝落ちだと、いびきが一段こたえるのか
同じいびきでも、聞かれる場面によって、こちら側のこたえ方はまるで違います。通話の寝落ちには、対面で指摘されるのとは別の、いくつかの重さが乗っています。ここを言葉にしておくと、あとで自分を責めすぎずに済みます。
1. 相手は起きたまま、こちらの無防備を全部聞いている
対面で一緒に眠るなら、たいてい相手も同じくらいのタイミングで眠ります。ところが寝落ち通話では、片方が先に落ちて、もう片方はまだ起きている、という時間が生まれやすい。先に眠ったほうは、自分がいちばん無防備な数十分を、意識のある相手に一方的に聞かれることになります。見せ方を選べる時間の外側で、素の音だけが相手に届く。この非対称が、対面よりこたえる理由の一つです。
2. 声だけだから、音がまっすぐ届く
通話は、耳元にスピーカーがある状態に近いです。同じ部屋にいるより距離があるはずなのに、マイクが口元の音を拾って、そのまま相手の耳へ運びます。表情も、寝相も、布団のふくらみも見えないぶん、届くのは音の情報だけになります。相手の頭のなかで、その音が実際より大きく像を結んでしまうこともある。視覚の情報が無いことが、かえって音を主役にしてしまいます。

3. 残るかもしれない、という不安が消えない
これは若い世代のほうが強く感じるところだと思います。通話は録音できてしまう。冗談で録られて送り返される、笑い話として誰かに聞かせられる、その可能性がゼロだと言い切れない。実際に起きるかどうかより、起きうると考えてしまうこと自体が、眠る前の緊張になります。聞かれるのは今夜の相手一人のはずなのに、その先の広がりまで想像してしまう。私が調べた範囲でも、若い人ほど、この残る恐さのほうを重く受け取っているように見えました。
4. 関係がまだ、見せ方の途中にある
寝落ち通話をするのは、多くが付き合いはじめや、まだ距離を測っている時期です。この人の前では、もう少しちゃんとした自分でいたい。そういう気持ちが残っている段階で、いちばん取り繕えない音だけが先にばれる。生活を共にしている相手なら、いびきは早々に日常へ溶けていきますが、まだそこまで行っていない関係だと、無防備な自分を見られたという出来事として届きます。だから、音の大きさ以上に、タイミングの悪さがこたえます。
この四つを並べてみると、共通しているのは、自分の意識が無いあいだの出来事だ、という点です。だから対策も、眠ってからではなく、眠りに入る手前に置くしかありません。眠ってしまえば、あとは体の作りに任せるほかない。ここが、この記事のいちばんの土台になります。
私が、電話をつないだまま眠っていた夜
私のケース:電話したまま寝落ちして、翌朝いびきを聞かれていたと知って青くなった
妻とのことではありません。ある年の、離れて暮らす身内との長電話でのことです。用件のあとも切りそびれて、布団に入ったまま、相づちだけ打ちながら話していました。疲れていた日で、いつのまにか私のほうが先に眠っていたようです。
翌朝、その相手から短いメッセージが来ていました。責める調子ではなく、むしろ気づかうような文面で、途中からいびきになってたよ、ずいぶん疲れてるんじゃないの、と書いてありました。それを読んだ瞬間に、血の気が引きました。自分がどれくらいの時間、どんな音を出していたのか、こちらには一切の記憶がない。相手の耳のなかにだけ、その夜の私が残っている。その非対称が、ただ気持ち悪かったのを覚えています。
いちばんこたえたのは、音の内容ではありませんでした。切ったつもりでいたのに、つながったままだったこと。つまり、私が無防備なあいだの数十分を、まるごと明け渡していたと後から知ったことです。対面で妻に指摘されるのとは、恥の手触りが違いました。妻のときは、少なくともその場に自分がいた。この夜は、自分のいない場所で自分の音だけが再生されていたようなものでした。
その日は一日、仕事のあいだも、あの音はどのくらい続いていたのだろう、という考えが抜けませんでした。相手はさらっと流してくれたのに、こちらだけが引きずる。返信で、ごめん、と打ちかけて、消しました。何を謝っているのか自分でも整理がつかなかったからです。結局、疲れてたみたい、とだけ返して、いびきの話には触れませんでした。触れれば、もっと聞かれる気がして怖かったのだと思います。
念のため書いておきます。私は医者ではありません。だから、この夜の音が何を意味するのか、診断の線を引くことはできません。ここに残せるのは、聞かれた側にいた人間が、翌朝に何を感じて、どこで足踏みしたか、それだけです。
この夜のあとで、自分なりに一つだけ考え方を変えました。恥ずかしさの正体は、音そのものではなく、知らないうちに聞かれていた、という受け身の部分にあったということです。だとしたら、少なくとも受け身の部分は、こちら側で減らせるはずでした。
聞かれてしまったあと、まずやめたほうがいいこと
聞かれた直後にやりがちで、しかもあまり役に立たなかったことを、先に書いておきます。私自身が全部やりました。
- 過剰に謝り続けること。一度、疲れていたみたい、で十分でした。何度も蒸し返すと、相手は、そんなに気にすることかな、と戸惑います。恥を上塗りするだけでした。
- その音が何だったのかを、通話相手に確かめようとすること。どんな音だった、何分くらい、と聞くほど、相手を採点係にしてしまいます。音の見立ては、相手ではなく自分の記録でやるべきでした。
- 次から声をつながない、と衝動的に決めること。寝落ち通話が二人の安心になっていたのなら、それをいびきのせいで手放すのは、順番が逆です。手放す前に、打てる段取りがまだ残っていました。
だから次の章では、聞かれてしまったあとではなく、次に眠るときに向けた段取りの話をします。眠ってからは動かせない。動かせるのは、眠りに入る手前の数分だけです。
通話中に眠くなった夜の段取り(自分の音を人任せにしない)
ここからが、この記事だけが引き受ける部分です。私が教材で最初に叩き込まれたのは、体操の前に、自分の音を人任せにしない、という決めごとでした。それを寝落ち通話という場面にそのまま落とすと、次のような段取りになります。体を鍛える話ではありません。眠りに入る手前で打っておく、準備の手順です。

寝落ち通話の夜の4ステップ
- 通話に入る前に、自分の側で録音か計測を仕掛けておく。通話アプリとは別に、自分のスマホの録音アプリやいびき計測アプリを、枕元で走らせてから声をつなぎます。狙いはただ一つ、聞かれて初めて知る、をやめることです。相手の耳より先に、自分の手元に音が残る状態を作っておきます。
- 眠気の合図を、一つだけ先に決めておく。返事が、うん、だけになったら。同じ相づちを二回続けたら。そのどれか一つを、今夜の切り上げの合図にすると決めます。合図は複数持たないでください。眠くなった頭では、一つしか使えません。
- 合図が出たら、切る言葉を先に用意しておく。眠くなってきたから切るね、で構いません。落ちる前に自分から切れば、無防備な数十分を相手に明け渡さずに済みます。切るのが惜しい夜は、あと五分でタイマー、と声に出して決めてから続けます。相手を、切るきっかけを出す役にしないことがコツです。
- 切ったあとは、仰向けを避けて眠りに入る。ここから先の、横向きの作り方や枕の当て方といった具体的な形は、この記事では書きません。今夜その場で寄せる手はいびきを止める方法にまとめてあるので、そちらに任せます。今夜の要点だけなら、寝入る瞬間に横を向いていれば、最初の数時間ぶんは条件が変わる、という一点です。
回数の目安:この段取りは、寝落ち通話をする夜だけ。合図は一つ、切る言葉も一つ。翌朝に確認するのは、自分の録音のほうを先に。
注意が三つあります
- 録音を、相手に聞かせる道具にしないこと。これは自分が状態を知るためのものです。ほら、こんな音だった、と相手と見せ合う使い方をすると、話が観察から告発に変わります。自分の手元だけで見てください。
- 切る合図を、相手に判定させないこと。そろそろ寝る、と相手に言わせる形にすると、相手が毎晩あなたの眠気を見張る係になります。合図を出すのは、あくまで自分の側です。
- 眠くなってから段取りを作らないこと。合図も切る言葉も、しらふのうち、通話に入る前に決めておきます。うとうとしてから考え始めると、だいたいそのまま落ちます。私はこれで何度も明け渡しました。
この段取りが狙っているのは、音を消すことではありません。無防備な時間を相手に丸ごと渡さないこと、そして、聞かれて初めて知るのをやめることです。翌朝、自分の録音を先に確認できれば、相手のひとことに一日中ふり回されずに済みます。うまくいかなかった夜の記録も、私は消さずに記録カテゴリに残しています。荒れた夜を残しておくほうが、あとで比べるときに役に立ちました。
\ 眠りに入る手前の段取りを、続く形にする /
今夜の段取りは入口です。自分のタイプに合わせて何をどの順で積むか、30日でどう回すかは気道力メソッドにまとめました。1日3分から始められます。
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相手に、どう向き合うか
段取りは、あくまで自分の側の話でした。ここでは、聞かれてしまった相手との向き合い方に、少しだけ触れます。ただし、伝え方そのものの手順は、この記事の担当ではありません。相手の立場によって組み立てが違うので、それぞれの記事に譲ります。
聞かれた側から、切り出すとき
いびきを聞かれたのがこちらで、それでも自分から話題にしておきたい、という場合があります。黙っているほうが気まずい、次も声をつなぐつもりだから先に触れておきたい、そういう夜です。そのときの言い方は、重くしすぎないことだけ意識すれば十分だと思います。この前つないだまま寝ちゃって、いびきうるさかったよね、くらいで置いておく。深刻に切り出すほど、相手も扱いに困ります。
逆に、相手のいびきが気になっている側なら
寝落ち通話は、片方だけがかくとは限りません。相手の音が気になっている側に回ることもあります。そのときの切り出し方は、相手が彼氏か彼女かで組み立てが変わるので、担当の記事に任せます。相手が男性なら、指摘された瞬間になぜ不機嫌になるのかまで含めて彼氏のいびきをどう伝えるかに、相手が女性なら、傷つけない順番を彼女のいびきがすごい時の伝え方にまとめてあります。ここでは中身を書き写しません。要点だけ言えば、音を主語にせず、体調の心配として、明るい時間に、二人の問題として並ぶ。この四つが共通の土台です。
今夜の音を、その場で軽くしたいなら
相手に伝えるより先に、まず今夜の音をなんとかしたい、という夜もあります。寝入る向き、枕の角度、鼻の通り、寝室の乾き。今夜その場で打てる手と、それでも即効にはならない理由はいびきを止める方法に分けて書きました。この記事の段取りと合わせて使うと、通話を切ったあとの数分の質が変わります。
向き合い方に正解はありません。ただ、聞かれてしまった側であっても、黙って距離を取るより、軽くでも触れておくほうが、関係はこじれにくい。これは、言われる側にいた私が、妻との時間から学んだことでもあります。長い時間軸で、家のなかの空気がどう動くかは、また別の話になります。
その前に、確かめてほしいサイン
ここまで、通話の寝落ちという場面の恥と、その段取りを書いてきました。最後に、順番を間違えてほしくない話を一つだけ置きます。

寝落ち通話には、思わぬ利点が一つあります。眠っているあいだの自分の音を、相手が聞いている、という点です。本人には決して分からない情報を、相手が持っている。だから、もし次のどれかを言われたことがあるなら、それはかなり強い手がかりになります。
- いびきの途中で音が止まって、しばらく静かになったあと、急に大きく息を吸い直す音がしていた、と言われた
- 眠っているあいだに、呼吸が止まっているように聞こえた、と言われたことがある
- しっかり寝たはずなのに、日中の眠気が強い。授業中や会議中、運転中にうとうとしてしまう
- 朝起きたときに頭が痛い、寝ても疲れが抜けない感じが続いている
これらは睡眠時無呼吸症候群のサインとされているものです。この場合は、家で寝方や段取りを工夫して様子を見る段階ではありません。医療機関で相談してください。とくに、音が途切れてから大きく吸い直す、という指摘と、日中の強い眠気の二つは、セルフケアより受診が先という扱いになっている項目です。どの科へ行けばよいかはいびきは何科かにまとめてあります。繰り返しますが、私は医者ではありません。だから、ここから先の判断は書けません。書けるのは、隣で聞いている人の情報には値打ちがある、ということだけです。
そのうえで、この記事の分をもう一度だけまとめておきます。通話の寝落ちでいびきを聞かれる恥は、音の大きさより、知らないうちに聞かれていた、という受け身の部分から来ています。だから打てるのは、眠りに入る手前の段取りです。声をつなぐ前に自分の側で音を残しておく。眠気の合図を一つ決めておく。落ちる前に自分から切る。切ったら横を向いて眠りに入る。それだけで、聞かれて初めて知る、をかなり減らせます。
