あいうべ体操はいびきに効く?続かなかった私の結論

あいうべ体操がいびきに効くらしい、と聞いて調べているなら、その勘は悪くありません。
結論から書きます。あいうべ体操は口呼吸を鼻呼吸に戻すための体操で、いびきとの関係はあります。ただし、いびきで詰まる場所とは狙いが少しずれます。私は数年前から知っていて、続けられませんでした。その理由も書きます。
この記事の目次
あいうべ体操とは何か(4つの動作と1日30セット)
あいうべ体操は、福岡のみらいクリニックの内科医・今井一彰先生が考案した口の体操です。目的ははっきりしていて、口呼吸を鼻呼吸に戻すこと。いびき対策として作られたものではなく、口呼吸そのものを直しにいく体操だとされています。
動作は4つだけです。
- あ:口を大きく縦に開く
- い:口を大きく横に広げる
- う:唇を強く前に突き出す
- べ:舌を突き出して、下に伸ばす
この4つで1セット。1日30セットが目安とされています。声は出しても出さなくてもよく、道具もお金もいりません。顎関節症の方や口を開けると痛む方は、顎に負担のかからない「いー」「うー」だけを繰り返す形でもよい、と案内されています。

もうひとつ、動作の配分を見ておくと後の話が早くなります。「あ・い・う」の3つは唇と頬まわりの運動で、舌が主役になるのは最後の「べ」だけです。4分の3が口のまわり、4分の1が舌。この配分は、口呼吸を直す体操としては理にかなっています。口を閉じておく力は、舌ではなく唇と頬が担っているからです。
先に立場を書いておきます。私は医療者ではありません。診断や治療の話はできません。ここで書けるのは、いびきの当事者として自分で計測しながら試している側の見え方だけです。効く効かないの判定ではなく、狙いがどこに当たっているかの整理だと思って読んでください。
口呼吸の改善が、なぜいびきに関わるのか
順番に並べると分かりやすくなります。
- 眠っているあいだ、口がぽかんと開く
- 下あごが後ろ下がりになる
- あごに支えられている舌も、いっしょに後ろへ下がる
- 空気の通り道が狭くなり、通るときに音が出る
逆に、鼻で吸えていれば口は閉じたままです。口が閉じていれば下あごの位置が保たれ、舌も上あご側に留まりやすくなります。あいうべ体操がいびきに関わるのは、この①をなくしにいくところです。入口を塞ぐ発想で、理屈としては筋が通っています。

口が開いたまま夜を越すと、もうひとつ副作用がついてきます。喉と口の中が乾くことです。乾いた粘膜は張りつきやすくなり、それ自体が音を大きくする方向に働くとされています。朝起きた瞬間に口の中がからからなら、夜のどこかで口呼吸になっていた痕跡だと考えていいと思います。ここまでは、あいうべ体操の想定どおりの守備範囲です。
ただし、ここに大きな抜け道があります。口を閉じていても鳴る人がいることです。私もそう言われた側でした。鼻づまり型と軟口蓋型の切り分けは口を閉じてるのにいびきをかく話に譲ります。口が開いていることは原因のひとつであって、全部ではありません。
そして、舌の付け根が喉の奥へ落ちて気道を塞ぐ現象そのものについては、舌根沈下の記事で仕組みを分けて書いています。この記事では、あいうべ体操との距離だけを見ていきます。
正直に書きます。狙いが少しずれる部分がある
あいうべ体操の4動作のうち、いびきに関係が深いのは「べ」です。舌を突き出して下へ伸ばす動き。舌の前側と、口のまわりの筋肉が主役になります。
一方、いびきで問題になるのは舌の「奥」が後ろへ落ちることです。落ちる方向は後ろ。それに対して「べ」は、舌を前へ、下へ出す動きです。同じ舌でも、動かしている場所と方向が違います。前に出す練習が、そのまま奥を持ち上げる練習になるわけではない。ここが、私が引っかかっていた点です。
誤解のないように書いておきます。これはあいうべ体操の欠点ではありません。もともと口呼吸全般のために作られた体操を、いびきという別の物差しで測っているから、ずれが出るだけです。目的が違うものを「効かない」と切って捨てるのは筋違いだと思っています。実際、口が開いて寝ているタイプの人にとっては、ここを直すことがそのまま入口の改善になります。

噛み合う人と、もう一段いる人
整理するとこうなります。
- 噛み合う/朝に口の中が乾いている。家族から口を開けて寝ていると言われる。日中も気づくと口が半開きになっている。この場合、入口を閉じる練習がそのまま効いてきます
- もう一段いる/口は閉じていたと言われる。横向きにすると静かになる。音が高い震え音ではなく、低く引きずる音である。この場合、口を閉じても奥は狭いままの可能性が残ります
自分がどちらなのか分からないなら、5つのセルフテストで先に見当をつけたほうが早いです。当てはまるのが1つとは限らないので、気になった項目だけをつまみ食いせず、5つ通してやってメモするのをおすすめします。
効果が出るまで、どれくらいかかるのか
検索されている質問で、たぶんいちばん多いのがこれだと思います。先に立場をはっきりさせておくと、私はあいうべ体操で自分の数字が動いたと言える立場にありません。続かなかった側だからです。ここで書けるのは、調べた範囲で共通していた時間感と、筋肉の運動としての考え方だけになります。
私が調べた範囲では、あいうべ体操の解説に共通していたのは数日や1週間で判定するものではないという点でした。口のまわりと舌の筋肉に効かせる運動なので、見る単位は週ではなく月。数週間から数か月のあいだで、まず日中に口が閉じている時間が延び、そのあとで夜の変化を見にいく、という順番で語られることが多いようです。
それと、変化の出方には順番があるようです。先に動くのは自分にしか分からない部分で、家族が気づく音の変化はその後ろに来ます。順番を並べるとこうなります。
- 日中、気づくと口が閉じている時間が増える。唇を合わせておくのがしんどくなくなる
- 朝起きたときの口の乾きや、喉のいがらっぽさが軽くなる。ここまでは体感だけの変化です
- そのあとに、音そのものや鳴っている時間の割合が動く。家族の反応が変わるのはここから
ここを逆に期待すると、初日から音を録って、変わっていないと判断して終わります。私が最初にやったのが、まさにそれでした。
もうひとつ。効果を判定したいなら、始める前の状態を残しておかないと比べる先がありません。私の場合は計測アプリの初回が142点で、それがそのまま出発点になりました。数字は飲んだ日も疲れた日も鼻がつまった日も跳ねるので、単日で一喜一憂しないほうがいいです。私の記録の残し方は記録カテゴリに置いています。
舌トレとの違いと、あいうべ体操を組み直す手順を1つ
私が続けている「ング・アー」という舌トレは、あいうべ体操と動かす場所が逆です。あいうべの「べ」が舌を前へ出す運動なのに対して、こちらは舌の奥を上下させる運動になります。手順と回数と注意は改善トレーニングの記事にまとめてあるので、そちらに譲ります。
そのうえで、この記事を読んでいる人には、体操をもう1つ増やすより先にやることがあると思っています。すでに知っているあいうべ体操を、続く大きさに組み直すことです。ですからここに置くのは、新しい体操ではなく、あいうべ体操そのものの組み直し手順になります。
形は、私が使っている教材の組み方をそのまま借りました。気道力メソッドは26の自宅トレを舌・喉・顎・呼吸の4系統に分けたうえで、全部やらない前提で組んであります。いちばん軽いプログラムは1日3分、動作は4つだけ。どのトレにも「最初は少しずつ」「やりすぎ注意」「力ずくで作らない」が添えられていて、量を増やすのは続いてからという順番になっています。1日30セットという数字は、この物差しで見るとかなり重い側に立っています。
あいうべ体操を、いびき向きに1日1回へ組み直す(10セット)
- 鏡の前に座ります。背筋を伸ばし、奥歯は噛み合わせません。噛みしめたまま動かすと、狙いが顎の緊張のほうへずれます。
- 「あ」は縦に、「い」は横に、「う」は前へ。それぞれ2秒ずつ止めます。速く回して数を稼ぐより、1動作を止めておくほうが唇と頬に負荷が乗ります。
- 「べ」だけは方向を見ます。舌を前へ出して終わりにせず、そこから下へ落とす。鏡で、舌先が顎の先のほうを向いているか確かめてください。ここが、いびきの側から見て唯一落とせない一点です。
- 4動作で1セット。10セットで打ち切ります。数え終わったらそこで終わり。足りない気がしても足しません。
- 最後に唇を軽く合わせて、鼻だけで10回呼吸します。口が閉じている状態のまま終える、という合図にしています。
回数の目安:1日1回・10セット。2週間続いて物足りなくなってから、15、20と伸ばします。順番を逆にすると、たいてい元の木阿弥になります。
注意は3つあります。
- 鼻がつまっている日はやらないこと。口を閉じる練習は、鼻が通っていることが前提です。苦しいまま押し切っても、いいことはありません
- 顎の関節に痛みやカクつきが出たら、その場で中止すること。顎関節症を指摘されたことがある人は、始める前に歯科で相談してください
- 飛ばした日のぶんを、翌日にまとめないこと。まとめた日に顎が疲れて、そこで途切れます。埋め合わせは、いちばん折れやすい形です
この形にした理由は単純です。数える作業が1日1回で終わるから。朝昼晩に割った30セットを管理する体操と、鏡の前で10だけ数えて終わる体操では、半年後に残っているかどうかが変わります。あいうべ体操が続かなかった人にとっては、こちらのほうが入口として現実的だと思っています。
\口呼吸の、その先まで届かせたい方へ/
口が閉じるようになったら、次は舌の奥です。26の自宅トレと5タイプ診断、30日の記録シートをまとめて、自分に要るものだけ選べる形にしたのが気道力メソッドです。全部やる必要はない、という前提で組んであります。
教材の内容を見る※18歳未満は登録できません
続かない理由は「1日30セット」という数字にある
数字だけ見れば数分で終わる量です。それでも脱落する人が多い。実際にやってみると分かりますが、真面目にやるとかなり疲れる筋トレで、2〜3回に分けたほうが続けやすいと案内されているくらいです。
私のケース:知っていたのに続かなかった
グッズを買い集めていたころ、口呼吸の本であいうべ体操を知りました。30セットという数字を見て、朝10・昼10・夜10と決めたんです。几帳面にやるつもりでした。ところが数日で昼を飛ばし、その埋め合わせに夜まとめて30セットやって顎がだるくなり、そこで終わりました。今になって振り返ると、きつかったのは体操そのものではありません。「今日は何セットやったか」を数えて管理する仕事が増えたことでした。いびきを軽くする作業ではなく、記録を落とさない作業になっていた。計測を始めて142点という数字を突きつけられたあと、あらためてそこに気づきました。
やり方としておすすめなのは、時間ではなく場所で思い出す形にすることです。歯を磨き終わった直後の洗面台。湯船に浸かっているあいだ。入浴中にやるとよいという案内をよく見かけるのも、同じ理屈だと思っています。決まった場所に紐づけると、何セットやったかを覚えておく仕事が消えます。
目標の下げ方にも順番があります。まず回数を落とす。それでも飛ぶなら、1日のうちの回数を1回にまとめる。それでも飛ぶなら、動作を「いー」「うー」の2つに減らす。どこまで下げても、ゼロにさえならなければ再開の足場は残ります。折れるのは、下げるのを我慢して、丸ごと落としたときです。
\回数で挫折した人のために組みました/
26の自宅トレは、全部やる前提では組んでいません。5タイプ診断で自分に要るものだけを選び、30日の記録シートで続いた分だけを残していく形です。詳しくは気道力メソッドをご覧ください。続けられる大きさから始めるのが、いちばん近道でした。
教材の内容を見る※18歳未満は登録できません
よくある間違いと、やらないほうがいい場合
調べていて気づいたのは、あいうべ体操は動作が単純なぶん、自己流に崩れやすいということでした。よく指摘されている崩れ方を並べておきます。
- 動きが小さい。口の開き方が中途半端だと、狙っている唇と頬に負荷が乗りません。痛みが出ない範囲で、大きくゆっくり
- 「べ」で舌を前に出すだけになっている。案内されているのは、突き出して下へ伸ばす動きです。前へ出すところで止めると、伸びるはずの場所が伸びません
- 一度にまとめてやる。30セットを一気にやると顎が疲れます。2〜3回に分けたほうが続けやすいとされているのは、このためです
- 声を出さないと効かないと思い込む。声は出しても出さなくてもよいとされています。職場や電車でやるなら、声なしで問題ありません
やらないほうがいい場合
次に当てはまるなら、無理に続けないでください。
- 口を大きく開けると顎の関節が痛む、あるいは音が鳴る。顎関節症を指摘されている場合も同じです。この場合は顎に負担のかからない「いー」「うー」だけの形にとどめ、それでも痛むなら中止して歯科で相談してください
- 舌の付け根に鋭い痛みが出る。伸ばしすぎです。痛みが出る手前が上限になります
- 口の中や喉に炎症がある。治まってからで問題ありません
それと、口を閉じるテープとの併用について一言だけ。テープが働くのは貼った夜だけで、体操のほうは積んだぶんがやめた日からしばらく残るので、片方があれば片方が要らない、という関係にはなりません。
最後にもうひとつ。あいうべ体操は口呼吸を直しにいく体操なので、そもそも鼻が通っていないと成立しません。鼻がつまったまま口を閉じようとしても苦しいだけです。鼻の側に心当たりがあるなら、体操よりそちらが先になります。
体操の前に、ここだけは確認してください
ひとつだけ、順番を守ってほしいことがあります。いびきが止まって無音になり、そのあと大きく吸い直す音があると家族に言われている場合。あるいは、夜きちんと寝ているのに日中に強い眠気があり、会議中や運転中にうとうとする場合。このどちらかに当てはまるなら、体操より先に医療機関で診てもらってください。呼吸器内科、耳鼻咽喉科、睡眠外来が行き先になります。自宅ケアで様子を見る段階ではない可能性があります。
私の場合は、録音を聞き返しても呼吸が止まる無音は入っていませんでした。低く長く引きずる音が続いているだけだった。その音が一晩じゅう続いていた長さにうろたえたときは、長さは重症度ではなく頻度だという受け止め方をいびきが一晩じゅう続くときの考え方にまとめてあります。だから自宅ケアを選べています。この線引きは自分の都合で動かさないようにしています。繰り返しますが、私は医者ではないので、治療の話はここまでです。
最後に、この記事の要点をまとめます。
- あいうべ体操は口呼吸を鼻呼吸に戻す体操で、いびきとの関係はある。ただしいびき専用ではない
- 「べ」は舌を前に出す動き。いびきで問題になる舌の奥が落ちる方向とは、狙いが少しずれる
- 効果を見る単位は週ではなく月。先に動くのは日中の口もとと朝の乾きで、音の変化はその後ろに来る
- 動かす場所が違うので、奥を持ち上げるトレと併用してかまわない
- 続ける鍵は、回数を減らして場所に紐づけること。数える仕事を残さないこと
知っているのにやらなかった数年間が、私にはありました。同じ場所で止まっている人がいたら、30という数字のほうを疑ってみてください。落とすべきは意欲ではなく、目標のほうです。
