いびきの予防|まだ軽いうちに、悪化させないためにやること

いびきの予防、と検索する人の多くは、まだ音が小さい人か、家族に大きな人がいる人だと思います。ひどくなる前に手を打ちたい、その気持ちで来ているはずです。
先に言っておきます。予防と対処は別の話です。この記事は、鳴りはじめた音を消す手順ではなく、軽い状態を悪化させないという一点だけを扱います。治し方の手順は別の記事に譲ります。
この記事の目次
予防と対処は、別の話として分ける
最初に、言葉を分けておきます。いびきの対処は、いま鳴っている音を小さくする話です。いびきの予防は、まだ小さい音を、これ以上大きくしないための話です。同じ「いびき対策」という言葉でも、求めているものがまるで違います。
ここを混ぜると、探し方が的外れになります。予防したい人が、いきなり音を止めるグッズや体操の手順を読んでも、いまの自分にはピンと来ません。逆に、もう毎晩大きく鳴っている人が予防の心構えだけを読んでも、今夜の音は変わりません。だから私は、この記事を予防だけに絞りました。もう鳴っている音そのものを小さくしたい方は、生活・自宅トレ・グッズ・医療の順番を整理したいびきの治し方の記事のほうが役に立ちます。

予防が必要になるのは、だいたい二つの入口からです。ひとつは、家族に「最近ちょっと鳴ってるよ」と言われはじめた、まだ軽い人。もうひとつは、自分ではまだ言われていないけれど、親やきょうだいにいびきの大きい人がいて、自分もそうなるのではと気にしている人です。どちらも、いま音に困りきっているわけではありません。困りきる前だからこそ、動かせる余地が大きいというのが、この記事の言いたいことです。
いびきは「まだ軽い」うちがいちばん動かしやすい
なぜ軽いうちが動かしやすいのか。いびきは、眠っているあいだに空気の通り道が狭くなって、まわりのやわらかい組織が震える音です。狭くなる場所は人によって違い、そこに生活や加齢が重なったときに音になります。原因がどこにあって、どう重なるのかという全体像はいびきの原因を全部並べた記事にまとめてあるので、ここでは踏み込みません。この記事で使うのは、重なった枚数が少ないうちほど、減らすのが楽という一点だけです。

軽い状態というのは、狭まりの札がまだ一枚か二枚しか乗っていない状態だと私は考えています。そこへ年齢が乗り、体重が乗り、飲む習慣が乗り、と枚数が増えていくと、あるところで音になり、そこからは毎晩鳴るようになります。予防というのは、この枚数が増えていく速度を、意識してゆるめておくことです。ゼロにする話ではありません。増えるのを遅らせる話です。
家族歴が気になる人へ
親にいびきの大きい人がいると、自分も同じ道をたどるのかと不安になります。似る部分があるのは確かだと思います。ただ、体格や骨格のように動かしにくい部分と、生活のように動かせる部分は分けて考えられます。遺伝と体質のどこまでが変えられるのかという整理は原因の記事に譲りますが、予防の立場から言えるのは、動かしにくい部分が最初から乗っているなら、動かせる部分を増やさないことの価値が、その分だけ高いということです。土台が高い人ほど、上に積む一枚が音に届きやすいからです。
だから家族歴がある人は、悲観する必要も、諦める必要もありません。むしろ、まだ軽いいまの状態を基準として持っておく価値が、人より大きい立場だと考えてください。基準の持ち方が、次の予防点検の話です。
悪化させないための予防点検(月に一度・3分)
予防でいちばん困るのは、悪化がゆっくりだと、悪化に気づけないことです。毎晩少しずつ大きくなっても、昨日と今日の差は分かりません。気づいたときには、もう毎晩鳴っている。私がまさにそれでした。だから予防の中心は、対策そのものより、悪化の芽を早めに拾う仕組みのほうにあります。
気道力メソッドを使うなかで、私が予防の観点として自分用に決めたのが、この月イチの予防点検です。原因を分解する棚卸しでも、受診するかどうかの判断でもありません。いまが「まだ軽い」ゾーンに留まっているかどうかを、月に一度だけ確認するための、軽い点検です。
手順(月に一度・3分まで)
- 紙かメモアプリに、日付を書きます。前の月に書いた分の下に、追記していく形にします。前の字は消しません。並べて初めて、増えているかどうかが見えるからです。
- 次の三つを、前の月と比べて◯(変わらない・軽い)か ×(増えた)だけで記します。点数はつけません。
・同居している家族に、月に一度だけ「最近どう?」と聞いた答え(言われる回数が増えたか)
・朝起きたときの、口の渇きとだるさ(増えたか)
・昼間の眠気が、前より出るようになったか - ◯か×を三つ並べて、その月は終わりです。良くしようとする必要はありません。記録だけして、閉じます。
回数の目安:月に一度、一回3分まで。多くやっても意味は増えません。

注意が三つあります
ひとつ、家族に毎日聞かないこと。今日はどうだったと毎朝聞くと、相手が採点係になります。うまくいかない朝が、そのまま関係のとげに変わります。聞くのは月に一度だけと決めておいてください。
ふたつ、一回の×で慌てないこと。風邪の週も、飲んだ翌朝も、鼻がつまる季節も、×は出ます。一回の×は、その月にたまたま一枚多く乗っただけかもしれません。判断するのは、並べた何か月かの流れのほうです。
みっつ、×が二つ以上、二か月続いたら、予防のフェーズは終わりです。そこから先は、悪化させない話ではなく、鳴っている音を小さくする対処の話になります。切り替え先は、この記事の最後に書きます。なお、音を測る道具の使い方や、測り方をそろえる決まりは、この点検とは別の話なので記録カテゴリに置いてある手順のほうを見てください。この点検は、あくまで◯×だけの粗い見張りです。
予防の土台は、悪化の芽を増やさないこと
点検で見張るのと並行して、予防にはもうひとつの柱があります。悪化の芽を、自分から増やさないことです。攻めて音を消す話ではなく、増やさないという守りの話なので、まだ軽い人にちょうど合います。
いびきを増やす方向に働く要因は、だいたい決まっています。お酒、寝不足、体重の増加、鼻の詰まり、たばこ。どれも、のどまわりをゆるめる方向か、粘膜を腫らす方向に働くとされています。ひとつひとつの中身や、それぞれへの具体的な対策は、この記事の担当ではありません。要因の全体像は原因の記事に、そのどれから手をつけて音を減らすかは治し方の記事に、それぞれまとめてあります。予防の立場からここで言えるのは、順番の話だけです。
その順番とは、いま乗っていない札を、わざわざ乗せにいかないということです。対処は、すでに乗っている札を減らす作業です。予防は、まだ乗っていない札を乗せないでおく作業です。減らすより、乗せないほうがずっと楽です。すでに毎日飲む習慣がある人が減らすのは大変ですが、まだ習慣になっていない人が、それを寝る前の習慣にしないでおくのは、努力とすら呼べないくらいの話です。
予防を、いびきのためだけの特別な努力にしないほうが、私は長続きすると思っています。寝る直前の一杯を習慣化しない、寝不足の週を続けない、鼻がつまったら季節のせいと放置せずに一度整える。どれも、いびきのためだけにやることではありません。ただ、これらを増やさないでおくことが、そのまま軽い状態を長持ちさせます。予防で新しく何かを足すより、増えていく側を止めるほうが、費用も手間もかかりません。足す一手が欲しくなったときだけ、対処の記事へ進めば十分です。
予防のつもりでも、この線を越えたら受診が先
予防の話をしてきましたが、ここだけは順番が変わります。次のどれかに当てはまるなら、それは予防で様子を見る段階ではありません。悪化の芽どころか、すでに別の問題が隠れている可能性があるので、点検を待たずに医療機関へ進んでください。
- 眠っているあいだに「息が止まっていた」と家族から言われたことがある
- 録音に、いびきが途切れて無音になり、そのあと大きく吸い直す音が入っている
- 夜中に息苦しさで目が覚めることがある
- 寝た時間は足りているのに、昼の眠気が強く、会議中や運転中に意識が落ちそうになる

とくに、呼吸が止まっているという指摘と、日中の強い眠気の二つは、睡眠時無呼吸症候群のサインとされているものです。まだ軽いと思っていた人でも、この二つのどちらかがあるなら、のどの体操や生活の工夫を試す前に、受診を先にしてください。運転や仕事に眠気が出ているなら、なおさら急ぐ段です。どの科に行くか、どんな検査があるかはいびきは何科かの記事にまとめてあるので、当てはまった方はそちらへ進んでください。
念のため書いておきます。私は医者ではありません。当事者として予防を試している側で、ここに書いているのは診断でも治療でもありません。予防というのは、あくまで問題が隠れていない軽い段階でのみ成り立つ話です。サインがあるのに予防だけを続けるのは、順番が逆になります。この記事でいちばん伝えたい一線が、ここです。
私の戒めと、予防から対処へ切り替えるとき
私のケース:まだ小さい音のうちに測り始めた。ひどくなってから慌てた自分への戒め
私は四十五歳、いびきの当事者です。この予防の記事を書きながら、いちばん思い出すのは、数年前のことです。
じつは私は、いまより前に一度、自分でいびきを軽くした時期がありました。何をどう変えたのかは、正直もう細かくは覚えていません。当時の私は、軽くなったことに満足して、それ以上は何もしませんでした。記録を一枚も残さなかったのです。まだ音が小さかったその時期に、いまの状態はこれくらい、という基準を残しておけば、あとで比べる相手ができたはずでした。
ところが基準がないと、少しずつぶり返しても気づけません。今日と昨日の差は分からないからです。私はそのまま、鼻に貼るテープや口をとめるテープ、通販のマウスピース、いびき対策の枕を数年かけて買い足しながら、音が育っていくのを見過ごしました。妻は自分用の耳栓を買っていました。そして、別室を切り出されかけた夜の翌日に初めて計測して、出てきたのが142点でした。
そのとき私が悔やんだのは、142という数字そのものより、軽かったあの時期に、一度も測っておかなかったことでした。あの頃に基準の一枚があれば、ぶり返しはじめた早い段階で気づけて、ここまで放置せずに済んだかもしれません。だからこの記事を、まだ軽い人に向けて書いています。いま軽いなら、その軽さを一枚、記録に残しておいてください。それが、数年前の私に足りなかったものです。

最後に、予防をやめるタイミングの話をします。予防は、いつまでも続けるものではありません。前に書いた月イチの点検で、×が二つ以上、二か月続いたら、そこはもう予防のゾーンではありません。軽さを保つ話ではなく、育ってしまった音を小さくする対処の話に、頭を切り替える段です。
切り替え先では、生活・自宅トレ・グッズ・医療という四つの層を、どの順番で手をつけるかが問題になります。その順番と、それぞれの層の限界や費用の見積もりは、いびきの治し方の記事に一本にまとめてあります。予防の点検で×が続いた人は、迷わずそちらへ移ってください。予防と対処は別の話だと最初に書いたのは、この乗り換えを迷わないためでもありました。
\ 軽いうちに、土台を作っておく /
まだ軽いいまのうちに気道の支えを整えておきたい方へ。タイプの見分けから、日々の組み立て方までを一本にしたのが気道力メソッドです。予防の段階から、無理のない分量で始められます。
教材の内容を見る※18歳未満は登録できません
予防は、派手な成果が出る作業ではありません。何も起きなかった、が成功です。だからつい後回しになります。それでも、軽いいまのあなたには、数年前の私にはもう戻れない時間があります。その時間のうちに、基準を一枚と、月イチの点検だけ。まずはそこから始めてみてください。
