横向きでもいびきをかく人へ|姿勢のせいだけではない切り分け方

横向きで寝ているのに、朝になると家族に音を指摘される。姿勢を変えれば静かになるはずだったのに、と落ち込む方は多いと思います。私もそこで一度つまずきました。
先に結論を書きます。横向きでも鳴るのは、あなたの寝方が下手だからではありません。原因が姿勢以外の場所にある、という合図です。この記事は、その切り分け方だけを扱います。
この記事の目次
横向きでも鳴るのは、めずらしくない
まず、横向きが静かになりやすい理由を一言だけ確認します。仰向けだと、ゆるんだ舌の付け根が重力で喉の奥へ落ちます。横向きにすると落ちる方向が頬の内側へずれるので、同じだけ力が抜けても喉が塞がりにくい。だから横向きは有利とされています。

ところが、横向きにしても音が残る人は普通にいます。ここで多くの人が、横向きの作り方が間違っているのだと考えて、枕を買い替えたり、抱き枕を足したりして、また外れます。もちろん横向きの精度で変わる部分はあります。ただ、姿勢を丁寧に整えてもなお鳴るなら、そこから先は姿勢の話ではなくなります。
この記事が扱わないこと
横向きをどう作るか、枕をどう当てるか、寝返りで仰向けに戻らないためにどうするか。この姿勢そのものの手順は、この記事の担当ではありません。いびきと寝方の記事に横向きの整え方と戻りにくくする工夫がまとまっているので、まだ姿勢を詰めていない方は先にそちらを見てください。この記事は、姿勢を整えてもなお鳴る人のための、切り分けの話に絞ります。
横向きでも鳴る=姿勢以外が主、という読み方
ここがこの記事でいちばん書きたいところです。横向きにしても鳴るという事実は、失敗ではなく切り分けの材料です。姿勢というのは、喉が塞がる場所を重力でずらす工夫でしかありません。ずらしてもなお鳴るなら、塞がりやすさそのものが、姿勢では動かない側にあるということになります。

塞がりやすさをつくっている要因は、姿勢で動くものと、動かないものに分かれます。横向きで音が消える人は、原因の多くが重力で動く側、つまり舌の付け根の落ち込みに寄っています。逆に横向きでも消えない人は、鼻の通りの悪さ、喉そのものの狭さ、あごの小ささ、軟口蓋のゆるみといった、向きを変えても細さが変わらない要因のほうが重い。この違いを、姿勢一晩で読み取れるのがありがたいところです。
「横向きでも鳴る」がヒントになる理由
いびきの原因はたいてい一つではなく、いくつか重なって初めて音になります。横向きにするというのは、その重なりから重力ぶんの一枚を抜く操作です。一枚抜いてもまだ音が残るなら、残りの札のほうが厚いと分かる。つまり横向きで鳴る夜は、姿勢以外の札が主役だと教えてくれているわけです。原因が一つに決まらない話そのものはいびきの原因を全部並べる記事にまとめてあるので、地図が欲しい方はそちらを先にどうぞ。
もう一つ、この読み方には気持ちの面での効き目もあります。横向きで鳴ると、多くの人は自分の努力が足りないのだと受け取って、姿勢をさらに厳しく作り込もうとします。けれど本当は、姿勢は正しくできていて、原因が別にあるだけのことが多い。責める先を自分の寝方から原因の在りかへ移すと、次の一手が具体的になります。私は横向きでも鳴った夜に、この受け取り方をようやく切り替えられました。
私のケース:横向きにしたのに鳴った夜、姿勢のせいだけではないと初めて疑った
私は四十五歳、いびきの当事者です。医療者ではないので、寝姿勢の是非を判定する立場にはありません。書けるのは、横向きにしたのに音が残った夜に何を考えたかだけです。
別室を切り出されかけた翌夜に初めて計測して、142点という数字が出ました。そのあと私が最初に飛びついたのが、横向きでした。仰向けが悪いなら横を向けばいい。単純な理屈で、その晩から意識して横向きで寝入るようにしたんです。数日は、これで解決すると本気で思っていました。
ところが、横向きで寝入った日の録音にも、しっかり音が入っていました。仰向けに戻る前の、まだ横を向いている時間帯にも鳴っている。最初は信じられなくて、寝返りで早々に戻っているだけだろうと考えました。けれど何晩か確かめても、横向きのままの時間に音がある夜がありました。そのとき初めて、これは姿勢のせいだけではないのかもしれない、と疑いました。
いま振り返ると、この横向きでも鳴った夜が、私にとっては大きな分かれ道でした。姿勢を責めて枕を買い足す方向へ行かずに、姿勢の外に原因を探しにいけたのは、この録音があったからです。買った物の名前をここで並べる気はありません。効いたのは、道具ではなく、切り分けの視点のほうでした。
だから、横向きで鳴ることに落ち込まないでほしいのです。それは対策の失敗ではなく、原因の在りかを一段絞り込めたということです。次にやるのは、姿勢をもっと頑張ることではなく、姿勢の外を見にいくことになります。
横向きで固定して確かめる、3晩の切り分け手順
頭で分かっても、実際に自分が横向きの時間に鳴っているのかどうかは、感覚では判定できません。眠っている本人には、横向きだった時間の音は残らないからです。そこで、姿勢と音を突き合わせるための切り分け手順を置いておきます。道具は計測アプリだけ、お金はかかりません。

横向きで固定して確かめる、3晩の切り分け手順
- 条件をそろえた夜を、2〜3晩えらぶ。お酒を飲んだ夜、極端に寝不足の夜、風邪や花粉で鼻が詰まっている夜は外します。これらは姿勢と関係なく音を足すので、切り分けの邪魔になります。ふだんどおりの夜を選んでください。
- 横向きで寝入る形を、毎晩そろえる。枕の高さも、抱き枕を使うかどうかも、3晩とも同じにします。横向きの整え方そのものは寝方の記事に任せますが、ここで大事なのは上手さより、3晩を同じ条件にすることです。
- 計測アプリを同じ置き場所で回す。スマホの位置を毎晩変えると、音の大きさの記録がぶれます。枕元の同じ場所に置き、機内モードなど条件も固定します。
- 朝、録音の「寝入り直後の時間帯」だけを早送りで確認する。全部を聞く必要はありません。まだ横向きでいるはずの、寝てから最初の一〜二時間に音が入っているかどうかだけを見ます。
回数の目安:2〜3晩まで。朝の確認は1晩あたり5分まで。毎晩全部を聞き返すと、続きません。寝入り直後だけを、数分見れば十分です。
結果の読み方
- 寝入り直後の横向きの時間帯にも音がある/3晩のうち複数でそうなら、姿勢以外の要因が主だと考えます。姿勢をこれ以上詰めても、頭打ちになりやすい側です。
- 横向きの時間は静かで、仰向けに戻ったあとだけ鳴る/こちらは姿勢寄りです。横向きを長く保つ工夫のほうに、まだ伸びしろがあります。戻りにくくする工夫は寝方の記事にあります。
注意を一つ。ここで数字を細かく比べようとしないでください。私が公開している実測の点数は142点だけで、何点下がったという比較はしていません。夜ごとの条件が違えば点も動くので、この切り分けで見るのは点数の上下ではなく、横向きの時間に音があるか無いかという一点だけにしてください。
同じ部屋で寝ている人がいるなら、この3晩のあいだに一度だけ、横向きだったと思う夜の印象を聞いてみてください。毎朝聞くと相手を採点係にしてしまうので、3晩に一度で十分です。本人の記憶に残らない部分を、隣の人が補ってくれます。
\ 切り分けの先の、組み立て /
横向きの時間でも鳴ると分かった方へ。姿勢の外に残った原因を、どの順番でどう扱うかは気道力メソッドにまとめてあります。今日はまず、横向きで鳴るかどうかを確かめるところまでで十分です。
教材の内容を見る※18歳未満は登録できません
姿勢の次に疑う場所と、先に受診してほしいサイン
横向きの時間にも音があると分かったら、次は姿勢の外に残った札を見にいきます。ここで並べるのは、向きを変えても細さが変わらない要因です。それぞれの見分け方の手順までは、この記事では書きません。判定は専用の記事に置いてあるので、地図だけを渡します。

姿勢では動かない側の、主な札
- 鼻の通り/鼻が詰まると口で吸い、下あごと一緒に舌の付け根が落ちます。横向きでも鼻が塞がっていれば、音は残ります。片鼻ずつ通りを確かめると手がかりになります。
- 喉そのものの狭さ/扁桃の大きさや喉の奥の空間の広さは、向きでは変わりません。もともと細い人は、横を向いても細いままです。
- あごの小ささ・引っ込み/同じ舌でも、収まる場所が狭ければ落ちたときの影響が大きくなります。痩せているのに鳴る人は、ここに札が乗っていることがあります。
- 軟口蓋のゆるみ/のどの奥のひだが呼吸のたびに震える音は、姿勢とは別の話です。ここは向きに関係なく鳴りえます。
この四つは、どれか一つに決まるとは限りません。鼻とあご、喉と軟口蓋、というように重なっていることのほうが普通です。横向きにして重力の一枚を抜いてもなお鳴るなら、残っているこれらの札が二枚三枚と積まれている可能性がある、という前提で見にいってください。
この四つのどれが自分に当てはまるのかを、座ったまま数分で確かめる手順があります。ただしその判定手順はこの記事の担当ではないので、いびきの原因タイプ診断に全部置いてあります。横向きでも鳴ると分かった人ほど、この診断へ進む価値があります。姿勢では削れない札が、そこで名前を持つからです。
その前に、先に受診してほしいサイン
切り分けの話をひとまず止めて、先に確かめてほしいことがあります。横向きでも鳴るという事実は、原因が深い場所にあることも意味します。次のどちらかに当てはまるなら、自宅での切り分けより医療機関の受診が先です。
- 眠っているあいだに呼吸が止まっていたと、家族から指摘されたことがある
- 寝たはずなのに日中の眠気が強い(会議中や運転中にうとうとする)
この二つは、睡眠時無呼吸症候群のサインとされているものです。横向きにしても音が消えず、しかも呼吸の止まりや強い眠気があるなら、姿勢や自宅の工夫を重ねる順番ではありません。私は医者ではありません。だからこそ、当てはまる方には受診を先にすすめます。何科へ行くか、どんな検査があるかはいびきは何科かの記事にまとめました。

切り分けたあと、どこへ進むか
ここまでを、道順として並べ直します。横向きで鳴るという一夜の観察から、進む方向が二つに分かれます。
横向きの時間は静かだった人
原因は姿勢寄りです。横向きをどう長く保つか、戻ってしまう夜をどう減らすかに、まだ伸びしろがあります。抱き枕や背中のクッションで戻りにくくする工夫は寝方の記事に置いてあるので、そちらで姿勢を詰めてください。この場合、姿勢を丁寧にやるだけで手応えが出やすい側です。
横向きの時間でも鳴っていた人
原因は姿勢の外です。ここで姿勢をさらに頑張っても頭打ちになりやすいので、方向を変えます。まずいびきの原因タイプ診断で、鼻・喉・あご・軟口蓋のどれ寄りかを確かめる。名前がつけば、そのタイプに効く手当てへ進めます。姿勢では削れなかった札に、初めて手が届く段階です。
私自身は、横向きでも鳴った夜をきっかけに、姿勢の外へ探しにいきました。142点という数字を横目に、姿勢で今夜をしのぎながら、残った原因のほうに手を入れていく。うまくいかなかった週も含めて、その途中経過は記録カテゴリにそのまま残しています。
最後にもう一度だけ書いておきます。横向きで鳴るのは、あなたの寝方が悪いからではありません。姿勢という一枚を抜いてもなお残る、別の札があるというだけのことです。落ち込む材料ではなく、次にどこを見ればいいかを教えてくれる合図として使ってください。
