喘息といびきが重なる夜|ヒュー音といびきの読み方

喘息(ぜんそく)持ちで、いびきも指摘される。ヒューという音といびきが同じ夜に混じって、どっちがどっちか分からなくなる。私も昔、そこで戸惑いました。
先に置いておきます。喘息といびきは別の音で、同じ夜に重なることがあります。この記事は、その重なりの読み方だけ。喘息の治療には立ち入りません。
この記事の目次
喘息といびきは、別の音が同じ夜に重なっている
最初に言葉を分けておきます。私は医者ではありません。喘息気味だった時期のある、いびきの当事者です。だから診断や、喘息の治療の中身には立ち入りません。この記事で書けるのは、喘息といびきという二つの音が同じ夜に重なったとき、それをどう読むかまでです。

いびきは、眠っているあいだに空気の通り道の上のほう、鼻からのどにかけてが狭くなって、そのまわりのやわらかい組織が震える音です。鳴っている場所は、のどの奥や軟口蓋のあたり。いわゆる上気道と呼ばれる範囲だとされています。原因がどこにどう並ぶかという全体像はいびきの原因を全部並べた地図のほうに書いたので、ここでは繰り返しません。
いっぽう喘息のヒューという音は、もっと奥、気管支という細い管が狭くなって鳴るものとされています。つまり、鳴っている場所がそもそも違います。上のほうで震えて鳴るいびきと、奥で細くなって鳴るヒュー音は、出どころが別の現象です。ここが、この記事のいちばん大事な出発点になります。喘鳴だけでなく、風邪のあとに残る胸のゴロゴロまで含めて、喉の音と胸の音を出どころで分ける手順は肺の雑音・喘鳴といびき音の違いにまとめてあります。
場所が違うから、片方を消してももう片方は残る
出どころが別だということは、対処の当たり外れにそのまま出ます。姿勢を変えたり鼻を通したりして、いびきのほうの音が小さくなっても、奥のヒュー音はそれとは無関係に残ることがあります。逆に、喘息の調子が整ってヒュー音が減った夜でも、いびきは変わらずに鳴っている、ということも起きます。二つは別の蛇口なので、片方の栓を締めても、もう片方からは水が出続けるわけです。
ところが、隣で眠っている家族には、この二つがひとまとめに聞こえます。低い音も細い音も、夜のあいだずっと続く「うるさい夜」として一続きに届く。だから本人が「いびきをどうにかしたい」と思って対策を並べても、実は音の半分は喘息側だった、ということが起こります。まず、自分の夜に鳴っているのはどっちの音なのか。そこを分けるところから始めたほうが、遠回りになりません。
ヒュー音といびきの違い(音の高さ・随伴・時間帯)
では、鳴っている音がいびき寄りなのかヒュー寄りなのか、素人がどこで見当をつけるか。私が自分の夜を読むときに使っている手がかりは、大きく三つです。厳密な仕分けは医療者の領域なので、ここでは家で気づくための目印として置きます。
1. 音の高さと質
いびきは、低く長く引きずる音になりやすいところがあります。私の録音に残っていたのも、その低い音でした。それに対して喘息のヒュー音は、細く高い、笛や口笛に近い響きだとされています。低くこもった音か、高く細い音か。この一点だけでも、耳の当たりはかなり変わります。
2. いっしょに出ている症状(随伴)
ここが、いちばん実用的な目印だと思います。いびきは基本的に、音だけで、本人につらい自覚をともなわないことが多いものです。ところが喘息側の音には、咳、胸の締めつけ、息苦しさで目が覚める、といった体の感覚がついてくることがあるとされています。音のほかに、胸や息そのものに引っかかりがあるなら、それはいびきだけの話ではないかもしれない、という合図です。
3. 出やすい時間帯と引き金
喘息の症状は、明け方や、運動のあと、風邪をひいたとき、季節の変わり目などに出やすいとされています。一年じゅう一定のいびきと違って、「この時期だけ」「明け方だけ」ヒューが混じる、という出方をするなら、そこも手がかりになります。私が調べた範囲では、こうした時間帯や引き金の偏りは、喘息側の音を疑う材料として挙げられていました。

この三つを重ねて、「今朝のは低くて症状もないから、いびき寄りかな」「明け方に胸が締まって高い音、これはヒュー寄りかもしれない」という程度の見当をつける。それが、この記事で言う併存の読み方です。断っておくと、これは自分で病名を決める作業ではありません。音の正体を精密に切り分けるのも、その先の判断も、医療者の仕事です。家でできるのは、二つが混じっているらしいと気づいて、それを記録に残すところまでです。
なぜ喘息の人はいびきも重なりやすいのか
出どころが別なら、たまたま両方を持っている人だけの話に聞こえます。ところが、喘息のある人にいびきも重なりやすい下地は、いくつか指摘されています。ここは原因の地図の一部なので深追いはしませんが、重なりを読むうえで知っておくと腑に落ちます。
共通の下地は、気道の炎症とアレルギー
喘息の背景には、気道の炎症やアレルギー体質があるとされています。同じ体質は、鼻の粘膜も腫れやすくします。鼻が詰まると、人は口で吸う。口で吸うと下あごが下がり、舌の付け根がのど側へ落ちて、いびき側の狭まりが一枚乗る。喘息の下地が、鼻を経由していびきの側にも顔を出す、という流れです。この鼻から奥への連鎖そのものは原因の地図で並べたので、ここでは「喘息といびきは、別の音でも共通の根を持ちうる」とだけ置いておきます。

夜と明け方は、もともと気道が細くなりやすい
私が調べた範囲では、明け方にかけて気道は細くなりやすい傾向があるとされています。喘息のヒュー音が明け方に出やすいのも、いびきが夜のあいだ続くのも、同じ「夜は気道がゆるむ・細くなる」という土台の上に乗っています。二つの音が同じ時間帯に顔をそろえるのは、偶然の同居というより、共通の時間帯に引き寄せられているからだと考えると、読みやすくなります。
ここで一つ、線を引いておきます。喘息は病気であり、その管理は主治医の領域です。いびきの側から「喘息にはこれが効く」と言うことは、この記事ではしません。私にできるのは、いびきという音の並びのなかに、喘息のヒュー音という別の一枚が混じりうると示すところまでです。喘息の薬や治療については、自己判断で足したり止めたりせず、処方している医師に相談してください。
\ まずは、鳴っている音を分けるところから /
いびき側の狭まりが原因のどこに並ぶのかを整理したい方は、気道力メソッドにタイプ別の並べ方をまとめています。喘息の音とは分けて、いびき側だけを落ち着いて棚卸しできます。
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私のケースと、重なりを仕分ける記録の付け方
私のケース:昔ぜんそく気味だった時期、朝方ヒューという音が混じると妻に言われた
私は四十五歳、いびきの当事者です。若いころ、ぜんそく気味だと言われていた時期がありました。発作というほどではないものの、季節の変わり目や風邪の治りかけに、胸のあたりで細い音が鳴る。そういう体質を、なんとなく引きずってきました。
いびきを本気で測りはじめたのは、妻から別室を切り出されかけた夜の翌日でした。枕元にアプリを置いて出たのが142点。録音を再生したら、低く長く引きずる音が延々と続いていました。私の頭のなかでは、これでいびきの正体は分かった、という気になっていました。
ところが、その録音を一緒に聞いた妻が言ったのです。「これとは別に、明け方だけヒューって高い音が混じる日があるよ」と。言われて聞き直すと、たしかに低い音の下に、ときどき細く高い音がのぞく夜がありました。私はそれを全部いびきだと思って、いびき対策ばかり並べていた。喘息気味だった昔の音が、いびきに紛れて残っていたのだと、そのとき初めて気づきました。
数字が下がった上がったという話は、ここではしません。私が変わったのは点数ではなく、鳴っている音を一色だと思い込むのをやめたことでした。低いいびきと、明け方の高い音。二つを別々に数えはじめてから、ようやく自分の夜が読めるようになりました。
この気づきを、感覚のままにしておくと、また一色に戻ります。そこで私は、いつもの記録に喘息側のひとことを足す形に変えました。教材の30日記録を土台に、次の手順で付けています。この記事が担当できるのは、体操の中身ではなく、この仕分けの記録のほうです。
いびきとヒュー音を分けて残す、記録の付け方
- いつもの記録に、欄を一つだけ足す。「明け方のヒュー音」の欄を作り、あった夜は○、なかった夜は×。判断に迷ったら△。これだけなら、毎朝30秒で済みます。
- その○の横に、体の感覚を一言そえる。咳で目が覚めた、胸が締まった、息苦しかった、どれもなければ「音だけ」。喘息側の音は体の感覚をともなうことがあるので、ここが後で効きます。
- 週末に一度だけ、明け方の録音を聞き分ける。毎晩は要りません。低く引きずる音(いびき寄り)と、細く高い音(ヒュー寄り)が、別々に入っていないか、音の高さだけを耳で追います。仕分けの精密判定はしません。気づいて印をつけるだけです。
- その夜の引き金を、日付に足す。花粉、風邪、運動、飲酒、寝不足。喘息側は季節や体調に振られやすいので、引き金が並ぶと重なりの理由が見えてきます。
回数の目安:○×は毎晩30秒。録音の聞き分けは週に一回、3分まで。
注意が二つあります。ひとつ、これは喘息の自己診断ではありません。○がついた夜が続くこと自体を怖がる必要はなく、目的は、仕分けた記録を主治医や受診のときにそのまま渡せる材料にすることです。ふたつ、喘息の薬は、この記録を理由に自分で増減しないでください。記録は判断の材料であって、判断そのものではありません。付けた記録は残しておくと、あとから見返せます。日々の記録の並べ方そのものは30日の記録のほうも参考になります。
この重なりで、受診を急ぐサイン
ここは、家で様子を見る話より前に置くべき節です。喘息といびきが重なっているとき、危険度は片方だけのときより読みにくくなります。だから、当てはまるサインがあるなら、記録や自宅の工夫より受診が先です。何科に行くか、どんな検査があるかという段取りはいびきは何科か・受診の目安にまとめたので、ここでは急ぐサインだけを並べます。

いびき側で、受診を先にするサイン
いびきの途中で音が止まり、しばらくして大きく吸い直す。眠っているあいだに呼吸が止まっていると家族から指摘された。寝たはずなのに日中の眠気が強く、会議中や運転中にうとうとする。夜中に息苦しさで目が覚める。こうしたサインは、いびきの奥に睡眠時無呼吸が隠れている可能性のあるものとされています。呼吸が止まる指摘と、日中の強い眠気の二つは、のどの体操や記録で様子を見る前に、医療機関で相談してください。喘息が重なっている人ほど、この二つは自分で判定しないほうがよい領域だと思います。
喘息側で、主治医に相談したほうがよいサイン
私は医者ではないので、喘息の治療には立ち入りません。それでも、次のような変化は主治医に伝える場面だとされています。ヒュー音が以前より増えた。息苦しさで目が覚める夜が続く。発作の頻度や、吸入などの薬の要る回数が増えてきた。運動や階段で以前より息が上がる。喘息の管理は主治医の領域なので、いびきの記録を持っていくついでに、これらもそのまま伝えてください。
そして、二つが重なっているときの原則を一つだけ。いびき側と喘息側、どちらか一方でも急ぐサインが立っているなら、迷わず受診を先にする。重なっていると、片方の音がもう片方を隠して、全体像が読みにくくなります。読みにくいときほど、自分で結論を出さずに、材料を持って医療者に渡すのが早道です。仕分けた記録は、その場で何よりの材料になります。
併存を前提に、家でできることの位置づけ
最後に、急ぐサインが立っていない人、受診して喘息の側は管理できていて、いびきの音だけが残っている人の話です。受診がまだで、前の節のサインに当てはまる方は、この節を飛ばして医師の指示を優先してください。
この段階でも、原則は変わりません。喘息の治療は主治医の領域で、いびきの側から手を出すものではない。家でできるのは、いびきという別の音のほうを、落ち着いて棚卸しすることです。二つを混ぜて考えると、どちらの手も中途半端になります。分けたうえで、いびき側だけを扱う。

いびき側の要因は、鼻の通り、寝る姿勢、のどと舌の力など、いくつかに分かれます。喘息と共通の下地である鼻の炎症が絡んでいることも多いので、どの札が乗っているかを並べるところから始めると、遠回りになりません。要因の並べ方そのものは原因の地図に置いたので、この記事では中身を繰り返しません。
この記事の要点だけ、もう一度
- 喘息のヒュー音といびきは、鳴る場所も意味も違う別の音。同じ夜に重なることがある
- 読み分ける手がかりは、音の高さ・いっしょに出る症状・出やすい時間帯の三つ
- 家でできるのは、二つを分けて記録に残すところまで。仕分けの判定も治療も医療者の領域
- 呼吸が止まる指摘、日中の強い眠気、息苦しさで目覚める夜が続く、そのどれかがあれば受診が先
喘息という下地を抱えたまま、いびきの音とどう付き合うか。答えを一つに決める作業ではなく、まず二つを分けて、分けたうえでそれぞれの担当に渡す作業だと考えると、気が楽になります。私も、音を一色だと思い込むのをやめてから、ようやく自分の夜を読めるようになりました。
