いびきと歯ぎしり・食いしばりの関係|朝、顎がだるい

朝起きて奥歯がだるい。いびきも言われている。その2つが頭の中でつながらないまま、なんとなく気になっている人は多いと思います。
結論から書きます。いびきと歯ぎしり・食いしばりは仕組みとしては別のものですが、同じ夜に重なって起きることが知られています。この記事では、重なりの意味と、朝の顎のだるさをどう扱えばいいのかを整理します。
この記事の目次
いびきと歯ぎしりが同じ場所で語られる理由
まず仕組みの話をすると、この2つは別のものです。いびきは空気の通り道が狭くなって、そこを通る空気が粘膜を震わせる音。歯ぎしりや食いしばりは、顎の筋肉が働いて上下の歯を強く合わせる動きです。音の出どころも、動いている場所も違います。
それでもこの2つが同じページに並べて語られるのは、起きている条件がそっくりだからです。
- 眠っているあいだに起きるので、本人には自覚がない
- 家族やパートナーに指摘されて、初めて自分のこととして知る
- 音の出ない食いしばりは、指摘すらされないまま何年も続く
- どちらも「疲れているだけ」「そのうち収まる」で片づけられやすい
つまり、自分では確かめられないまま放置される点が同じなのです。私が調べた範囲では、歯科の情報でもいびきの情報でも、この「気づけなさ」が最初に書かれていることが多い。それだけ共通の入口だということだと思います。その指摘を口に出すまでに相手が何を調べて迷っていたのかは、指摘する側が匿名で書いている相談の型のほうに6つに分けて置いてあります。
いびきを録音しはじめると、実はこの2つはまとめて表に出てきます。枕元に置いたスマホは、いびきの音だけを選んで拾ってくれるわけではありません。寝返りの音も、寝言も、歯のこすれる音も、同じ夜の記録として並びます。自分の夜を録るというのは、知らなかった癖をまとめて見せられるということでもあります。
もうひとつ、この2つは相談する窓口まで分かれています。歯のことは歯科、いびきのことは耳鼻咽喉科や睡眠外来。扱う人が違えば、同じ夜に起きていたことでも別々の話として処理されます。当事者の側も同じで、私は自分の中に何年も線を引いたままにしていました。奥歯がだるい朝は歯の話、妻に指摘された音はいびきの話。ひとつの夜の出来事として並べたことは一度もありませんでした。

歯ぎしり・食いしばりが起きるとされる背景5つ
いびきと歯ぎしりを結びつける説明として、よく出てくるものが1つあります。眠っているあいだに気道が狭くなったとき、体が顎を動かして通り道を確保しようとする反応がある、という説明です。顎を前や横へ動かせば、舌の付け根も一緒に前へ引かれます。その動きが歯のこすれとして表に出たものが歯ぎしりだ、という見立てですね。歯科系の解説でも睡眠系の解説でも、この形で紹介されているのを見かけます。
ここで先に立場を書いておきます。私は医者ではありません。医療者ではなく、当事者として自分の記録を公開しているだけの45歳です。ですから原因と結果がどちら向きなのかを決めることはしませんし、以下に並べるものも「そう説明されることがある」までにとどめます。断定でも診断でもありません。
1|日中の噛みしめが、夜まで持ち越されている
安静にしているとき、上下の歯は本来わずかに離れているとされています。ところが集中しているあいだ、気づかないうちに歯を触れさせ続けている人がいます。昼のあいだ休めていない顎は、夜になっても力が抜けきらない。日中の噛みしめに気づくための場面の決め方と、その場でほどくやり方はあごが小さいといびきをかく理由のほうで扱っているので、ここでは背景として名前を挙げるだけにします。
2|緊張と、寝る前まで残る気の張り
歯ぎしりの背景として最もよく挙げられるのが、精神的な緊張だとされています。日中に張り詰めた状態が続くと、眠っているあいだの筋肉の活動まで高いまま残る、という説明です。ただ、緊張のない生活を作るのは無理な相談なので、私はここを対策の入口にはしていません。心当たりがあるなら「そういう時期に増えることがある」という程度に持っておくのが、ちょうどいいと思っています。
3|お酒、カフェイン、喫煙
寝る前のお酒やカフェイン、喫煙が歯ぎしりと関わるとされる説明も、よく見かけます。お酒についてはいびきの側でも同じことが言われていて、飲んだ夜は喉まわりの筋肉がゆるんで気道が狭くなりやすいとされています。つまり飲んだ夜は、両方の条件が同時に悪くなる可能性があるということになります。条件をそろえて記録したい人は、飲んだ夜だけ印をつけておくと、あとから読み返しやすくなります。
4|噛み合わせや、詰め物の高さ
被せ物や詰め物の高さが合っていない、噛み合わせに偏りがある、といった要因が挙げられることもあります。ただしここは、自分で見て判断できる場所ではありません。鏡の前で高い低いを決めようとしても分かりませんし、決めたところで自分でできることは何もない。心当たりがあるなら歯科で診てもらうのが早い領域です。
5|眠りが浅くなった瞬間そのもの
歯ぎしりは、眠りが深いところから浅いほうへ持ち上がった瞬間に出やすいとされています。いびきをかいている夜は、狭い通り道で呼吸を続けているぶん、その持ち上がりが増えやすい。眠りの浅さのしくみと、そこから朝と昼に出るサインの読み方はいびきで眠りが浅いにまとめてあるので、この記事では顎の側だけを見ます。
5つ並べてみると、性質が違うことに気づきます。2番と3番は生活の側、4番は歯科の側、5番は夜の呼吸の側の話です。そして1番の噛みしめだけが、昼と夜の両方にまたがっている。原因をひとつに特定できなくても、顎まわりを休ませる方向には動かせる。私が手元に残せたのは、その一点でした。
なお、顎そのものが狭かったり、顎を支える筋肉がこわばっていると、外側から喉が押されて気道が狭くなるとされています。この仕組みと、自分が顎タイプかどうかの見分け方はあごが小さいといびきをかく理由に置いてあるので、ここでは要点だけにとどめます。
顎ではなく喉の廊下そのものが狭くて低く鳴っている気がするなら、喉いびきとは何か、鳴っている場所を地図にするで先に位置を確かめておくと、顎の話と喉の話を混ぜずに読めます。

朝に出る、顎まわりのサイン4つ
夜のことは本人にはわかりません。けれど朝のサインなら、自分ひとりで確認できます。歯ぎしりや食いしばりが続いているときに出やすいと言われているのは、次の4つです。
- 奥歯がだるい、浮いたような感じがする。虫歯のような鋭い痛みではなく、鈍い疲労感に近いもの
- 顎の付け根が疲れている。耳の穴のすぐ前あたりに指を当てて口を開け閉めすると、こわばりを感じる
- 頬の内側や舌の縁に、歯型のような跡がある。強く噛み続けた結果として現れることがあるとされています
- こめかみや側頭部が張っている。噛む筋肉は頭の横まで伸びているためです
この4つに共通しているのは、どれも朝いちばんがいちばん強く、時間が経つと薄れてしまうことです。顔を洗って着替えて、通勤して、昼になるころには「そういえば今朝、奥歯がだるかったな」まで後退している。夜のことを知る手がかりが、起きてからの数十秒にしか残っていないわけです。
逆に言えば、その数十秒に確認する場所を決めておけば、手がかりは毎朝拾えます。朝の頭痛や日中の眠気といった、顎まわりに限らない睡眠の質のサインについては別記事で整理しているので、この記事では顎の話に絞ります。
私のケース:奥歯がだるい朝と、数字が跳ねた夜
30日ログをつけはじめてしばらくして、記録の余白に体調を書き足すようにしました。朝いちばんに感じたことを一行だけ、スコアの横に書く。それだけの話です。
何日か分が溜まってから見返すと、「奥歯がだるい」「顎が疲れている」と書いた朝の前の晩は、数字が跳ねている夜と重なっていました。逆に、顎について何も書かなかった朝は、数字も落ち着いていることが多かった。
これは私ひとりの、しかも数日分の記録です。原因を証明するものではありません。ただ、それまで私は奥歯のだるさを完全な別件として処理していました。歯の不調は歯、いびきはいびき。初回の計測で142点を記録したときですら、顎のことは頭にありませんでした。同じ夜の出来事として並べて見たのは、記録の余白に一行足すようになってからです。

\ 朝のサインは、記録の余白一行から見えてきます /
いびきのスコアと、朝の体の感じ。この2つを並べて30日つける形式は気道力メソッドにまとめてあります。5タイプ診断で自分がどこから詰まっているかを絞ってから、26のトレーニングの中で必要なものだけを回す作りです。
教材の内容を見る※18歳未満は登録できません
放置すると何が起きるとされるか。ナイトガードは何を守る装置か
音の出ない食いしばりは、家族にも指摘されません。だからこそ、放っておいた場合に何が起きるとされているのかを、先に置いておきます。ここが分かると、次に出てくる装置が何のために存在しているのかもつながります。
歯と顎に起きるとされること
- 歯のすり減り。奥歯の噛む面が平らになったり、前歯の先が短くなったりするとされています
- 歯が欠ける、ひびが入る。強い力が一点に集まった場合に起こることがあると説明されています
- 知覚過敏。表面が削れて薄くなると、冷たいものがしみやすくなるとされています
- 詰め物や被せ物が欠ける、外れる。想定された力を超えるためだと説明されています
- 顎の関節への負担。口を開けるときの音や、開けにくさとして出ることがあるとされています
- 歯を支える組織への負担。歯ぐきや骨に力がかかり続けることの影響を指摘する解説も見かけます
これらは私が調べた範囲での一般的な説明で、自分に当てはまるかどうかを鏡の前で判定することはできません。すり減りの程度も、ひびの有無も、見て分かるのは歯科の側だけです。ここで挙げたのは、脅かすためではなく、次の話につなげるためです。つまり、こうした負担があるからこそ「歯を守るための装置」というものが用意されている、という順番です。
そしてこの順番は、口コミの読み方にもそのままつながります。歯を守る目的で作った装置を使って「いびきには効かなかった」と書いている人は珍しくありませんが、それは装置が仕事をしなかったのではなく、最初から別の仕事を任されていたということです。守らせたい対象が歯なのか、空気の通り道なのか。そこを取り違えたまま感想だけを集めると、装置そのものの評価まで一緒にずれていきます。
歯ぎしりを調べるとマウスピースが出てきて、いびきを調べてもマウスピースが出てきます。同じ言葉で呼ばれているせいで、まったく別の装置が混ざったまま検討されてしまう。私が調べた範囲では、大まかにこう分かれます。
ナイトガード(歯ぎしり・食いしばり用)
目的は歯と顎を守ることです。上下どちらかの歯列にかぶせて、噛む力が歯に直接かかるのを防ぐ。上に挙げたすり減りや破折、詰め物への負担、顎関節への負担をやわらげるための装置とされています。歯科で型を取って作るもので、顎関節症の診断がある場合などは保険で作れるケースがあると説明されています。狙いは力を受け止めることであって、気道を広げることではありません。
スリープスプリント(いびき・睡眠時無呼吸用の口腔内装置)
こちらの目的は気道を広げることです。下顎を少し前に出した位置で固定して、舌の付け根を前へ引き、喉の奥の空間を確保する狙いの装置とされています。医科で睡眠時無呼吸と診断されたうえで、歯科に紹介されて作る流れが一般的だと説明されています。歯を守るためのものではありません。

要するに、片方は歯を守る装置、もう片方は空気の通り道を作る装置です。歯ぎしり用を入れていびきが変わらなくても、それは当たり前のことでした。逆も同じで、いびき用を入れたからといって噛む力そのものが消えるわけではありません。
そしてどちらも、自分で決められる領域ではありません。ナイトガードは歯科の診察がいりますし、スリープスプリントは医科の診断が前提になります。市販の型取り式マウスピースで試せる範囲と、そこで見えてくる限界についてはいびき用マウスピースの効果に分けて書きました。
ひとつだけ順番の話をしておきます。家族から「寝ているときに息が止まっていた」と言われたことがある、あるいは日中に強い眠気があるなら、顎の緊張やナイトガードより先に受診してください。無音のあと大きく吸い直す音があるかどうかは、録音を再生すれば自分でも確かめられます。どこへ行けばいいかはいびきは何科を受診するかにまとめました。私は録音にその無音が入っていなかったので、いまは自宅でできることを選んでいます。
自宅に残るのは、顎を休ませることと、朝を記録に残すこと
装置は歯科と医科の領域です。では自分の手元に何が残るかというと、2つあります。日中に顎の緊張をほどいておくことと、朝の顎を記録に残しておくことです。
前者について、要点だけ書いておきます。顎まわりの緊張が喉の側に影響する話は先に触れたとおりで、ほどく先はそこです。顎まわりをゆるめる体操そのものはあごが小さいといびきをかく理由に手順まで置いてあるので、この記事では繰り返しません。読む順番としては、あちらで体を動かし、こちらで朝を記録する、という組み合わせになります。
この記事が扱うのは、後者のほうです
気道力メソッドの30日記録用紙には、スコアの横に体調を一行書く欄があります。汎用の欄なのですが、私はそこを顎に絞って使いました。文章で書こうとすると三日で止まるので、書き方を先に決めてしまうのがこつです。手順にすると次のようになります。
- タイミングを固定する。起きて洗面所に立ったとき、歯を磨く前です。顔を洗ったあとでは、もう薄れています
- 見る場所を3つに固定する。順番も固定します。①奥歯のだるさ、②耳の穴の前あたりの疲れ、③頬の内側と舌の縁の跡。鏡の前で口を開けて見るのは③だけで、①と②は感覚で拾います
- 書くのは3文字だけ。スコアの横の余白に「奥・付・跡」と並べて書いておき、あった項目に丸をつけます。文章にしない。全部なければ、横線を1本引くだけで終わりです
- 1日1回、朝だけ。夜はやりません。夜に思い出して書いた分は、その日の朝の話ではなくなるからです
- 数えるのは、丸がついた朝の数だけ。丸がついた朝が、その週に何日あったかだけを数えます。1日ぶんでは、顎の調子の波と区別がつかないからです。これを30日分ためます
所要時間は、慣れれば20秒ほどです。注意も3つ書いておきます。
- 痛みがある日は、丸ではなく別の印にしてください。だるさと痛みは別ものです。痛みの印が続くなら、記録を続けるより歯科で診てもらうほうが先です
- すり減りやひびを自分で判定しようとしないこと。ここは私の領分ではありませんし、素人が鏡で見て分かる場所でもありません。拾うのは、あくまで自分の感覚のほうです
- 記録の目的を取り違えないこと。これは原因を証明するための記録ではありません。奥歯のだるさといびきを、同じ夜の出来事として並べて置いておくための記録です
最後に、この記事の位置づけを書いておきます。私は歯ぎしりが原因でいびきをかいている、と主張したいわけではありません。証明できないからです。言いたいのは順番の話で、朝の顎のだるさは自分で気づける数少ないサインなのに、多くの人がそれを歯の問題として切り離してしまっている、ということです。いびきの記録をつけているなら、その横に3文字足すだけで、切り離す必要のなかった情報がつながります。
