子どものいびきとアデノイド・扁桃肥大|2歳からの年齢別の見方

2歳を過ぎた子どものいびきを調べてここに来た方は、たぶん昨夜の寝息で少し立ち止まったのだと思います。
先に結論を書きます。子どものいびきは、多くがアデノイドや扁桃の大きさという、家では動かせない要因と絡みます。だから対策を探すより、小児科か耳鼻咽喉科に見てもらう順番が先になります。
この記事の目次
アデノイドと扁桃(へんとう)は、鼻とのどの奥にある
先に立場を書いておきます。私は45歳で、自分のいびきを計測して142点という数字を突きつけられた当事者です。私は医者ではありませんし、まして子どもの体を判断できる立場ではありません。ここに書けるのは、大人のいびきを自分の体で追いかけてきた者として、子どものいびきだけは扱いが違うと知った経緯までです。

子どものいびきを調べると、まず出てくるのがアデノイドと扁桃(へんとう)という二つの言葉です。どちらも、鼻から吸った空気が通る道のまわりにある、免疫の働きにかかわる組織だとされています。まずは、この二つがどこにあるのかだけ、はっきりさせておきます。
場所が違う二つの「関所」
- アデノイド(咽頭扁桃)/鼻の奥、のどの上のほうにあります。口を開けても見えない場所です。ここが大きくなると、鼻から入った空気の通り道がその奥で細くなります。
- 扁桃(へんとう)(口蓋扁桃)/口を大きく開けたとき、のどの両脇に見えるふくらみです。ここが左右から張り出すと、のどの真ん中の空間が狭くなります。
大人のいびきの記事では、私はいつも「気道のどこが狭くなって鳴るか」という地図を描いています。子どもの場合、その地図の上のほうにある鼻の奥と、真ん中にあるのどの脇、この二か所に最初から場所を取っているものがあるかどうか、という話が上位に来ます。ここが大人と大きく違うところです。
なぜ、子どもの時期にかぎって大きくなりやすいのか
私が調べた範囲では、アデノイドや扁桃は、体を守る仕組みが活発に働く子どもの時期に、体の大きさに対して相対的に大きくなりやすいとされています。大人になるにつれて、体のほうが育って追い越していくので、比率としては小さくなっていく。つまり、これは病気というより、成長の途中で通り道と組織の大きさのバランスが一時的にきつくなる時期がある、という見方をされることが多いようです。
もちろん、鼻炎や風邪でその組織が腫れて、一時的にさらに大きくなることもあります。だから「風邪の週だけ鳴る」のか「ふだんの夜も鳴っている」のかで、話の重さが変わってきます。ここを見分ける観察のしかたは大人の私が語る範囲を超えるので、親御さんが寝室で見ておく観点は子どものいびきの記事にまとめてある形にしてあります。この記事では、その奥にあるアデノイドと扁桃という土台のほうを掘り下げます。
大人は筋肉のゆるみ、子どもは場所ふさぎ
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。大人のいびきと子どものいびきは、同じ言葉で呼んでいても、鳴っている理屈がずれています。

大人のいびきは、眠って全身の力が抜けたときに、舌の奥やのどの支えがゆるんで気道が狭くなり、そこが震えて鳴ります。私が家で口とのどを動かしているのも、加齢でゆるんだ支えを底上げしたいからです。原因の中心にあるのは筋肉の張りの低下で、そこに体重やお酒や疲れが乗ります。
ところが子どもの場合、上位に来るのは筋肉のゆるみではありません。通り道の中に、もともと場所を取っているものがあるかどうかです。アデノイドや扁桃が大きければ、それは起きていても眠っていても、そこにあります。姿勢を変えても、枕を替えても、口を閉じさせても、大きさそのものは変わりません。
この違いが、そのまま一つの結論につながります。大人向けの自宅トレやグッズを、子どものいびきに当てはめないでください。私が毎日やっている口とのどの運動は、大人の自分に向けて大人の回数で組んだもので、狙っているのは加齢でゆるんだ支えの底上げです。子どものいびきで上位に来る場所ふさぎには当たっていません。効かないだけならまだしも、それで受診が遅れるのが困ります。この線引きの詳しい理由は子どものいびきの記事に譲りますが、原則だけここでも太字にしておきます。
大人の私自身、自分の音を2年間ずっと鼻のせいだと読み違えていました。自分の、しかも大人の音ですら外したのです。子どもの通り道の中で何が起きているかを、家で言い当てられると考えないほうがいい。これは自戒を込めて書いています。
年齢別の見方:乳児期・2〜6歳・学童期
アデノイドと扁桃の大きさは、年齢によってカーブを描くとされています。だから「何歳ごろのいびきか」で、見方の重心が変わります。ここでは、大きく三つの時期に分けて並べます。順に読むと、いま自分の子がどのあたりにいるのかの見当がつくはずです。

乳児期(生まれて間もない時期):構造の細さの話
生まれてしばらくの赤ちゃんが、いびきのような音を立てるのは、アデノイドや扁桃の肥大というより、鼻の通り道そのものが細いという構造の話であることが多いとされています。ここは年齢の枠がまるで違うので、この記事では扱いません。乳児期の呼吸音については新生児のいびきのような音の記事に切り分けてあります。月齢が低い方は、まずそちらを読んでください。
2〜6歳ごろ:アデノイドと扁桃がいちばん目立ちやすい時期
「2歳 いびき」という調べ方でここに来る方が多いのは、理由のないことではありません。私が調べた範囲では、アデノイドや扁桃は、おおむね幼児期から就学前あたりにかけて、体に対して相対的にいちばん大きくなりやすい時期があるとされています。2歳を過ぎて、風邪でもないのに寝息にいびきが混じるようになった、口を開けて寝ている、という流れは、この時期の見方の中心にある話です。
この時期でとくに大事なのは、風邪や鼻炎の数日だけ鳴っているのか、ふだんの夜も続いているのかの区別です。前者なら、鼻が腫れているあいだの一時的な話であることが多い。後者、つまり鼻が通っているはずの日も鳴っているなら、土台の大きさそのものを一度見てもらう順番になります。
学童期から思春期:体が追い越していく時期、ただし待つ危うさ
就学のころから思春期にかけて、体の成長がアデノイドや扁桃の大きさを追い越していき、比率として狭さがやわらいでいくとされています。「そのうち落ち着くかもしれない」という話には、この背景があります。
ただし、私はこれを安心材料としてだけ受け取らないほうがいいと考えています。いびきで眠りが細切れになる状態が続くと、その時期の日中の様子や成長に影響しうるとされているからです。しかも子どもの場合、日中の出方が大人と違って、眠気そのものより、機嫌の悪さや落ち着きのなさとして出ることがあるという説明を、私は複数の医療機関の解説で見ました。「昼は元気だから大丈夫」という大人の感覚が、そのまま通用しないわけです。だから、いつか小さくなるかもしれないことを、いま様子を見続ける理由に使わないほうがいい。ここは強めに書いておきます。
口呼吸とのつながりが、年齢とともに固まる
アデノイドや扁桃の話を、大きさだけで終わらせないほうがいい理由があります。鼻の奥がふさがると、子どもは口で息をするようになる。そしてその口呼吸が、年齢とともに癖として残っていくことがあるからです。
流れはこうです。鼻の奥のアデノイドが大きくて空気が通りにくいと、子どもは自然と口を開けて吸います。口呼吸が続くと、鼻を使わない状態が当たり前になっていく。私が調べた範囲では、この口呼吸が長く続くことは、顔つきや歯並びの育ち方、いわゆるアデノイド顔貌と呼ばれる特徴と結びつけて語られることがあるとされています。ここは私が判断できる領域ではないので、そういう説明があるという以上には踏み込みません。

大事なのは、子どもは成長の途中にいるということです。大人の口呼吸なら、いま気づいて鼻呼吸へ戻す練習を始めても、体の作りそのものは変わりません。ところが子どもは、育っていく時期に癖がついていくので、原因が解決したあとにも口呼吸だけが残ると、話がややこしくなるとされています。だから「音がうるさいかどうか」だけでなく、日中も口が開いているか、鼻声が続いているか、という点が観察の手がかりになります。
私が大人の当事者として言えるのは、鼻呼吸へ戻すのは大人でも簡単ではない、ということだけです。だからこそ、癖が固まる前の時期に、土台のほうを見てもらう意味があるのだと思っています。口呼吸そのものを大人がどう扱うかという話は、この記事の担当ではありません。
家で答えを出さず、小児科・耳鼻咽喉科へ
ここまで、アデノイドと扁桃という土台の話を並べてきました。最後に、いちばん強く書いておきたいことを置きます。この記事は、子ども向けの自宅ケアを案内するために書いたものではありません。アデノイドや扁桃の大きさは、家でどれだけ工夫しても変わらない側の要因です。確かめられるのは診てもらう相手だけで、私が差し出せるのは、行き先を指さすところまでです。
私のケース:甥のいびきが、後で耳鼻科の話になっていたと聞いた
これは、自分の子の話ではありません。姉の子、私の甥の話を、後から伝え聞いた範囲で書きます。私自身がその場で何かをしたわけではないので、体験というより伝聞です。
甥が2歳を過ぎたころ、口を開けて寝ていて、寝息にいびきのような音が混じる、と姉が気にしていた時期がありました。私はそのとき、自分のいびきを2年かけて調べていた最中でしたが、子どものいびきについては何ひとつ持っていませんでした。大人の自分の音は測れても、甥に向けて言えることが一つもなかったのを覚えています。
結局、姉夫婦は小児科から耳鼻咽喉科へと相談して、アデノイドや扁桃の大きさを見てもらったと、後になって聞きました。どういう結論になったのかまでは、私が軽々に書ける話ではありません。ただ、私が印象に残っているのは、姉が「家であれこれ調べていた時間より、一度見てもらってからのほうが早かった」と言っていたことです。自分の受診を今も先延ばしにしている私には、耳の痛い一言でした。
観察のしかたや、小児科と耳鼻咽喉科のどちらへ行くかという段取りは、この記事では細かく書きません。親御さんが寝室で見ておく観点と、受診前に材料を残す手順は子どものいびきの記事のほうにまとめてある形にしてあります。この記事から、そのまま続けて読めます。
これは様子を見ずに相談してほしい、というサイン
ひとつだけ、順番として先に確かめてほしいことを書きます。眠っているあいだにいびきの音がふっと途切れて、そのあと大きく吸い直す、あるいは息が止まって見える瞬間がある。これは大人でいう睡眠時無呼吸症候群のサインにあたる観点で、自宅で様子を見る前に相談してほしい側の話です。大人の場合は、呼吸が止まっていると指摘されたことや、日中の強い眠気が同じ役割を持っていて、そこに当てはまるなら受診が先になります。もし親御さん自身にそうした心当たりがあるなら、大人の受診の段取りはいびきは何科かの記事にまとめてあります。子どもについては、この観点を見つけたら、観察メモを何晩もそろえるより先に連絡してよい、というのが私の考えです。

最後にもう一度だけ。私は医者ではありません。この記事で並べたのは、アデノイドと扁桃という土台の見取り図と、年齢ごとの重心の置き方までです。診断は見取り図では引けません。家で答えを出そうとして検索を続けている時間が、いちばんもったいない時間だと、大人の当事者として思います。土台を確かめるのは、小児科か耳鼻咽喉科の仕事です。そこへ、今日見た様子を材料として持っていってください。
