子どものいびき|親が見る5つの観点と、受診が先である理由

子どものいびきを調べてここに来た方は、たぶん昨日の夜、寝室で少し立ち止まったのだと思います。
先に結論を書きます。子どものいびきは、大人の私が家でやっているケアの対象外です。原因の並び方が違うので、家で対策を探すより、小児科か耳鼻咽喉科に見てもらう順番が先になります。
この記事の目次
子どものいびきは、大人と原因の並び方が違う
まず、この記事の立場をはっきりさせておきます。私は45歳で、自分のいびきを計測して142点という数字を突きつけられた当事者です。私は医者ではありませんし、まして子どもの体のことを判断できる立場ではありません。ここに書けるのは、大人のいびきを自分の体で追いかけてきた者として、子どものいびきだけは扱いが違うと知った経緯と、親が家で見ておける範囲までです。

大人のいびきは、眠ったときに舌や喉やその周りの支えがゆるんで、空気の通り道が狭くなることで鳴ります。だから大人の側では、加齢で張りが落ちること、お酒で余計にゆるむこと、体重、疲れ、鼻の通りといった要因が並びます。私が家で口と喉を動かしているのも、そのゆるみを底上げしたいからです。
ところが子どもの場合、並ぶ要因の順番が変わります。私が調べた範囲では、子どものいびきでまず挙げられるのはへんとうやアデノイドが大きいことで、次にアレルギー性鼻炎などの鼻づまり、そして口で呼吸する癖が続いていることだとされています。つまり、筋肉のゆるみより先に、通り道の中に物理的に場所を取っているものがあるかどうか、という話になります。そのアデノイドと扁桃がなぜ子どもの時期にだけ大きくなりやすいのか、2歳から学童期までどう見方が変わるのかは子どものいびきとアデノイド・扁桃肥大を年齢別に見る記事で掘り下げました。
いちばん大きな違いは「家で動かせるかどうか」です
ここが、この記事を書いた理由です。大人のゆるみは、生活と運動である程度こちらから手を出せます。ところが、通り道の中で場所を取っているものの大きさは、家でどれだけ工夫しても変わりません。姿勢を変えても、枕を替えても、口を閉じさせても、そこにあるものはそこにあります。

もうひとつ、大人と違う点があります。子どもは眠っているあいだに体が育つ時期にいる、ということです。私が調べた範囲では、いびきが続いて眠りが細切れになると、日中の落ち着きや集中、成長のペースに影響しうるとされています。だから「大人になれば静かになるかもしれないから、それまで待つ」という考え方が、大人のいびき以上に高くつく可能性があります。
いびきの原因そのものを、大人の側から全部並べた記事は別にあります。気道のどこが鳴るのか、なぜ原因がひとつに決まらないのかという全体像はいびきの原因にまとめました。ただ、あちらは成人の自分を対象に書いたもので、子どもにそのまま当てはめる前提では作っていません。この記事の続きを先に読んでください。
親が寝室で見る5つの観点と、3晩の観察メモ
ここがこの記事で私がいちばん書きたかったところです。受診したほうがいいと言われても、いざ診察室で「いつからですか」「息は止まっていますか」と聞かれると、多くの親御さんが答えに詰まります。眠っているのは子どもで、起きているはずの親も、その時間は寝ているからです。
だから、行く前に材料を集めます。難しいことはしません。3晩だけ、1分ずつ見る。それだけです。

手順:3晩、1分の観察
- 子どもが寝入ってから30分から1時間ほどたったころに、部屋へ行きます。寝入りばなは誰でも呼吸が浅くなったり深くなったりするので、少し落ち着いてからのほうが素の状態が見えます。
- 電気はつけません。廊下の明かりが入る程度で十分です。顔の近くに立たず、胸から上が見える位置に座ります。
- そのまま1分だけ見ます。時計を見ながらでかまいません。これ以上長くいると、こちらが不安になって細かいところばかり気になります。
- 記録するなら、スマホの動画を30秒だけ。顔を大写しにせず、胸のあたりが入る角度で。あとで本人に見せるためのものではないので、撮ったら医療機関に見せる用としてフォルダを分けておきます。
- 部屋を出たあと、その場で1行だけメモします。日付、その日鼻がつまっていたかどうか、そして次の5つの観点のうち当てはまった番号だけ。文章にする必要はありません。
見る5つの観点
- 口が開いているか。ずっと開いたままか、ときどき閉じるか。開きっぱなしなら、鼻が通っていない可能性が見えます。
- 音が途切れる瞬間があるか。大きい音か小さい音かではなく、鳴っていた音がふっと消えて、そのあと大きく吸い直す形になっていないか。ここがいちばん大事な観点です。
- 息をするのに力がいっているか。吸うときに、のどの下やあばらの間がへこむほど頑張っているように見えるかどうか。静かに吸えている子は、胸がなめらかに上下します。
- 姿勢を自分で選んでいるか。首を大きく反らせている、うつ伏せで顎を上げている、座るような格好で寝ているといった形は、本人が通り道を開けようとして選んでいることがあります。
- 汗と寝相。髪が濡れるほどの寝汗や、一晩じゅう転げ回って布団が飛んでいるといった様子が続いているか。
注意が3つあります
ひとつ、毎晩見にいかないこと。3晩で足ります。毎晩続けると、親のほうが眠れなくなります。私は自分のいびきを測っていた時期に、数字を毎朝見ては気持ちが上下したので、これは実感として書いています。
ふたつ、点数をつけないこと。ひどい、軽いといった評価は要りません。当てはまったかどうかだけを残します。評価は診てもらう相手の仕事です。
みっつ、風邪をひいている週は、その旨を書いておくこと。鼻がつまっている数日と、普段の夜は分けて考える必要があります。同じ紙に並べておけば、そこも含めて見てもらえます。
この3晩ぶんのメモは、そのまま受診のときに渡せます。親が口で説明するより、日付と観点の番号が並んだ紙のほうが早く伝わります。私は自分の受診をまだしていませんが、材料をそろえておくと話が具体的になるという点は、大人でも子どもでも同じだと思っています。
なお、音そのものを聞き分けて原因を推理する話は、大人の側で別に書いています。ただしいびきの音のパターンは成人の自分の録音を材料にしたもので、子どもの音に当てはめる前提では書いていません。子どもの場合は、音の質を推理するより、上の観点2(音が途切れるか)だけを見ておくほうが役に立ちます。
様子を見ずに相談してほしいサイン
ここからは、観察の結果を待たずに相談してほしい側の話です。

大人のいびきでは、眠っているあいだに呼吸が止まっていると指摘されたことと日中の強い眠気の2つが、自宅で様子を見る前に医療機関へ、という扱いになっている項目です。睡眠時無呼吸症候群(SAS)と呼ばれる状態が隠れていることがあるからで、これは自分で判定する領域ではありません。私自身、この2つに当てはまっていないから自宅でのケアを選べているだけで、当てはまっていたら順番は逆になっていました。
子どもの場合も、呼吸が止まって見えることの重さは同じです。ただ、私が調べた範囲では、日中の出方が大人と違うとされています。大人のように会議中に落ちるという形ではなく、機嫌の悪さ、落ち着きのなさ、集中の続かなさとして出ることがある、という説明を複数の医療機関の解説で見ました。だから「昼間は元気だから大丈夫」という判断が、大人の感覚のまま通用しないことになります。
相談を先にしてほしいサイン
- 眠っているあいだに息が止まっているように見える瞬間がある。音が消えたあとに大きく吸い直す
- 吸うときに、のどの下やあばらの間がへこむほど力がいっているように見える
- いつも口が開いている。日中も口で息をしている
- 髪が濡れるほどの寝汗が続く、夜中に何度も目を覚ます
- 朝、起こしてもなかなか起きられない日が続いている
- 日中の機嫌や落ち着きのなさを、園や学校から言われるようになった
- いったんなくなっていたおねしょが戻った
- いびきが、風邪の週だけでなくふだんの夜も続いている
これらが1つあったから即座に何かが決まるという話ではありません。ただ、家で対策を検索し続ける材料ではない、というのが私の考えです。特に上の2つ、呼吸が止まって見えることと、吸うのに力がいっていることは、観察メモを3晩そろえるより先に電話してよい項目だと思います。
ちなみに、いびきで眠りが細切れになると翌日にどう出るかという仕組みは、大人の側でいびきで眠りが浅くなる話に書きました。あちらは成人の自分の朝と昼を材料にしています。子どもは同じ仕組みでも出方が違う、というところだけ持ち帰ってもらえれば十分です。
\ 家で答えを出さないでください /
この記事は、子ども向けの自宅ケアを案内するために書いたものではありません。3晩のメモを持って、小児科か耳鼻咽喉科に相談してください。大人が受診するときの段取りや検査の流れはいびきは何科かにまとめてありますが、子どもの場合は行き先も判断も別だと考えてください。
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小児科と耳鼻咽喉科、どちらへ行くか
相談先で迷う方が多いので、私が調べた範囲での整理を書きます。ここでも念のため繰り返しますが、私は医療者ではありません。どちらに行けば話が早いか、という段取りの話だけです。
かかりつけの小児科:ふだんの姿を知っている強み
いちばん自然な入口は、ふだん診てもらっている小児科だと思います。理由は単純で、その子の身長や体重の推移、アレルギーの有無、去年までの様子を持っているのが小児科だからです。いびきという症状だけを切り出して相談するより、ふだんの姿を知っている相手に「最近こうなんです」と話すほうが、必要なら次の窓口へつないでもらえます。
耳鼻咽喉科:通り道の形を直接見てもらう窓口
へんとうやアデノイドの大きさ、鼻の通り、鼻炎の状態といった、空気の通り道そのものの形を見るのは耳鼻咽喉科です。口を開けて寝ている、鼻声が続いている、鼻をよくかんでいるといった心当たりがあるなら、こちらから入るのも自然だと思います。
どちらでも構わない、というのが私の結論です。迷って先延ばしにするくらいなら、予約が取れるほうへ行って、必要ならつないでもらう。科を選ぶことに時間を使うのは、いちばんもったいない使い方です。
予約と受診の日に、持っていくもの
- 3晩ぶんの観察メモ(日付、鼻の状態、当てはまった観点の番号)
- 撮ったなら30秒の動画
- 園や学校から言われていること(落ち着き、昼寝、朝の様子)
- アレルギーや鼻炎で通院していれば、その内容
電話の段階で症状を全部説明する必要はありません。「夜のいびきが続いていて、相談したい」と伝えて、あとは当日にメモを見せるほうが早く伝わります。
なぜ、家のケアより受診が先なのか
理由を3つに整理しました。
- 家で動かせない要因が上位に来るから。通り道の中で場所を取っているものの大きさは、姿勢や枕や口の閉じ方では変わりません。ここを確かめないまま家の工夫を積んでも、当たっていないところを撫でていることになります。
- 時期が限られているから。大人のいびきは、来年始めても再来年始めても、やることは同じです。子どもの睡眠は育つ時期と重なっているので、様子見の月数がそのまま失われます。
- 癖が固まるから。鼻が通らない期間が長く続くと、口で呼吸する形が習慣として残っていくとされています。原因が解決したあとにも癖だけが残ると、話がややこしくなります。
私が自分の受診を先延ばしにしてきた理由は、正直に言えば恥ずかしさと面倒くささでした。大人の自分の話なら、それは自分の責任で引き受ければ済みます。子どもの分まで同じ理由で先延ばしにするのは、筋が違うと思っています。
大人の自宅ケアを、子どもに当てはめないでください
最後に、この記事でいちばん強く書いておきたいことを2つ。
ひとつめ。私が家でやっている口と喉の運動を、子どもにやらせないでください。あれは大人の自分に向けて、大人の回数と強さで組んだものです。狙っているのは加齢でゆるんだ支えの底上げで、子どものいびきで上位に来る要因には当たっていません。効かないだけならまだしも、それで受診が遅れるのが困ります。同じ理由で、大人向けのグッズや枕を子どもサイズだと考えて流用するのも、私は勧めません。
家の側でできることがあるとすれば、部屋が乾きすぎないようにする、鼻炎で通院しているならその治療を続ける、寝る時刻を大きく崩さない、といった土台の部分くらいだと思います。そしてそれは、見てもらうことの代わりにはなりません。

ふたつめ。録音や動画を、本人に笑って見せないでください。ここは、大人のいびきの当事者として書きます。
私のケース:自分が子どものころ、いびきを笑われていたと親に確かめた話
自分の録音を初めて再生した朝、低く長く引きずる音を聞きながら、なぜか思い出したのが子どものころの場面でした。親戚が集まった家で雑魚寝をして、翌朝、寝ていたときの音の真似をされて笑われた記憶です。悪気のない笑いでした。私も一緒に笑ったはずです。
ただ、その記憶が本当なのか、こちらが後から作ったものなのか自信が持てなかったので、電話で親に確かめました。返ってきたのは「小さいころからよく鳴っていた」という一言でした。うるさかったという話ではなく、体が小さいのによく響く音だった、という言い方をされました。私はそれを、この年になるまで一度も気にしたことがありませんでした。
そのとき自分の中で何かがつながりました。私は45歳で妻に音を指摘されて初めて動き出しましたが、鳴っていた時間はもっとずっと前から始まっていたということです。あの当時に見てもらっていたら何かが違ったのかどうかは、私にはわかりません。医者ではないので、そこを言い切ることはできません。言えるのは、笑い話として処理された記憶が、40年たっても本人の中に残っていたという事実のほうです。
子どもは、自分のいびきを恥ずかしいことだと学習すると、修学旅行や合宿の話が出たときに黙るようになります。私はそれを、大人になってから出張の相部屋で経験しました。音そのものより、隠さなければいけないものとして覚えた側の記憶のほうが、長く残ります。
だから親御さんにお願いしたいのは、観察を心配の形で行って、材料として持っていくところまでです。判断は、見てもらう相手に渡してください。家で悩みを抱えたまま検索を続けている時間が、いちばんもったいない時間だと思います。
\ 今日できるのは、ここまでです /
3晩だけ、1分ずつ見る。日付と観点の番号を残す。それを持って、かかりつけの小児科か耳鼻咽喉科に相談する。この記事で子ども向けの自宅ケアを案内しないのは、家で試せることより、見てもらって原因を確かめることのほうが先だからです。
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