新生児のいびきのような音は大丈夫?赤ちゃんの呼吸音と小児科に相談する目安

赤ちゃんの寝息が、いびきのように聞こえる。夜中に何度も顔をのぞきこんでしまう気持ちは、音に振り回されてきた側としてよく分かります。
先に結論を書きます。新生児の呼吸音は、大人のいびきと同じものとして扱えません。この記事は、家で見ておく点と、迷ったら小児科という順番の話です。
この記事の目次
新生児の寝息がいびきのように鳴るのは、構造の話です
先に、いちばん大事なところを書いておきます。私は医者ではありません。医療者でもありません。いびきの当事者として自分の音を測り、記録しているだけの45歳の男です。だからこの記事に診断や治療の話は出てきません。書けるのは、音に振り回された側として、知っておいてよかったと思うことだけです。

そのうえで、新生児の寝息が「いびきのよう」に聞こえる理由から始めます。赤ちゃんの鼻の通り道は、大人と比べてとても細いとされています。細い管は、わずかな分泌物やむくみで簡単に音が鳴ります。同じ量の空気を通しても、太いストローと細いストローでは鳴り方が変わるのと同じ理屈です。
さらに、生まれてしばらくの赤ちゃんは主に鼻で呼吸しているとされています。だから鼻の奥がほんの少し狭くなるだけで、吸うたび吐くたびに音がつきます。喉から気管にかけての壁も大人よりやわらかく、勢いよく吸ったときにわずかにたわみます。仰向けで眠っている時間が長いことも重なります。音が出る条件が、生まれつきひととおり揃っていると考えたほうが実態に近いはずです。
大人のいびきと、同じ言葉で呼ばないほうがいい
大人のいびきは、眠って全身の力が抜けたときに、舌の奥・喉・軟口蓋といった場所がゆるんで気道が狭くなり、そこが震えて鳴る音です。私が自分の録音で聞いたのは、低く長く引きずる音でした。背景にあるのは筋肉の張りの低下や体重、飲酒、骨格といった要素です。どれも、生まれて数週間の赤ちゃんに当てはめようがありません。
つまり、同じ「いびき」という一語を使っていても、中身がまるで違います。大人のいびきの記事を読み、そこに書かれた原因や対策をそのまま赤ちゃんに当てはめると、方向ごとずれます。うちのサイトには大人向けの記事が並んでいますが、この記事だけは、それらと切り離して読んでください。
もうひとつ知っておくと落ち着けることがあります。赤ちゃんの呼吸は、大人のように一定のリズムでは続かないとされています。速くなったり、少しゆっくりになったり、短く止まったように見えてまた始まったり。私が甥の寝息を初めて間近で聞いたとき、音そのものより心臓に悪かったのは、この不規則さのほうでした。
家で聞き分けられること、聞き分けられないこと
大人のいびきなら、音の質からある程度の見立てができます。低くこもる音なのか、鼻にかかった音なのか、笛のような高い音なのか。その聞き分けはいびき音の種類と原因にまとめてあります。ただし、あれは大人の話です。乳児では、音の種類から家で犯人を決めにいかないほうがいい、というのが私の立場です。
理由は単純です。赤ちゃんの音は、場面であっさり変わるからです。授乳のあと、泣いたあと、部屋が乾いているとき、鼻を拭く前と後。同じ子の同じ夜でも、聞こえ方が違います。数十秒の印象を材料に結論を出すには、揺れが大きすぎます。

音より先に見ておく4つ
家で見るなら、音そのものより呼吸の仕方全体を見るほうが手がかりになるとされています。私が身内に赤ちゃんが生まれたときに伝えているのは、この4つだけです。
- 胸とお腹の動き/息を吸うときに、のど元やあばらの下、みぞおちがへこむように引き込まれていないか
- 小鼻の動き/息を吸うたびに、鼻の穴が左右に開くように動いていないか
- 色/唇や口のまわり、爪の色が青白い、紫っぽいということはないか
- 飲みと機嫌/授乳やミルクを途中でやめて息をつぐ、量が減った、いつもと様子が違う
この4つは、音の大小とは別に出ます。派手な音が鳴っていても、4つのどれにも当てはまらず、飲めていて機嫌もいいなら、家でできる観察としてはそこまでです。そこから先は小児科の領域で、素人が上乗せできるものはありません。
私のケース:甥が生まれた夜、家族が音で慌てた話
甥が生まれて、退院してすぐの時期に顔を見に行きました。眠っている横で、ズーッ、フガッという音が続いていて、部屋にいた全員がその音のたびに顔を上げていました。誰かが「いびきかいてる」と言い、その一言で空気が変わったのを覚えています。私を含めて誰も、赤ちゃんの寝息をそんな近さで聞いたことがなかったからです。
結局その日は、鼻のまわりを拭いてしばらくすると音は軽くなり、後日の健診でも何も言われなかったと聞きました。何事もなかった話です。ただ、あの数十分の全員の顔は覚えています。音が怖かったというより、これが普通なのかどうかを、その場の誰も知らないことが怖かった。私はそこで何の役にも立てませんでした。自分のいびきなら2年かけて調べていたのに、赤ちゃんの音については何も持っていなかったからです。
いま同じ場にいたら、その場で答えを出そうとせず、翌日に小児科へ連絡してもらうと思います。素人が数十分で結論を出す話ではない、というのがあの日から変わっていない考えです。
迷ったら小児科である理由と、受診前に残しておく記録
ここがこの記事の中心です。赤ちゃんの呼吸音で迷ったら小児科へ、と書く理由は、心配だからという情緒の話ではありません。家で外したときに失うものの大きさが、大人の場合とまったく違うからです。理由を3つに分けます。
1. 本人が何も言えない
大人のいびきなら、当人が「朝に頭が痛い」「昼に眠い」と言えます。私はその自覚症状を手がかりに、自分の状態を組み立ててきました。赤ちゃんにはそれがありません。苦しさを言葉にできないので、周りが外から見えるものだけで判断することになります。手持ちの情報が最初から少ないのです。
2. 数時間で状況が変わることがある
体が小さいぶん、鼻の詰まりや発熱で状態が動きやすいとされています。夜のうちに音の性質が変わったり、飲めなくなったりすることもあります。大人のいびきのように、数週間かけて経過を見て判断するという時間の使い方が、そもそも合いません。
3. 大人の判断材料が、ひとつも使えない
大人であれば、家族からの指摘、日中の眠気、計測アプリの数字といった材料を並べて考えられます。私は自分のスコアが142点だと知ってから、ようやく現実を直視できました。赤ちゃんには、その材料がどれも存在しません。だから同じやり方を持ち込むこと自体が無理筋です。
ここは強めに書きます。相談して何もなかったという結果は、成果です。大人の私は逆をやりました。142点という数字を見てもなお、忙しさを言い訳に受診を先送りしています。自分のことなら、その先送りの責任は自分が引き受ければ済みます。赤ちゃんの場合、先送りの結果を引き受けるのは本人ではありません。ここが決定的に違うところです。
迷わずに連絡してほしいサイン
次のような様子があるときは、音の大小に関係なく、診療時間を待たずに相談したほうがよいとされています。
- 息を吸うときに、のど元やあばらの下、みぞおちがはっきりへこむ
- 息をするたびに小鼻が開く、肩を使って息をしているように見える
- 唇や口のまわり、顔色が青白い、紫っぽい
- 授乳やミルクが続けられない、飲む量がはっきり落ちた
- 音とあわせて、ぐったりしている、呼びかけへの反応が鈍い
- 生後まもない時期の発熱
判断に迷ったら、迷ったという事実そのものを相談の理由にしてかまわないと思います。

受診の前に、音を短く記録しておく手順
私が大人の自分に対してやっているのは、録音して翌朝に聞き返すことです。それをそのまま赤ちゃんに持ち込むことはしません。かわりに、この場面に置き換えた形にしています。目的は判定ではなく、診察室で言葉に詰まらないための素材づくりです。
- 撮る場面を2回だけ決める。24時間から48時間のあいだで、いちばん音が気になった場面を2回。全部を撮ろうとしないでください。素材は多いほど良いものではありません。
- 1回20秒から30秒。それ以上は撮りません。音だけでなく、胸とお腹が画面に入る角度で撮ります。顔だけに寄ると、いちばん見てほしい引き込みが写りません。
- 撮る前に部屋の音を止める。テレビ、空気清浄機、加湿器を一度止めます。スマホは体から離した位置で構えて、寝具の上や赤ちゃんに触れる場所には置かないでください。
- 撮った直後に1行だけメモ。時刻/授乳からどれくらい経ったか/体勢/鼻を拭いたか/熱を測ったか。あとから思い出そうとすると、この5つが混ざります。
注意を4つ添えます。起こしてまで撮らないこと。体勢を変えて撮り直さないこと。ライトを顔に当てないこと。そして、撮ることが目的になってきたら止めることです。私は自分の記録で、数字を集めること自体が目的になった時期があります。親の睡眠を削ってまで素材を増やす価値はありません。
もうひとつ。大人向けの計測アプリでスコアを出すことは、この場面では勧めません。あの点数は大人の寝室の条件でつけられた目安で、赤ちゃんに当てはめる根拠を私は持っていないからです。数字は独り歩きします。
\ この記事は、教材の入口ではありません /
うちのサイトは大人向けの自宅ケアを扱っていますが、赤ちゃんの呼吸音については、私が勧められるのは小児科への相談だけです。健診のタイミングを待つ必要もありません。気になった時点で、かかりつけの小児科に電話して構いません。
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大人のいびき対策を、赤ちゃんに持ち込まないでください
ここは、はっきり書いておきたいところです。大人のいびき対策として売られているもの、そしてこのサイトで私が書いている自宅ケアは、どれも赤ちゃんには使わないでください。
- 口を閉じるテープ/大人でも、鼻が通っているかを確かめてから使うものです。自分で外せない相手の口をふさぐ道具ではありません。
- 鼻に貼る拡張テープ/大人の鼻の形と皮膚を前提にした製品です。
- いびき対策枕、タオルでの高さ調整/私は大人用の枕の高さをこまかく調整していますが、乳児の寝床にやわらかい物を足すのは、別の危険につながります。
- マウスピース/歯とあごの形が固まった人向けの道具です。
- 舌や喉の体操/私が毎日やっているものも含めて、指示を理解して自分でやる人のためのものです。
それから、うつぶせにすると音が静かになるように見えることがあります。ここは自己判断で動かさないでください。赤ちゃんは仰向けで寝かせるのが基本とされていて、傾斜をつける器具や枕を自分の判断で足すのも、同じ理由で避けたほうがよいとされています。音を消すことより、寝床を単純に保つことのほうが優先されます。

ついでに、親のほうの話も
この記事にたどり着く方の中には、自分自身がいびきをかいている方もいます。妊娠中にいびきが出るようになった、という流れで検索している方も多いはずです。その背景と相談の目安は妊婦のいびきにまとめてあるので、思い当たる方はそちらへ。
そして、これは親のどちらかに当てはまるなら順番を変えてほしい話です。寝ているあいだに呼吸が止まっていると指摘されたことがある、しっかり寝たはずなのに日中の眠気が強いという場合、睡眠時無呼吸症候群のサインとされています。夜中に息苦しさで目が覚める、起床時の頭痛が続くというのも同じです。これは家のケアで様子を見る状態ではありません。呼吸器内科・耳鼻咽喉科・睡眠外来が窓口になります。どこへ行くかの整理はいびきは何科かに書きました。赤ちゃんの世話をしている時期に、運転中の眠気を抱えたままにするのは危ないです。
音に耐える夜を、親の記録に変えておく
最後に、音を聞き続ける側の話をします。赤ちゃんの呼吸音が気になり出すと、親は眠れません。眠っている本人はけろりとしていて、隣で起きているほうが消耗していく。この構図は、大人のいびきで別室を切り出されかけた私の家でも同じでした。立場は逆でしたが、削られるのは音を聞かされる側だという点は変わりません。
だから、耐えるだけの夜にしないでほしいと思います。気になった夜に1行だけ残しておく。それだけで、次の受診のときに渡せるものになります。
- 日付と、気になった時刻
- どんな音だったか(自分の言葉で構いません。ズーズー、ゴロゴロ、ヒューという具合に)
- そのとき、音より先に見る4つのどれかに当てはまったか
- 飲めたか、機嫌はどうだったか
この4行は、記憶より正確です。私は自分のいびきについて、数年前に一度は落ち着かせた経験があるのに、当時の記録を残していませんでした。だから今回はやり直しになりました。あのとき何をどれだけやったのか、いま何ひとつ再現できません。記録がない経験は、あとから使えないのです。

なお、月齢が進んでからのいびきは、また別の切り口の話になります。1歳を過ぎても眠っているあいだの音が続く、口を開けて寝ている、といった状態については、扁桃やアデノイドといった背景が語られることがあります。その扁桃とアデノイドが年齢でどう変わり、2歳ごろから何を見ていくかは子どものいびきとアデノイド・扁桃肥大の記事に切り分けてあります。ただ、それも家で判断する話ではなく、小児科と耳鼻咽喉科の領域です。この記事の範囲は、あくまで生まれて間もない時期の呼吸音までにしておきます。
私自身は、いびきの当事者として自分の数字を公開しながら30日の記録を続けています。大人が自分の音とどう付き合っているかは記録カテゴリに置いていますが、赤ちゃんの音について、私が差し出せるものはそこにはありません。持っているのは、あの日の甥の部屋で何もできなかったという記憶だけです。
\ 迷った夜にやることは、ひとつだけ /
今夜の音が心配なら、家で答えを出そうとせず、明日の朝いちばんに小児科へ連絡してください。音より先に見る4つと、20秒の動画と、1行のメモ。持っていくのはそれで十分です。何もなかったと言われて帰れる日が、いちばん良い日です。
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