いびきの原因は男性で違う?筋量・酒・仕事・体格の見取り図

男のいびきは、太っているせいだと言われがちで、痩せている人ほど行き場をなくします。私も長くそこにいました。
先に結論を書きます。男に多いとされる背景は、太さの一点ではありません。筋量・酒・仕事・体格という札が、年齢とともに重なっていく。この記事は、その男側の内訳だけを並べ直します。
この記事の目次
男のいびきは、太っているからだけではない
立場を先に書いておきます。私は四十五歳、いびきの当事者です。医者ではありませんし、医療者でもありません。診断や治療の話はしません。ここに書けるのは、私が調べた範囲の一般的な説明と、自分の体で確かめたことだけです。
男のいびきと聞くと、まず太った中年の姿が浮かぶと思います。実際、体格は要因のひとつです。ただ、それを唯一の犯人にすると、痩せている男は説明がつかなくなり、太っている男は責められて話が終わります。どちらも、原因を探す動機が途中で折れてしまう。私はその両方を見てきました。

いびきそのものの仕組みや、男女に共通する要因の全体像はいびきの原因を全部並べた記事にまとめてあります。原因はたいてい一つではなく、複数の狭まりが重なった夜に音になる、という話です。この記事はその全体像には立ち入らず、男の側にだけ乗りやすい札を四枚、順に並べます。筋量、酒、仕事、体格の四つです。
四枚に分ける利点は、動かせる札と動かせない札が見えることです。体格は生まれ持った部分が大きく、動かしにくい。けれど筋量と酒と仕事は、向き合い方で減らせる側にあります。全部を一色で「男だから」と塗ると、この差が消えてしまいます。まずは分けるところから始めます。
筋量が落ちる、という男の側の事情
一枚目は筋量です。いびきは、眠っているあいだに喉や舌のまわりの筋肉の張りが抜け、通り道が狭くなって鳴る音です。起きているときは筋肉が通り道を開いて支えていますが、眠るとその支えがゆるむ。ここに、年齢による筋量の低下が乗ります。
私が調べた範囲では、男性は中年期以降、体を支える筋肉の量そのものが落ちていくとされ、その背景に男性ホルモンの緩やかな減少があるとされています。喉や舌も筋肉のかたまりなので、同じ流れの中にあります。若いころは張りで支えられていた通り道が、支える力が細ったぶん、眠ったときに落ち込みやすくなる。二十代では鳴らなかった姿勢で、四十を越えて鳴りはじめるのは、この落差が背景にあると私は理解しています。

ただ、年齢そのものの深掘りは、この記事の担当ではありません。何歳まで増えるのか、自然に軽くなることはあるのか、若い人はどう違うのか。そうした年齢の内訳はいびきは年齢のせいかを分けた記事に置いてあります。ここで押さえておきたいのは、男に乗りやすい一枚目が筋量だ、ということだけです。
筋量の札が他の三枚と違うのは、静かに、本人が気づかない速さで進むところです。酒や仕事は日替わりで乗ったり降りたりしますが、筋量は年単位で下がり続けます。だから、去年と同じ生活をしているのに音だけ大きくなった、という感覚が生まれます。生活が変わっていないのではなく、支える力のほうが黙って下がっているわけです。
酒との付き合いが、札を一枚足す
二枚目は酒です。付き合いの飲み、家での晩酌、寝る前の一杯。男の生活には酒が絡む場面が多く、私も長くそうでした。
酒が喉の筋肉をゆるめて通り道を塞ぎやすくする、その仕組みそのものは男女で共通の話なのでいびきの原因を全部並べた記事に譲ります。男の側で書き足したいのは、一枚目に並べた筋量の低下という土台に、酒が毎晩のように重なりやすいという点です。もともと支える力が細ってきた喉へ、付き合いと晩酌の習慣が一枚をまた足す。翌朝の妻の機嫌を見れば、記録を開く前にその夜の枚数が読めるくらいには、私にとって分かりやすい札でした。
厄介なのは、この札が動かせる側にありながら、生活に食い込んでいて動かしづらいことです。減らせるはずなのに、付き合いや習慣が理由になって手がつかない。筋量や体格と違って、これは向き合い方しだいで今夜からでも動く一枚なのに、いちばん惰性が効いているのが酒だと、自分を見ていて思います。
それから、たばこも酒のすぐ隣に置いておきます。付き合いで本数が増える人ほど、鼻や喉の粘膜が荒れて、通り道の狭さに一枚乗ってきます。寝つきに使う睡眠薬や、寝酒代わりの一杯と同じ働きをする薬も、酒と同じ向きへ効くことがあります。ただ、この加減は持病や体質で変わるので、素人の私が減らし方まで書くところではありません。使っている薬があるなら、勝手に増減させず処方元へ確かめてください。念のため書き添えると、私は医者ではなく、ただの当事者です。
仕事の張りと、生活のリズム
三枚目は仕事です。要因として見落とされがちですが、男の生活では大きく乗っていることがあります。
ひとつは睡眠不足です。仕事が立て込んで削られるのは、たいてい寝る時間からです。寝不足で入った夜は体が普段より深いところまで沈み、そのぶん喉の支えも大きく抜ける。この深さと支えの関係は原因を全部並べた記事の疲れの項にあるとおりで、忙しい週ほど家族の反応が悪くなるのは、気合いの話ではなく体の作りの側の話です。男の場合、これが残業や納期という形で月ごとの波になって出るのが厄介なところです。
もうひとつは、日中の張りが夜まで残ることです。気の張る仕事のあとは、首や肩がこわばったまま布団に入ります。前かがみの姿勢で一日を過ごすと、顎の下から喉にかけての空間が狭くなりやすい。体格のせいだと思っていた狭さの一部が、実は仕事由来の姿勢から来ていることがあります。

生活リズムの乱れも、この仕事の箱の続きにあります。平日に借金のようにためた寝不足を、休みの日に一気に返そうとまとめて眠る。その眠りがまた深くなって、支えが抜けて音が跳ねる。働き方の波が、そのまま夜の音の波になるわけです。仕事の札は酒と並んで動かせる側にありますが、動かすには働き方そのものへ手を入れることになるので、四枚のなかでいちばん腰が重い一枚かもしれません。
\ どこから手をつけるか /
筋量・酒・仕事のうち、男の生活でどれから先に触ると割がいいのか。その順番の組み立ては気道力メソッドの側に置いてあります。この記事は、四枚を並べ終えるところまでで足ります。
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体格という、動かしにくい札
四枚目は体格です。男のいびきで最初に疑われる札であり、そして動かしにくい側の札でもあります。
骨の形そのものが通り道を狭くする一般論、たとえば顎が小さいと舌の収まる場所が減るといった話は原因を全部並べた記事の骨格の項に譲ります。ここで男の側に引きつけたいのは、男は首から顎にかけて厚みが乗りやすく、しかもその厚みが年々増えていくという点です。がっしりした首まわり、髭に隠れて自分では気づきにくい顎の下のたるみ、加齢で前へせり出してくる喉のあたり。骨そのものは動かなくても、その上に乗る肉と厚みは、男の年月とともに厚くなっていきます。前の晩の酒で筋肉がゆるんだ夜は、この厚みがそのまま通り道へ倒れ込んできます。
体重も体格の隣に置きたくなりますが、これだけは動かせる側の札です。何キロで何が変わるかといった数値や落とし方の手順は、ここには書きません。男は腹よりも先に首まわりへ肉がつきやすいという話まで含めて、体重の扱いはいびきと体重の記事にまとめてあります。私自身は体重を落としたあとも音が消えなかった側なので、体重は一枚として数えつつ、そこ一点に賭けきらない構えでいます。
むしろ動かせない札を多く抱えている男ほど、動かせる三枚を一枚落としたときの手応えは大きく出ます。もともと音が出るか出ないかの境目までの余白が薄いので、一枚の増減がその境目をまたぎやすいからです。体格は白旗をあげる理由ではなく、筋量と酒と仕事のほうを丁寧に扱う動機になります。
ここだけは、順番を変えてほしい
四枚を数えはじめる前に、順番として先に片づけたいことがあります。音の出どころが生活でも骨格でもなく、病気の側にあるときです。下に挙げた様子が一つでも心当たりにあるなら、家で何か月も粘るより先に、医療機関の戸を叩いてください。
- 隣で寝ている家族から、息が止まっていた夜があると言われた
- 音がふっと途切れたあと、あえぐように大きく吸い直していると言われた
- 夜中に息が詰まる感じで、はっと目が覚めることがある
- しっかり寝たつもりでも日中の眠気が抜けず、会議中や運転中に意識が飛びかける
- 朝の頭の重さや、寝ても取れない疲れがずっと続いている
以上は睡眠時無呼吸症候群のサインとして挙げられているものです。とくに、息が止まっているという指摘と、日中の強い眠気の二つがそろうときは、喉の体操を試す順番ではありません。受診が先です。どの科へ行けばいいかはいびきは何科かの記事にまとめてあるので、当てはまった方はそちらへ進んでください。私の場合は、録音の中に呼吸ごと消える無音の帯は見当たりませんでした。だからこそ、家でできる範囲に留める判断ができています。
男の札を、一週間で見分ける
四枚並べ終えたら、最後にやることがあります。自分の夜に、どの札が何枚乗っているのかを見に行く作業です。頭の中で考えていると、人はいつのまにか一枚に絞ってしまいます。私が長く外し続けたのは、まさにここでした。
生活イベントと音を重ねる、一週間の突き合わせ
教材の三十日記録を、男の四札に合わせて一週間だけ切り出したやり方です。難しい記入は要りません。
- 手帳かスマホのメモに、毎晩三つだけ書きます。その日に飲んだか(量はざっくりでいい)、残業や気の張る予定があったか、体を動かしたか。この三つだけです。
- 同じ枕元に、同じアプリで、同じ測り方でいびきを記録します。置き場所や向きを毎晩変えると、音の差なのか測り方の差なのか分からなくなります。
- 音が大きく跳ねた夜に、印をつけておきます。数字を細かく見る必要はありません。跳ねたかどうかだけで足ります。
- 週末に一度だけ、跳ねた夜と三つのイベントを見比べます。飲んだ夜と重なっているのか、残業の夜なのか、動かなかった日なのか。重なっている札が、あなたにいちばん乗っている一枚です。
回数の目安:一日一行、一週間。見返すのは週末に一回、五分まで。
注意が二つあります。ひとつ、一日で判断しないこと。男の札は日替わりで乗ったり降りたりするので、一晩だけ見ても重なりは見えません。ひとつ、順位を決めつけないこと。この一週間で見えるのは「今の生活で乗っている札」であって、体格や筋量のような固定の札は、この記録には出てきません。出てこない札を、無いものと勘違いしないでください。

私のケース:二十代は痩せていても言われた。四十代で音が低くなり、男の変化を並べ直した
私が最初にいびきを言われたのは、四十代ではありません。二十代のころ、部活の合宿で友人に笑いながら言われました。当時の私は痩せ気味で、腹も出ていませんでした。だから「太っているから」という説明は、自分にはそもそも合っていなかった。それなのに、まわりの言葉も自分の思い込みも、ずっと体格のせいにして止まっていました。
足が動いたのは、四十代に入って、妻に別室を切り出されかけた夜でした。その翌夜に初めて計測アプリを枕元に置いて、朝に出ていたのが百四十二点です。残っていた録音を再生したら、低く長く引きずる音が延々と続いていました。二十代のころに笑われた音とは、明らかに質が変わっていた。低くなっていたんです。
そこでようやく、太さ以外の札を紙に並べ直しました。喉を支える力が落ちてきたこと、この数年で酒の量が増えたこと、仕事の張りが夜まで残っていること。二十代の私には無くて、四十代の私に乗っていた札です。体格は二十代から変わっていないのに音が変わったのだから、変わったのは体格以外のところだ。当たり前のことに、二十年かかって気づきました。
男のいびきを、太っているからの一言で片づけないでほしいと思っています。太さは四枚のうちの一枚で、しかも動かしにくい一枚です。動かせるのは筋量と酒と仕事の側で、そこは年齢に関係なく反応します。札を分けて数えれば、動かせる札から順に減らしていける。一枚しか無いと思い込んでいるより、四枚あると分かっているほうが、逃げ道はむしろ多いんです。
