いびきは運動で減る?有酸素が効く三つの道(体重とは別に)

運動すればいびきは減るのか。多くの人がまず体重を落とす話を思い浮かべますが、私が気になったのはそこではありませんでした。
痩せる前から変わったものがあったからです。この記事では、体重を落とす道とは別に、運動が姿勢と筋肉と自律神経を通していびきに触れる道を、当事者として並べます。体重そのものの話は別の記事に譲ります。
この記事の目次
「運動でいびきは減るのか」を、体重の外側から考える
運動でいびきが減るのか、と検索すると、まず出てくるのは体重の話です。太ると気道が狭くなりやすい、だから痩せれば音も減る。その筋道は間違っていないと思いますし、私も長くそう考えていました。ただ、ここで一つ立ち止まりたいのです。運動がいびきに触れる道は、本当に体重を落とす道だけなのか。
先に立場を書きます。私は医者ではありません。運動生理学の専門家でもありません。四十五歳の、自分のいびきを毎晩測りながら自宅でできることを試している当事者です。だから診断や治療の話はしませんし、何キロ痩せろ、何キロ走れという指示も出しません。ここに書けるのは、私が調べて理解したことと、自分の体で気づいたことだけです。

この記事で並べたいのは、体重を経由しない道のほうです。運動は、体重計の数字が動くよりずっと手前で、姿勢と、筋肉の張りと、自律神経という三つの場所を通っていびきに触れているのではないか。私自身が、痩せる前に朝の何かが変わったことをきっかけに、その三つを調べ直しました。
体重を落とす道そのものは、この記事の担当ではありません。太るとなぜ気道が狭くなるのか、どれくらい痩せれば音が変わるのかという話はいびきと体重の関係にまとめてあるので、体重が主に気になる方はそちらを先に読んでください。ここからは、体重計とは別の三本の道の話に絞ります。
体重を経由しない、運動がいびきに触れる三本の道
運動が体重以外のどこを通っているのか。私が調べて腑に落ちたのは、姿勢・筋肉の張り・自律神経の三つでした。順番に、仕組みだけを並べます。それぞれの具体的な体操の手順は、この記事には書きません。所有している記事へ譲ります。
一本目:姿勢
デスクワークで頭が前に出た姿勢が続くと、顎の下から喉にかけての空間が狭くなります。運動で背中や体幹を使う習慣がつくと、日中の姿勢そのものが起き上がり、喉の前の詰まりが減る方向に働くとされています。ここは体重とほとんど関係のない道です。体重が動かない週でも、姿勢は動きます。
ただし、首と肩を直接ゆるめる体操の手順そのものは体重の記事のほうに置いてあります。この記事では、有酸素運動を続けると日中の姿勢が起きてくる、という道筋だけを押さえておきます。
二本目:筋肉の張り
いびきは、眠って喉や舌の支えがゆるんだときに、やわらかい組織が震えて鳴る音だとされています。日中に体を動かして全身の筋肉を保っている人と、動かさずに落ちていく人とでは、眠ったときに残っている張りが違ってくる、というのが私の理解です。全身運動は喉の一点を鍛えるものではありませんが、体全体の土台としては効いてくる側だと考えています。
喉と舌そのものを名指しで動かす口の体操は、この記事の担当ではありません。舌の奥・喉・軟口蓋を狙う三つの体操の手順と回数はいびき改善トレーニングにまとめてあります。全身の有酸素運動と、喉を名指しで動かす体操は、狙う場所が違う別の道具だと分けて考えると混乱しません。
三本目:自律神経と眠りの深さ
ここが、私がいちばん見落としていた道です。有酸素運動を続けると、眠りの質そのものが変わるとされています。運動した日は寝つきと眠りの深さが整いやすく、逆に運動不足や強いストレスが続くと、眠りが浅くなったり、反動で深く落ちすぎたりします。眠りの深さが乱れると、喉の支えのゆるみ方も変わります。
体を動かすことが、翌朝の音に直接効くというより、夜のあいだの体の落ち着き方に効いてくる。運動を痩せるための手段から夜を整える手段へ置き換えたとき、私の中で運動の位置づけが変わりました。
有酸素運動を、いびきの記録に差し込む手順
ここからは、私が気道力メソッドの三十日ログを付けながら実際にやっている、有酸素運動の差し方を手順で書きます。走る技術の話ではありません。いびきの記録に運動を差し込んで、効いたかどうかを自分の目で確かめるための段取りです。道具は運動靴と、いつも使っている計測アプリだけです。
- ニコニコペースを守る。早歩きから軽いジョギングまで、会話ができる強さで二十分から三十分。息が上がって喋れない強さは、この目的では要りません。きつくするほど効く、という種類のものではないからです。
- 週に三回から四回。毎日やる必要はありません。むしろ関節や睡眠のことを考えると、一日おきくらいのほうが続きます。続かない量を組むのが、いちばんの失敗です。
- 時間帯は、夕方から寝る三時間前まで。寝る直前の激しい運動は、体を昼側に切り替えてしまって寝つきを妨げることがあるとされています。私は夕食前の時間に置いています。
- 運動した日を、いびきの記録に印だけ付ける。点数や音質の判定は要りません。走った日か走らなかった日か、その一点だけを毎日の記録に足します。
- 一週間ではなく、四週間で見る。有酸素の効き方は数週間単位だとされています。三日で判定すると、たまたま飲んだ日や疲れ切った日に振り回されて、続けられなくなります。
回数の目安:会話できる強さで二十〜三十分を、週三〜四回。四週間続けて、運動した日としない日で記録を見比べる。
注意が二つあります。ひとつ、関節や胸に痛みが出たら、その日は止めること。いびきのために体を壊しては本末転倒です。持病がある方は、運動の強さを上げる前にかかりつけ医に相談してください。ふたつ、体重計と音を同じ天秤に乗せないこと。体重が動かない週でも、運動した日の記録が静かなら、それは体重以外の道が動いた印です。私はここを取り違えて、体重が減らない時期に運動ごとやめてしまったことがあります。
\ 運動した日を、記録に一行足すだけ /
この差し方は、三十日の記録シートに運動の有無を書き込む前提で組んでいます。記録の付け方と、運動を含めた組み立て方は気道力メソッドにまとめてあります。今日はまず、いつもの帰り道を一区間だけ早歩きにするところからで十分です。
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私のケース:ジムに通った年、体重より先に朝が変わった
私のケース:ジムに通った年、体重より先に朝の口の渇きが変わった気がした
四十を過ぎて健康診断の数字が気になり、一年ほどジムに通っていた時期があります。目的は体重で、いびきのことは正直あまり考えていませんでした。トレッドミルで早歩きから軽く走るのを続けて、週に三回くらい。最初の一か月は、体重計の数字はほとんど動きませんでした。
ところが、体重が動く前に、朝の口の渇き方のほうが先に変わった気がしたのです。それまでは朝起きると口の中がからからで、枕元の水に手を伸ばすのが習慣でした。それが、ジムに通い始めてしばらくして、水に手を伸ばさない朝が混じるようになった。体重はまだ落ちていないのに、です。
当時はそれを、たまたまだと流していました。いびきと運動を結びつけて考える発想が、そもそもなかったからです。記録も付けていなかったので、何がどれだけ変わったのかを人に説明することもできません。だから今回は、数字から始め直しています。
いま振り返ると、あのとき動いたのは体重ではなかったのだと思います。姿勢か、眠りの深さか、あるいはその両方か。体重計の数字だけを見ていた当時の私は、いちばん早く動いた変化を、いちばん見ていない場所で取りこぼしていたわけです。念のため書いておくと、私は医者ではないので、これが体のどこで起きたのかを言い切ることはできません。ただ、体重より先に朝が変わった、という順番だけははっきり覚えています。

この経験があったから、今回の連載では体重計と音を切り離して見るようにしています。運動が効いたかどうかを体重で測ると、いちばん早い変化を見逃します。だから私は、運動した日を音の記録のほうに印として残すことにしました。
運動が逆効果になる場面と、受診が先のサイン
運動を勧めておいて逆のことを書きますが、運動がいびきの味方にならない場面もあります。ここを飛ばすと、かえって遠回りになります。
ひとつは、寝る直前の激しい運動です。前の章でも触れましたが、夜遅くに息が上がるまで動くと、体が昼側に切り替わって寝つきが悪くなることがあるとされています。眠りが浅くなれば、喉の支えのゆるみ方も乱れます。動く時間帯を早めるだけで避けられる話です。
もうひとつは、疲れすぎた日です。運動でくたくたになった夜は、寝入りが深くなりすぎて、かえって喉の支えが抜けることがあります。強い酒が重なるとなおさらです。この記事の範囲で言えるのは、追い込む運動と深酒を同じ夜に重ねないほうがいい、というところまでにしておきます。

そして、これがいちばん大事な順番の話です。次のどれかに当てはまるなら、運動で様子を見る前に、まず医療機関へ行ってください。
- 眠っているあいだに呼吸が止まっていると家族に指摘されたことがある
- 夜中に息苦しさで目が覚めることがある
- 寝たはずなのに日中の眠気が強く、会議中や運転中にうとうとする
これらは睡眠時無呼吸症候群のサインとされているもので、運動やセルフケアで数か月様子を見る領域ではありません。とくに呼吸停止の指摘と日中の強い眠気があるなら、走りにいくより先に受診です。何科に行けばいいか、どんな検査があるかはいびきは何科かにまとめました。私は録音を聞いた範囲では呼吸の止まる無音が入っていなかったので、自宅でできることから始めています。私は医者ではないので、線引きはそこまでにしておきます。
体重計ではなく、音を見ながら運動を続ける
最後に、運動をいびき対策として続けるときのいちばんの勘所を書きます。効いたかどうかを、体重計で測らないこと。これに尽きます。
体重で測ると、運動のいちばん早い変化を取りこぼします。私がジムの年に取りこぼしたのが、まさにそれでした。姿勢も、眠りの深さも、体重計にはほとんど映りません。映らない場所が先に動くのに、映る場所だけを見ていると、変化が起きていないように見えてしまいます。

だから私は、運動した日を音の記録のほうに残しています。走った日か走らなかった日か、その印だけを毎日の記録に足しておく。四週間ぶんたまると、運動した日のほうが記録が静かなのか、それとも運動とは関係なく揺れているだけなのかが、自分の目で見えてきます。私の測り方と記録の残し方は記録カテゴリにそのまま置いています。
運動は、今夜すぐ音を止める手ではありません。即効を期待すると、三日でやめる側に回ります。そうではなく、姿勢と眠りの土台を、時間をかけて底上げしていく道です。時間はかかりますが、体重が動かない時期でも進められるという強みがあります。今夜すぐの手や、喉を名指しで動かす体操と組み合わせて、遅いほうの道として持っておくのがいい、というのが私の結論です。
もう一度だけ、順番を書いておきます。呼吸停止の指摘か強い眠気があるなら、受診が先。そうでないなら、運動は痩せるためではなく、夜を整えるために差す。この二段構えが、遠回りしない道だと思っています。
