いびきとヨガ・呼吸法|効くのか、どこに置く対策なのか

いびきにヨガや呼吸法が効くと聞くと、眉に唾をつけたくなる。私も最初はそうでした。
先に位置づけだけ書きます。ヨガや呼吸法は、いびきを直接止める道具ではありません。全身の力みや寝つき、呼吸の深さという土台に、間接的に効く側の話です。この記事では、その置き場所だけを丁寧に決めます。
この記事の目次
ヨガや呼吸法で、本当にいびきは減るのか
まず、いちばん大事な前提から書きます。ヨガのポーズを取ったから、呼吸法を覚えたからといって、その夜からいびきが止まる、という種類の話ではありません。いびきは、眠って力が抜けたときに空気の通り道が狭くなり、そのまわりが震える音です。ヨガは、その狭まりを寝ている最中に直接広げにいく道具ではないのです。

では効かないのかというと、そうも言い切れません。私がヨガや呼吸法をいびき対策の棚に置いているのは、直接の効果ではなく、土台への間接的な効き方を期待しているからです。全身の力みを落とす、寝つきを整える、呼吸を浅い胸から深いお腹へ戻す。このあたりは、いびきが鳴る条件と地続きの場所です。
「効く」と言われがちだけれど、鵜呑みにしないこと
ヨガや呼吸法でいびきが良くなったという話は、探せばいくらでも出てきます。ただ、私が調べた範囲では、そのほとんどが個人の体験談で、いびきが減ったのがヨガのおかげなのか、同じ時期にお酒を控えたからなのか、痩せたからなのかを、切り分けられていませんでした。ヨガだけを取り出して何割が改善したという確かな数字を、私は確かめられていません。だからこの記事では、効果を断定せず、置き場所だけを決めるという書き方をします。
いびきの原因は一つに決まらず、動かせる要因と動かせない要因が重なって初めて音になります。ヨガや呼吸法は、その重なった札のうち、力みや呼吸の浅さといった一枚に働きかける手段です。原因の全体像そのものはいびきの原因を全部並べるに地図として置いたので、ヨガだけに視野が狭まりそうになったら、そちらで一度引いて見てください。
効くとしたら、どの経路で効くのか(全身と呼吸)
直接ではなく間接に効く、と書きました。では、どの道を通って土台に効くのか。私が腑に落ちた経路は三つです。理屈が分かっていないと、私はどんな習慣も三日で戻る人間なので、ここは自分の言葉で押さえておきます。
1. 全身の力みを落として、寝つきを整える経路
仕事の緊張や考えごとを抱えたまま布団に入ると、寝入りが浅く長引きます。ヨガの弛緩や、ゆっくりした呼吸法は、その高ぶりを落ち着ける方向に働くとされています。寝つきが整うと、極端に深く落ち込んで筋肉の張りが一気に抜ける、というムラが減ります。いびきは、疲れ切って深く落ちた夜ほど大きくなりやすいので、寝つきのムラを均すことは、そのまま土台の話になります。

2. 浅い胸の呼吸を、深いお腹の呼吸へ戻す経路
日中、集中していると呼吸は浅く速くなり、胸だけで吸う癖がつきます。ヨガの呼吸法は、横隔膜を使ってお腹でゆっくり吸って長く吐く形を、繰り返し体に思い出させます。呼吸が深く落ち着くこと自体がいびきを止めるわけではありませんが、浅く速い呼吸のときほど気道は吸う勢いに引かれて狭くなりやすいので、深くゆっくりへ戻す練習には意味があると考えています。
3. 姿勢と体幹をゆるやかに整える経路
猫背で肩が前に巻いた姿勢は、首とのどの前側を縮ませます。ヨガでゆるやかに姿勢を伸ばすと、日中の呼吸そのものが少し楽になる実感がありました。ただし、ここを筋トレや減量の話まで広げると、それは別の担当になります。運動で体重や筋肉を動かしていびきを変える話は範囲が違うので、この記事では姿勢の力みをゆるめる、というやわらかい効き方までに留めておきます。
三つに共通しているのは、どれもその夜の音をいじる話ではなく、鳴りにくい土台を数週間かけて育てる話だということです。ヨガや呼吸法をいびき対策として使うなら、この時間感を先に飲み込んでおくと、動かない数日でやめずに済みます。
ヨガの呼吸は、喉の体操とも鼻呼吸とも別物です
ここは誤解が起きやすいので、はっきり線を引いておきます。いびき対策で語られる呼吸まわりの話は、実は三つが混ざっています。ヨガの呼吸法、喉の体操、そして鼻呼吸への切り替え。名前が似ているだけで、狙っている場所も担当する記事も別です。

喉の体操は、この記事では書きません
舌の奥や軟口蓋という、いびきの音が実際に鳴っている場所そのものを名指しで動かす体操があります。これは全身をゆるめるヨガとは狙いが違い、鳴っている一点を鍛える運動です。その手順と回数と注意はいびき改善トレーニングにすべて置いてあるので、音の出どころを直接動かしたい方は、そちらが本命です。この記事で喉の体操の中身を書くと担当が重なるので、要点だけ言えば、鳴る場所を狙うなら喉の体操、土台をゆるめるならヨガ・呼吸法、という住み分けになります。
鼻呼吸へ戻す話も、この記事の担当ではありません
昼のうちに口が開いてしまう癖を、鼻で吸う形へ戻していく話も、呼吸つながりでよく混ざります。ただ、あれは口呼吸という一枚の癖を扱う専門の話で、狙いも手順もヨガとは別です。口が開く癖への気づき方と鼻呼吸への戻し方は口呼吸といびきにまとめたので、鼻から吸えていない自覚がある方は、そちらを先に済ませてください。この記事の呼吸法は、鼻か口かを直す練習ではなく、全身の力みを落として深く長く吐くほうに軸足があります。
なぜここまで分けるかというと、私自身が全部を一度にやろうとして潰れたからです。狙いの違う練習を同じ朝に詰め込むと、続きません。ヨガ・呼吸法は、そのなかでも土台をゆるめる担当だと割り切ると、他の対策と喧嘩せずに置けます。
私が寝る前に続けている、長く吐く呼吸(手順)
ここが、この記事が所有している具体手順です。喉の体操でも、鼻呼吸へ戻す練習でもありません。寝る前に、全身の力を抜いて、吸うより長く吐く呼吸法です。道具も費用もかかりません。ヨガの呼吸のいちばんやさしい入口だと思ってください。
私のケース:妻がやっていた呼吸法を真似たら、寝る前の鼻の通りが少し違った
私は四十五歳で、いびきの当事者です。医療者ではないので、診断や治療の話はしません。ここに書けるのは、自分が寝る前にやってみたことと、そのときの感じだけです。
きっかけは妻でした。ある夜、布団の上で妻が目を閉じて、ゆっくり長く息を吐いているのを見かけたのです。何をしているのか聞くと、寝つきが良くなるからと、動画で見た呼吸法をなんとなく続けているとのことでした。いびきとは関係のない、ただの寝る前の習慣です。半分ばかにしながら、私もその夜、隣で真似てみました。
お腹に手を当てて、吸うより長く吐く。それを何呼吸か続けただけです。劇的なことは何も起きませんでした。ただ、続けた何日かのなかで、寝入りばなの鼻の通りが、いつもより少し楽な夜があったのです。数字が動いたわけではありません。142点が下がったという話でもありません。それでも、力を抜いて長く吐くだけで、寝る前の自分の体が少しほどけるのは、正直な発見でした。夜の自分は変えられませんが、布団に入る手前の自分になら、こうして手を入れられる。そう思えたことのほうが、私には大きかったです。

手順|寝る前の、長く吐く呼吸
- 布団の上で、仰向けか楽なあぐらになります。肩を一度ぐっと持ち上げて、すとんと落とす。これで肩の力みが一度抜けます。
- 片手を、おへその少し下に当てます。胸ではなくお腹が動いているかを、この手で確かめるためです。
- 鼻から、四つ数えるあいだ静かに吸います。胸を張らず、お腹が手を押し返してくるのを感じてください。肩が上がるのは、胸だけで吸っている合図です。
- 吸った倍を目安に、六つから八つ数えて、ゆっくり長く吐きます。吐く息のほうを、吸う息より長くとります。吐き切るほど、次に吸う息は勝手に深くなります。
- 吐き切ったら、力を抜いたまま次の吸気を待ちます。急いで吸い込まないこと。待っていれば、体が自然に吸い始めます。
回数の目安:五呼吸から十呼吸 × 就寝前に1回。慣れても回数を増やして頑張る必要はありません。長く続けるほど眠くなってくるので、そのまま眠りに入って構いません。数えるのが面倒なら、吐く息を吸う息より長く、とだけ覚えておけば十分です。
注意が三つあります。ひとつ、頭がふらっとしたら、すぐ普通の呼吸に戻すこと。吐きすぎ吸いすぎで、めまいのような感じが出ることがあります。頑張る呼吸ではありません。ふたつ、鼻が詰まっている夜は、無理に鼻で吸わないこと。口を軽く開けたままでも、長く吐くことはできます。みっつ、これは寝る前の弛緩の習慣であって、寝ている最中を直接どうこうする手順ではありません。眠ってしまえば意識は届きません。力みを落として入眠する、その土台づくりだと考えてください。
効果を過信しないための、一本の線引き
ヨガや呼吸法を勧める文章でいちばん危ういのは、これさえやれば病院は要らない、と読ませてしまうところです。ここだけは、位置づけの話より優先して線を引いておきます。

この2つがあるなら、呼吸法より先に受診してください
寝る前の呼吸を練習する前に、確かめてほしいことがあります。ひとつは、家族から睡眠中に呼吸が止まっていると指摘されたこと。もうひとつは、寝たはずなのに日中の眠気が強く、会議中や運転中に意識が落ちそうになること。このどちらかに当てはまるなら、ヨガや呼吸法を練習している場合ではありません。睡眠時無呼吸症候群は、深く吐く呼吸で土台を整えてどうにかなる範囲の話ではなく、医療機関で相談すべき状態だからです。どこへ行けばいいかはいびきは何科を受診するかにまとめたので、当てはまった方はそちらを先に見てください。
もう一度はっきり書いておきます。私は医者ではありません。この記事に書けるのは、ヨガや呼吸法をいびき対策のどこに置いたか、という自分の棚の作り方までです。私自身は、録音を聞いた範囲で、音が途切れて大きく吸い直す無音は入っていませんでした。だから寝る前の呼吸のような、自宅でできる土台づくりから始める側を選べています。無音を指摘されたり、日中の眠気が強かったりするなら、順番は逆です。
効果を測るときの、ものさしの置き方
呼吸法を続けるなら、変化を音の点数だけで測らないでください。私の場合、真っ先に動いたのは音ではなく、寝つきと寝る前の体のほどけ方でした。数字は、お酒や疲れや鼻づまりで日ごとに大きく揺れます。単日の点数に一喜一憂すると、地味な土台の変化を見落とします。私の測り方と記録の残し方は記録カテゴリに置いているので、比べるのは他人の点数ではなく、いつも同じ条件で取った自分の記録にしてください。
ヨガ・呼吸法を、いびき対策のどこに置くか
最後に、この記事で言いたかった位置づけを、一枚に畳んでおきます。ヨガや呼吸法は、いびきを止めるスイッチではありません。鳴りにくい土台を、時間をかけて育てる側の手段です。だから、置き場所を間違えなければ働くし、間違えると期待外れに終わります。
ヨガ・呼吸法を置く場所は、ここです
- 音の出どころそのものを動かしたいなら、喉の体操が本命。ヨガはその代わりにはなりません。役割が違います
- 鼻から吸えていない、口が開く癖があるなら、鼻呼吸へ戻す話が先。ヨガの呼吸法は、それを置き換えるものではありません
- 力みや寝つき、呼吸の浅さという土台をゆるめたいなら、ヨガ・呼吸法が担当。ここが、この記事が置き場所として勧める一枚です
- 無音の指摘や強い日中の眠気があるなら、どれよりも受診が先。順番だけは動かさないでください
私が寝る前の呼吸を続けているのは、それでいびきが止まると信じているからではありません。布団で高ぶったまま眠りに落ちる夜を減らしたいから、そして、夜の自分は変えられなくても、布団に入る手前の自分になら手を入れられると分かったからです。妻の真似から始まった、道具も費用もいらない習慣が、いまのところ私の棚に残っています。
ヨガや呼吸法を、効くか効かないかの二択で判定しないでください。いびき対策の棚のどこに置くか、という問いに置き換えると、無駄にも過信にもなりません。まずは今夜、布団に入る前に、吸う息より長く吐く。数呼吸だけでかまいません。土台づくりは、そのくらいの軽さから始めて続くほうが、私の場合はずっと長持ちしました。
\ 土台の上に、順番を乗せる /
寝る前の呼吸をどの手順とどの順番で重ねるか、原因タイプ別の組み立ては気道力メソッドにまとめてあります。まずは長く吐く呼吸から始めて構いません。
教材の内容を見る※18歳未満は登録できません
受診が必要なサインがある方は、この記事の練習より、そちらを先に進めてください。診てもらって様子見でよいと言われた方、いまは自宅で土台を整える方の選択肢として、呼吸法は費用のかからない入口になります。無理に増やさず、続く一枚だけを残してください。
