CPAP(シーパップ)とは?何をする機器か、いびきと無呼吸の関係

CPAPという言葉を、いびきを調べていて初めて見た人は多いと思います。私もその一人で、写真の機械を見て身構えました。
先に結論だけ書きます。CPAPは、眠っている間に鼻から空気を送って、気道が塞がらないように押し開けておく機器です。いびきそのものを治す道具ではなく、無呼吸に対して使われるものです。
この記事の目次
CPAPとは、空気で気道を押し開けておく機器
言葉から整理します。CPAPは「シーパップ」と読みます。眠っている間、鼻に当てたマスクからやわらかく空気を送り続けて、のどの奥が塞がらないように内側から押し開けておく機器です。空気の圧で気道を支える、と考えると分かりやすいと思います。

ここで先に、いちばん誤解されやすいところを書いておきます。CPAPは酸素を送り込む機械ではありません。ボンベのようなものを想像して怖くなる人がいますが、そうではなく、部屋の空気にわずかな圧をかけて流しているだけだとされています。息の代わりに呼吸をさせる装置でもありません。自分で吸って吐く、その通り道を塞がせないための機械です。
形は、だいたい3つの部品でできている
- 本体/枕元に置く、小さな箱のような装置。ここで空気を送り出します
- チューブ/本体とマスクをつなぐ管
- マスク/鼻に当てる部分。鼻だけを覆う小さいものから、鼻と口を覆うものまで、いくつか種類があるとされています
写真で威圧感を覚えるのは、たいていマスクとチューブのせいです。ただ、やっていること自体は「塞がる場所を、空気で開けておく」という一点だけです。この一点さえ押さえておけば、細かい機種の違いに振り回されずに済みます。
なぜ空気を送るだけで、いびきや無呼吸が変わるのか
ここは、いびきや無呼吸とCPAPの関係の話です。仕組みそのものを深く彫るのはこの記事の役目ではないので、要点だけ置きます。眠って全身の力が抜けると、のどの奥や舌の付け根がゆるんで、空気の通り道が細くなります。細くなった道を空気が通ると、まわりのやわらかい組織が震える。その震えの音がいびきです。気道の細くなり方や鳴る場所を詳しく知りたい方は、いびきが鳴る仕組みの記事にまとめてあります。ただ、仕組みより先に、自分の音がいま体のどこで鳴っているのかだけでも知りたい方は、いびきの音の正体を突き止めるで、家族の証言と録音から鳴っている方向に見当をつけられます。

いびきが「細くなった道の音」なら、無呼吸は「道が完全に塞がって、一時的に空気が通らなくなること」です。塞がると呼吸が止まり、体が苦しくなって一瞬だけ目覚めに近い状態になり、道が開いて大きく吸い直す。これが夜のあいだ何度も繰り返されるのが、睡眠時無呼吸と呼ばれる状態だとされています。SAS(睡眠時無呼吸症候群)そのものの成り立ちはここでは深入りしません。この記事で必要なのは、CPAPが手を入れているのはこの「塞がり」のほうだ、という一点です。
CPAPは、その塞がる場所に外から空気の圧をかけて、内側から開けておきます。道が開いていれば、空気は通ります。空気が通れば、無呼吸の「止まる」も、細い道が震える「いびきの音」も起きにくくなる、という理屈です。だからいびきを直接どうこうする機械というより、気道が塞がらないようにして、結果として音も止まりやすくなる、という順番で理解するのが正確だと思います。
言い換えると、CPAPの話が出てくる背景には、たいてい「いびき」ではなく「無呼吸」があります。うるさいという困りごとと、呼吸が止まっているという困りごとは、隣り合っていても別のものです。前者だけなら、まず原因を並べるところから始められます。いびきの原因の全体像はいびきの原因を全部並べた記事のほうに地図を置いてあります。
「一生つけるのか」という不安の正体を分解する
私のケース:CPAPの写真を見て、あの機械を一生つけるのかと怖くなって調べ直した
正直に書きます。私が受診をためらった理由の一つが、このCPAPでした。いびきを調べているうちに、鼻にマスクを当ててチューブをつないだ写真に行き当たって、あの機械を一生つけて眠るのか、と身構えたのです。私は四十五歳、いびきの当事者で、医療者ではありません。だから機器の良し悪しを語る立場にはありませんが、あの写真で足がすくんだ側の人間として、何が怖かったのかは書けます。
怖さの中身をあとから分けてみると、三つが混ざっていました。ひとつは見た目の威圧感。ふたつめは「一生」という言葉の重さ。みっつめは、そもそも自分がその対象なのかどうかを確かめないまま、いちばん重い結末だけを先に想像していたことです。私の場合、残っていた録音に、音が途切れて無音になり大きく吸い直す部分は入っていませんでした。つまり、無呼吸を疑う材料が手元になかったのに、勝手にCPAPの自分を思い描いて怖がっていた、というのが実際のところでした。
数字の話をしておくと、私が初めて計測したときのスコアは142点でした。大きな音ではありましたが、大きい音と、呼吸が止まっていることは別です。そこを混ぜて怖がっていたのが、当時の私でした。
この「先に最悪だけ想像して固まる」は、私だけの癖ではないと思います。だから、CPAPの説明を読んで怖くなったときに、頭を整理するための手順を一つ置いておきます。道具もお金も要りません。紙とペンだけの作業です。
CPAPが怖くなったときの、3行メモ(この記事の場面用)
- 怖さの中身を、言葉にして分ける。紙に「見た目が怖い」「一生が怖い」「対象かどうか分からないのが怖い」のように、混ざっている不安を1行ずつ書き出します。ひとかたまりの不安は大きく見えますが、割ると一つずつは小さくなります。
- 事実と想像に、印をつける。書き出した各行に、いま確かめられている事実には○、まだ確かめていない想像には△をつけます。私の場合、△ばかりでした。まだ検査も受診もしていないのに、結末だけが○のつもりになっていたわけです。
- いちばん上に、確かめる順番を1つだけ書く。△を○に変えるために、次に何を確かめるか。多くの人にとって、それは機種選びではなく「そもそも自分に無呼吸の疑いがあるのか」を医療機関で確かめることになります。
回数の目安:怖さがぶり返した日に、そのつど1回。1回3行まで。注意が一つあります。この作業は、CPAPが必要かどうかを自分で判定するためのものではありません。それは検査と医師の役目です。ここでやっているのは、判定を医療機関に渡すまでの間、自分を余計に怖がらせないための整理だけです。私は医者ではないので、書けるのはここまでです。
CPAPは、自分で買って始める機械ではない
ここは、いちばんはっきり書いておきたいところです。CPAPは、いびきグッズのように自分で買ってきて今夜から始める、という種類の機器ではありません。使うかどうかは、検査で無呼吸の状態を測ったうえで、医師が判断するものだとされています。私が調べた範囲では、保険を使ってCPAPを使う場合は、レンタルという形で、定期的な通院とセットになるのが一般的とされていました。つまり、機械が先にあるのではなく、受診と検査が先にあって、その先にCPAPという選択肢が置かれる、という順番です。

だから、この記事を読んでCPAPが気になった方に、私がお願いしたいのは順番のことだけです。機種を調べる前に、自分がその話に入る手前にいるのかどうかを確かめてください。どの科に行けばいいか、検査はどう進むのか、費用はどう考えればいいのかは、いびきは何科かの記事に受診の段取りをまとめてあります。CPAPは、その受診と検査の先で初めて出てくる言葉です。
この状態があるなら、CPAPを調べるより先に受診を
次のようなサインがある場合は、機械の情報を集めるより先に、医療機関で相談してほしい段です。これは睡眠時無呼吸のサインとされているものです。
- 寝ているあいだに呼吸が止まっていた、と家族から言われたことがある
- 録音に、音が途切れて無音になり、そのあと大きく吸い直す音が入っている
- 夜中に息苦しさで目が覚めることがある
- 寝た時間は足りているのに、昼の眠気が強い(会議中や運転中に落ちそうになる)
- 起きたときの頭痛や、寝ても抜けない疲れが続いている
このうち呼吸停止の指摘と日中の強い眠気は、自宅で様子を見る前に受診、という扱いになっている項目です。眠気が運転や仕事に出ているなら、CPAPの機種を比べている場合ではありません。受診を先にしてください。呼びかけても反応がない、あえぐような呼吸をしている、といった今まさに起きている急変については、危険ないびきと救急の記事のほうに分けて書いてあります。
\ 順番を間違えないために /
CPAPは、受診と検査の先にある選択肢です。上のサインが当てはまる方は、そちらを優先してください。受診の目安が当てはまらず、いまは自宅でできることから始めたい方は、気道力メソッドにタイプ別の組み立て方をまとめています。
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CPAPになった人、ならなかった人。そのあとの話
検査を受けたあとの分かれ道も、先に知っておくと不安が減ると思うので並べておきます。検査の結果、無呼吸がしっかり確認された場合に、CPAPが中心の選択肢になるとされています。ほかに、下あごを少し前に出して気道を保つマウスピースや、鼻やのどの手術が選ばれることもあります。どれになるかは、無呼吸の量や、鼻とのどの状態によって変わるとされています。全員が同じ道を通るわけではありません。
逆に、検査を受けても無呼吸が確認されず、様子を見ましょうで終わることもあります。CPAPの写真に怯えて受診を先延ばしにしていた私のような人間には、これは意外に大きな話です。怖がっていた結末に、そもそも当てはまらなかったという結果も普通にあるからです。私はまだ受診していませんが、録音に無音が入っていないという一点で、今のところ自宅でできる範囲を選べています。この判断が変わったら受診する、という線だけは自分で引いています。

CPAPを使うことになった人へ、当事者として一つだけ
もし検査の結果CPAPを使うことになっても、それは重い病気の証明ではなく、塞がる道を開けておくための道具を手に入れた、という話だと私は受け取っています。最初は違和感があって続かない人もいるようですが、そこは使い方や機種の調整の相談ができる相手が医療機関の側にいます。私は医者ではないので、装置の合わせ方までは書けません。ただ、写真一枚で足がすくんでいた側の人間として言えるのは、実物の役目は「一生を縛る鎖」ではなく「空気で道を開けておくだけの機械」だった、ということです。
そして、CPAPを使う人も、様子を見る人も、共通して残るのが生活の側の要因です。お酒、寝不足、鼻の詰まり、寝る姿勢。これらは機械や医療とは別の層で、自分の手が届くところにあります。CPAPかどうかという大きな分岐とは切り離して、動かせる札から並べていく作業は、どちらの人にも残ります。その並べ方は、原因を全部書き出す原因の記事から始めるのが分かりやすいと思います。
最後に、この記事の立ち位置をもう一度だけ書いておきます。私は医者ではありません。CPAPが必要かどうかは、検査と医師が決めることで、写真や記事で決めるものではありません。ここで書けたのは、あの機械が何をしているのかという言葉の意味と、怖くなったときに自分をどう整理したか、そこまでです。
