ホーム›原因診断›寝不足でいびきがひどくなる|疲れた夜ほど音が大きい仕組み

寝不足でいびきがひどくなる|疲れた夜ほど音が大きい仕組み

寝不足でいびきがひどくなる|疲れた夜ほど音が大きい仕組み

寝不足が続いた週にかぎって、家族からいびきを強く指摘される。疲れてぐっすり寝たはずの夜ほど、音が大きい。私にも、その心当たりがありました。

先に言っておきます。足りない夜は、いびきを一時的に大きくします。この記事では、寝不足がなぜ音を増やすのかという仕組みと、寝不足と音のつながりを自分で確かめる観察だけを置きます。

この記事の目次
  1. 疲れた夜ほど、いびきがひどくなる
  2. 寝不足がいびきを大きくする仕組み
  3. 睡眠負債は、借金のように積み上がる
  4. 足りない夜ほど、音が大きかった
  5. 寝不足と音のつながりを、自分で確かめる
  6. 一時の悪化と、待ってはいけないサイン

疲れた夜ほど、いびきがひどくなる

くたくたに疲れて帰った夜は、倒れ込むように眠れます。感覚としては、その夜こそいちばん静かに、深く休めていそうなものです。ところが実際は逆で、そういう夜のあとほど、家族の顔が朝から曇っている。疲れているのに、いや、疲れているからこそ、いびきがひどくなる。この食い違いが、この記事の出発点です。

スーツ姿のまま和室の布団に倒れ込む男性
着替える力も残っていない夜ほど、音は大きくなりがちです。

いびきは一つの原因で決まるものではなく、狭くなる場所にいくつかの要因が重なって、初めて音になります。その要因の並べ方そのものは別の記事に譲りますが、ここで押さえておきたいのは、寝不足はその重なりに一枚だけ乗る、動かせる札だということです。もとから土台があるところへ、足りない夜が一枚を上乗せする。だから寝不足の週だけ音が跳ね、よく眠れた週にはいくらか引く、という上下が起きます。同じ忙しい週には、寝不足とは別に気持ちの張りというもう一枚が乗ることもあって、その経路はストレスがいびきを裏から押し上げる仕組みに分けてあります。

この記事が扱うのは、その一枚の話です。寝不足という札が、なぜ音を大きくするのか。仕組みを分かっておくと、疲れた夜のいびきを自分の意志の弱さや加齢のせいにして落ち込む、という無駄がなくなります。あれは根性の問題ではなく、体の作りの問題だからです。

妻妻
疲れて深く寝てるんだから、静かに寝られてそうなものですけど。
静山静山
私もずっとそう思っていました。ところが、深く寝ることと静かに寝ることは、いびきに関してはむしろ逆を向きます。次で、そのからくりを開けてみます。

寝不足がいびきを大きくする仕組み

ここがこの記事のいちばん書きたいところです。寝不足がいびきを増やす道筋は、大きく三つあります。順に並べます。

1|足りない夜ほど、寝入りが深く速くなる

睡眠が足りていないと、体には眠りたい圧が強くたまります。その圧が高い夜は、布団に入ってから落ちるまでが速く、そして深くなります。よく「泥のように寝た」と言うあの状態です。問題は、深く落ちるほど、喉まわりの筋肉の張りが一気に抜けることです。起きているあいだ気道を支えていた力がゆるむと、空気の通り道は狭くなり、狭いところを空気が速く通ると、まわりのやわらかい組織が震えて音になります。つまり、深く落ちること自体が、いびきの側から見ると音を大きくする方向に働きます。疲れた夜ほど音が大きいのは、この一点でほぼ説明がつきます。逆に、横になる時間は足りているのに寝つけない夜が続くなら、効いているのは眠りたい圧ではなく昼から続く張りのほうで、その切り替えの話は交感神経が優位な夜、喉で何が起きているのかに分けてあります。

断面図:舌の奥が上がって喉を塞ぐ
力が深く抜けた夜ほど、ここが強くふさがりやすくなります。

2|疲れきると、口で吸いやすくなる

くたびれた夜は、鼻でていねいに吸うより、口が開いて楽に吸うほうへ流れがちです。口が開くと下あごが下がり、下あごにぶら下がっている舌の付け根も一緒に喉の奥へ寄ります。鼻で吸えていれば奥まで届かなかった狭まりが、口呼吸になった夜だけ一段深くなる。疲労は、この口呼吸への傾きを後押しします。

3|寝返りが減って、仰向けで固定されやすい

深く動けないほど眠った夜は、寝返りの回数も減ります。横向きで寝入っても、疲れた夜は仰向けのまま朝まで動かない、ということが起きやすい。仰向けは、重力の向きがそのまま舌の付け根に効く姿勢です。姿勢の作り方そのものは別の記事の担当なのでここでは踏み込みませんが、寝返りが減ること自体が、音を大きくする側に一枚を足します。

この三つを見ると、共通点が見えてきます。どれも体を深くゆるめる方向に働いていて、寝不足はそのゆるみを強める引き金になっている。ふだんなら音にならない程度の狭まりが、深くゆるんだ夜だけ閾値を越える。疲れた夜の大きな音は、体がとりあえず眠りを優先した結果の、いわば副産物です。

妻妻
この前の連休明け、久しぶりにすごい音だったよ。
静山静山
たぶん、それまでの寝不足がたまっていた分、強く落ちたんだと思います。体調が悪化したというより、足りない札が積み上がった夜だった、という見方をしています。

睡眠負債は、借金のように積み上がる

ここでもう一段、時間の話を足します。寝不足は、一晩ごとにリセットされるものではありません。足りなかった分が少しずつ持ち越されて積み上がっていく、と考えたほうが実感に合います。これを睡眠負債と呼ぶことがあります。私が調べた範囲では、足りない睡眠は借金のようにたまっていくものとされていて、この言い方は腑に落ちました。

負債として考えると、いびきの上下が読めるようになります。週の頭は、まだ負債が浅い。ところが平日が進むほど足りない分が積み重なって、木曜や金曜の夜には眠りたい圧がかなり高くなっている。だから週の後半ほど深く落ち、音も大きくなりやすい。家族に「後半になると音がひどくなる」と言われるなら、その週にたまった負債が夜ごとに増えていた、という並びで説明がつきます。

週末に寝だめした夜こそ、音が大きい

いちばん誤解しやすいのが、週末です。平日にためた負債を、休みの日にまとめて返そうとして長く寝る。ところが、たまった負債が大きいほど、その夜は強い圧で深く落ちます。つまり寝だめの夜こそ、いちばん深くゆるんで、いちばん音が大きくなるという逆転が起きます。週末に長く寝た翌朝にかぎって家族の反応が悪いなら、これはよくある形です。長く寝たのがいけなかったのではなく、返しきれないほどの負債を平日にためていた、という順番です。

ここまでで、寝不足がいびきを大きくする側の話は出そろいました。ただし、これは一方通行ではありません。いびきをかいて眠りが妨げられると、今度はその夜の眠り自体が浅く削られて、次の日にまた負債が増える。寝不足がいびきを大きくし、大きくなったいびきがさらに寝不足を呼ぶ、という輪です。この輪のうちいびきが眠りの質を削るほうの仕組みは、深い眠りがどう削られるかまで踏み込む話になるので、睡眠の質といびきの記事にまとめてあります。この記事はあくまで、寝不足が音を大きくする側の一枚だけを扱います。

足りない夜ほど、音が大きかった

静山 静山の実体験

私のケース:寝不足の週ほど妻の指摘が増え、足りない夜ほど音が大きかった

私は四十五歳、いびきの当事者です。医療者ではないので、診断や治療の話はしません。ここに書けるのは、自分が何を取り違えていたかだけです。

長いあいだ、私はいびきの大きさを、その日の体調というひとくくりで眺めていました。今日はひどい、今日は軽い。理由までは考えず、日替わりで変わるものだと思っていた。妻の指摘の頻度も、機嫌のようなもので、こちらで動かせるものだとは考えていませんでした。

それが変わったのは、初回の計測で142点という数字が出て、記録をつけ始めてからです。音の有無を書き並べていくと、指摘が集まる週には、はっきり片寄りがありました。仕事が立て込んで帰りが遅い週、寝る時間を削っていた週ほど、妻に言われる回数が増えていた。とくに、平日ずっと足りていなくて、金曜や土曜にまとめて長く寝た夜。あの翌朝がいちばん反応が悪かった。深く寝られてよかった、と本人が思っている夜こそ、隣ではいちばん鳴っていたわけです。

逆に、平日そこそこ眠れていた週は、指摘そのものが減っていました。土台のいびきが消えたのではなく、寝不足という上乗せの一枚が抜けていただけです。体調が日替わりでランダムに変わっていたのではなく、足りない夜ほど深く落ちて音が大きくなる、という筋が通っていた。妻の指摘は機嫌ではなく、私の睡眠時間を映していたのだと、記録を並べて初めて分かりました。

夫のいびきで妻が耳をふさぐ日本人夫婦
指摘の頻度が、その週の私の睡眠時間を映していました。

この気づきで一つ楽になったのは、疲れた夜の音を自分の劣化として責めなくなったことです。年のせいでも、たるんでいるせいでもなく、足りない札が乗った夜は深くゆるんで音が出る。当然の反応だと分かると、責めるかわりに、乗っている札を一枚どうやって減らすか、という具体的な話に移れました。

寝不足と音のつながりを、自分で確かめる

ここまでは仕組みの話でした。ただ、自分のいびきに寝不足がどれくらい効いているかは、人によって差があります。頭の中で「疲れた日はひどい気がする」と考えているだけだと、印象で流れます。だから私は、寝た時間と、その夜の音を並べて眺めるようにしました。道具も費用もいりません。この記事が持っている手順は、これ一つです。

ナイトテーブルの水と時計
使うのは枕元の紙一枚と、寝た時間だけ。点数は見ません。

手順|睡眠時間と、その夜の音を並べる

  1. 紙を一枚用意して、二週間分の日付を縦に書きます。横に欄を二つ、寝た時間と音の有無を作ります。
  2. 毎朝、前夜に横になっていた長さを書きます。分単位はいりません。三十分刻みで十分です。就床と起床の時刻をざっくり引くだけで足ります。
  3. その夜の音を、あったかなかったかの○×だけで書きます。大きさや点数は、ここでは見ません。判定は、同じ部屋で寝ている人の一言か、枕元の録音を朝に早送りで確かめる形で足ります。
  4. 二週間そろったら、寝た時間が短い夜に○が片寄っているかを見ます。足りない夜ほど音が乗っているなら、あなたのいびきには寝不足の札がはっきり効いている、という見当がつきます。

回数の目安:朝の記入は一日十秒、二週間だけ。判定は最後にまとめて一回。

注意が二つあります。ひとつ、この二週間は新しいグッズや対策を足さないこと。途中で何かを足すと、音が変わったのが寝不足のせいなのか、足したもののせいなのか分からなくなります。寝不足の効き具合だけを見たいので、この期間は手を止めてください。ふたつ、お酒を飲んだ夜には、その一行に印を付けておくこと。飲酒も音を大きくする別の札なので、寝不足と混ざると読み違えます。飲んだ夜の話は受診の記事ではなく別立てにしてあるので、ここでは印を付けて脇へ置くだけにします。

この手順で見えるのは、あくまで寝不足と音の相関までです。その音が寝不足の時だけの一時的なものなのか、もとから慢性の土台があるのかという切り分けは、この記事の担当ではありません。始まりの時期や、よくなったあとに残るかどうかで見分ける手順は一時的か慢性かを見分ける記事にまとめてあるので、寝不足を減らしても○が残る人は、そちらへ進んでください。記録の残し方そのものは記録カテゴリに置いてあります。

妻妻
短い夜に○が片寄っていたら、どうすればいいんですか。
静山静山
まずは足りない札を一枚、素直に減らす番です。寝る時間を三十分だけ前に戻す。それで音が引くなら、あなたのいびきは睡眠時間で動く種類だと分かります。土台に手を入れるのは、そのあとで十分です。

\ 札を一枚ずつ減らす順番 /

寝不足を減らしても残る土台に、姿勢・鼻・喉と舌のどこから手をつけるか。原因のタイプごとの組み立ては気道力メソッドにまとめてあります。今日はまず、寝不足の一枚を見えるようにするところまでで十分です。

教材の内容を見る

※18歳未満は登録できません

一時の悪化と、待ってはいけないサイン

最後に、この記事の外側との境目を引いておきます。寝不足によるいびきの悪化は、たいてい一時的なものです。足りない夜が続けば大きくなり、眠れた週には引く。だから、疲れた週のひどさだけを見て慌てる必要はありません。ただし、その数え方より優先される話が一つだけあります。

寝不足で一時的にひどくなっているように見えても、その裏で呼吸そのものが止まっていることがあります。次のどちらかに当てはまるなら、眠れる週を待つ順番ではありません。

  • 眠っているあいだに呼吸が止まっていると、家族に指摘された。いびきの途中で音が消え、しばらくしてから大きく吸い直す音が入る、という形です。
  • 寝た時間は足りているのに、日中の眠気が強い。会議中や運転中に意識が落ちそうになる、という強さのものです。
夜ベッドで眠れない日本人
寝不足という説明で片づける前に、この二つだけは確かめてほしいところです。

この二つは、睡眠時無呼吸症候群のサインとされているものです。やっかいなのは、寝不足の症状と重なって見えることです。足りていないから昼に眠い、と本人は思っているのに、実際は夜のあいだに呼吸が止まって眠りが削られている、ということがあり得ます。とくに、寝る時間を増やしても日中の眠気が抜けないなら、足りていないのは長さではないのかもしれません。当てはまるなら、寝不足のせいにして様子を見るより先に、医療機関へ相談してください。どの科へ行けばいいか、どんな検査があるかはいびきは何科を受診するかにまとめてあります。

もう一度書いておきます。私は医者ではありません。この記事に書けるのは、寝不足が一時的に音を大きくするという仕組みと、それを自分で確かめる観察までです。呼吸が止まっているかどうかの判定は、観察では引けません。私自身は録音を聞いた範囲で、低く引きずる音が続いているだけで、音が途切れて大きく吸い直す無音は入っていませんでした。だから自宅でできる範囲を選べています。逆にそこが入っていたら、眠れる週を待たずに受診していました。

妻妻
寝不足のせいだと思っていたのに、少し不安になってきました。
静山静山
不安を煽りたいわけではありません。当てはまらなければ、観察に戻って大丈夫です。ただ、寝不足という便利な説明で全部をまとめてしまう前に、この二つだけは分けて確かめておくと落ち着きます。

私がこの一連で言いたかったことは、一つです。疲れた夜のいびきは、あなたが劣化したからでも、たるんでいるからでもありません。足りない夜ほど深くゆるんで音が出る、という体の素直な反応です。だとすれば、責める先は自分ではなく、乗っている札のほうです。寝不足という一枚は、動かせる札の中でも動かしやすいほうにあります。まずそこから、一枚だけ抜いてみてください。

\ 疲れた夜の一枚を、抜くところから /

寝不足を減らしても残った土台に、順番に手を入れる組み立ては気道力メソッドに、一日三分からの形でまとめてあります。足りない札を抜いても○が残った人から、次の順番へ進んでください。

教材の内容を見る

※18歳未満は登録できません

この記事を書いた人

静山

静山 |いびきスコア142点からの30日再現実験・進行中

静山(しずやま)/40代。長年の爆音いびきで家族に別室を言い渡されかけた当事者。いびきラボのスコア(開始時142点)を毎晩記録し、舌・喉・顎・呼吸の自宅トレ『気道力メソッド』で下げていく過程をすべて公開している。医者ではないので治療の話はしない。自宅でできることだけを、実測の記録つきで書く。

あなたのいびきはどのタイプ?(舌落ち/喉せま/鼻づまり)

3分で診断 →