いびきで疲れる。昼の眠気が夜のいびき由来だと気づく道筋

しっかり眠ったはずの日でも、昼過ぎになると体が重くなる。私は長いあいだ、その眠気をコーヒーの二杯目でやり過ごしていました。
先に書いておきます。日中の疲れや眠気の出どころが、夜のいびきの側にあることがあります。この記事で並べるのは、その疲れを『いびき由来かもしれない』と疑うための、自覚チェックの角度です。
この記事の目次
昼過ぎのだるさを、別のもののせいにしていた
昼過ぎになると、決まって体が重くなる。目の奥がぼんやりして、画面の同じ行を二度読んでいる。私にとってこれは何年ものあいだ、ただの日常の風景でした。

やっかいだったのは、その眠気にいくらでも説明がついたことです。昨日は寝るのが遅かった。仕事が立て込んでいる。昼をしっかり食べすぎた。最近まったく運動していない。どれも本当らしくて、どれも自分の落ち度で片づく。だから私は、原因を探すというより、その日ごとに言い訳を一枚ずつ選んでいました。
これらの説明に共通しているのは、全部が昼の側で完結していることです。昼のだるさの原因を、昼の出来事の中から探す。寝る時間、食事、運動量、気合。視線が夜のほうへ向かうことは、一度もありませんでした。
理由は単純だったと思います。夜のいびきと昼のだるさは、時間も場所も離れています。音が鳴っているのは眠っているあいだで、本人は聞いていない。だるさが来るのは何時間も経った昼過ぎで、しかも机の前です。この二つが同じ一本の線でつながっているとは、素直には思えませんでした。
先に立場を書いておきます。私は四十五歳のいびき当事者で、医者ではありません。だから、ここで診断をするつもりはありません。書けるのは、昼のだるさの出どころを夜の側に一度も置かなかった人間が、どこで向きを変えたか、という話までです。
昼のだるさと、夜の呼吸は地続きだった
向きが変わったきっかけは、録音でした。別室を切り出されかけた夜の翌日に初めて計測して、朝に142点という数字が出た。残っていた録音を再生すると、低く長く引きずる音が延々と鳴っていました。その夜のことは別の記事に譲りますが、私が驚いたのは音の大きさより、それが六時間ずっと続いていたことでした。
六時間、喉のどこかが狭いまま呼吸をしていた。ここまで来て、ようやく昼のだるさと線がつながりました。夜のあいだ体が休みきれていないのなら、昼に眠くなるのは、むしろ当たり前のことだったわけです。

ただし、いびきをかくとなぜ眠りが浅くなり、なぜ日中に疲れが残るのか。その仕組みそのものは、この記事の担当ではありません。呼吸の乱れが眠りの深いところを削っていく機序と、朝と昼に出るサインの読み方は、いびきで眠りが浅い理由の記事にまとめてあります。ここで扱うのは、その仕組みを知る前の段階、つまり昼の疲れを『もしかして夜かもしれない』と疑いはじめる入口だけです。
順番としては、疑う、確かめる、それから仕組みを知る、になります。この記事は、いちばん最初の『疑う』のところを受け持ちます。仕組みを先に読んで納得しても、自分の昼のだるさと結びつけられなければ、結局は他人事のまま通り過ぎてしまうからです。私がそうでした。
「いびき由来かも」に気づく、自覚チェック
昼のだるさを夜と結びつけるのは、放っておくと難しいままです。時間も場所も離れているので、意識して線を引きにいかないと、二つは別々の引き出しに入ったままになります。だから私は、疑いを持つための小さなチェックを作りました。これは診断ではなく、視線を昼から夜へ一度動かすためのきっかけです。
疲れの出どころを疑う、5分の自覚チェック
- 今日のカフェインを、数字で数える。朝の一杯だけでなく、昼過ぎ以降に飲んだコーヒー、エナジードリンク、濃いお茶を指を折って数え、その杯数を紙に一つ書きます。
- その一杯を『いつ』入れているかを思い出す。朝の目覚めの一杯ではなく、昼過ぎや午後の二杯目以降に丸をつけます。眠気に蓋をするための一杯が、どの時間帯に集まっているかを見ます。
- 次の三つに、はい・いいえで答える。いくつ『はい』がついたかだけを見ます。
- 寝た時間は足りているはずの日でも、昼過ぎにだるさが来る
- だるさが来るのは、座って動かない場面が多い(会議、運転、昼食後の机)
- 寝ているあいだの音を、家族や同室の人に指摘されたことがある
- 『はい』が二つ以上で、午後のカフェインに丸がついていたら、その日から一度だけ、疲れの出どころを『寝る前の生活』ではなく『夜の呼吸』の側に置いてみます。置いてみるだけで、何かをやめる必要はありません。
回数の目安:一度でいい。数日あけてもう一度だけやり直すと、その日の体調に振り回されにくくなります。
注意が二つあります。ひとつ、これは診断ではありません。丸の数や『はい』の数で、自分が病気だと決めつけないでください。決めるのは医師で、ここでやっているのは疑いの向きを変えることだけです。ふたつ、この段階でカフェインを我慢比べのように減らさないこと。減らすのが目的ではなく、蓋をしていたことに気づくのが目的です。急にやめると頭が痛くなることもあるので、量の調整は別の話として、まずは数えるだけにとどめてください。
このチェックが、ただ休めばいいという話と違うのはここです。昼のだるさに対して、多くの人はまず休養や睡眠時間のほうを増やそうとします。私もそうでした。けれど、夜のあいだに休みきれていないのだとしたら、横になる時間をいくら足しても、埋まらない部分が残ります。だから最初にやるのは、時間を足すことではなく、出どころの見当をつけ直すことです。このチェックは、その見当を昼から夜へずらすためだけの道具だと思ってください。
私がこのチェックで引っかかったのは、三つ目の家族の指摘でした。だるさの原因を昼の中で探しているあいだは、妻の『昨日すごい音だったよ』という一言と、自分の午後の眠気が、頭の中で別々の引き出しに入っていた。この二つを同じ机に並べたのが、私にとっての出発点でした。並べてしまえば、あとは線を引くだけです。
\ 疑えたら、次は組み立て /
昼の疲れを夜の側に置けたら、次は原因のタイプに合わせて何をどう組むかです。一日三分からの手順は気道力メソッドにまとめてあります。今日はまず、向きを変えるところまでで十分です。
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コーヒーで蓋をしていた、私の昼
私のケース:昼過ぎの眠気をコーヒーで誤魔化し、いびきと繋げて考えたことがなかった
私の午後には、決まった段取りがありました。昼を食べて席に戻り、一時間もすると目の奥が重くなる。そこで二杯目のコーヒーを入れる。効いている実感はそれほどないのに、飲むという動作でなんとなく仕切り直して、夕方まで押し切る。これを何年も、毎日くり返していました。
眠気そのものを疑ったことは、一度もありませんでした。眠いのは昨日寝るのが遅かったからで、だるいのは仕事が詰まっているから。原因はいつも昨日か今日の予定の中にあって、答えはコーヒーで足りている。そう思っていたので、なぜ毎日きまって同じ時間に眠くなるのか、という一段深い問いには、たどり着きませんでした。
いびきのほうは、まったく別の悩みとして持っていました。家族に迷惑をかける音の問題で、グッズを二年か三年、買っては引き出しにしまっていた。鼻に貼るテープ、口をとめるテープ、通販のマウスピース、対策をうたう枕。妻は自分用の耳栓を買っていました。音の問題と、私の昼の眠気は、頭の中でまったく交わっていませんでした。
その二つが交わったのが、142点を見て録音を聞いた朝です。六時間鳴り続けた音を聞いて、はじめて『これだけ夜に呼吸が乱れていたら、昼に眠いのも当たり前ではないか』と思いました。コーヒーは、眠気に蓋をしていただけで、蓋の下で起きていたことには一度も触れていなかった。数年前に一度、自力でいびきを軽くしたことがあるのに、そのときの記録を私は残していません。だから今回は、蓋を開けたところから書き残しています。

いま振り返ると、コーヒーは悪者ではありません。困っていたのは、コーヒーで押し切れてしまったことのほうです。押し切れるうちは、その下で何が起きているかを確かめる必要がない。飲めば夕方まで持つのだから、と毎日先延ばしにできてしまう。蓋がうまく閉まっていたせいで、私は何年も中を見ずに済んでいました。
その眠気は、様子見ではなく受診かもしれない
ここで、順番を間違えてはいけない話を挟みます。昼の眠気には、自宅で向き合ってよいものと、そうでないものがあります。私が扱ってきたのは前者ですが、後者に当てはまる人は、この記事の続きより先にやることがあります。
座って本を読んでいて眠くなるのと、運転中にはっとして車線を戻すような強い眠気とでは、意味が違います。後者に心当たりがある場合、あるいは寝ているあいだに呼吸が止まっていると家族に指摘されたことがある場合は、睡眠時無呼吸症候群のサインとされています。このときは、自覚チェックやセルフケアで様子を見る前に、医療機関で相談してください。コーヒーで押し切る話でも、喉の体操で整える話でもありません。

どの科に行けばいいのか、どんな検査があるのかは、この記事では立ち入りません。相談先の分け方と、自宅で一晩つけて調べる簡易検査の流れはいびきは何科かの記事にまとめてあります。当てはまるサインがあった方は、そちらを先に読んでください。
私自身は、録音に呼吸が止まる無音は入っていませんでした。低い音は鳴り続けていましたが、音が途切れて、そのあと大きく吸い直す音はなかった。だから私は、昼の眠気を自宅の側から見ています。ただ、これは自分で決めたというより、線を先に引いて、自分がそのどちら側にいるかを確かめただけです。もう一度書きますが、私は医者ではないので、その線の判定そのものが不安なら、迷わず受診の側に寄せてください。
昼から夜へ、疑う向きを変える
この記事でやりたかったのは、たった一つの向きの切り替えです。昼のだるさの原因を、昼の中だけで探すのをやめる。寝る時間や食事や気合の話に落とす前に、一度だけ夜の呼吸のほうを見る。それだけで、二年も三年も見えなかったものが見えることがあります。私がコーヒーの二杯目でやり過ごしていたものの正体は、昼ではなく夜の側にありました。

だるさを通り越して、会議や運転中にこくりと落ちてしまうことがあるなら、昼の居眠りを危ない場面ごとに仕分ける記事で、落ちた場所の危なさのほうを先に確かめておいてください。
落ちる場所が通勤電車や授業中で、危なさより「まわりに音を聞かれていないか」のほうが気になるなら、電車で寝落ちしても鳴りにくくする座り方を先に読んでおくと、明日の行き帰りが少し楽になります。
もちろん、昼の眠気の原因がいびきだけとは限りません。睡眠の量そのものが足りていないこともあれば、別の要因が重なっていることもあります。原因を一つに決めつけず、候補として夜を加える。その加え方は、いびきの原因を全部並べる記事のほうで地図にしてあります。この記事は、その地図に『昼のだるさ』という入口を一つ足すためのものだと思ってください。
疑いの向きが変わったら、次は確かめる番です。昼のだるさを夜の側に置けた人から、実際に何を測り、何を組み立てるかへ進めます。私の三十日の記録は実測ログに置いてあります。
昼の疲れは、毎日きます。だからこそ、毎日きているという事実そのものが手がかりになります。たまにしか来ないものは見逃しても、毎日同じ時間に来るものは、数えれば見えてきます。私は、そこから向きを変えました。同じところで止まっている人が、昼の一杯を数えるところから始められるように、この記事を残しておきます。
